表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/66

【白でも黒でもない】20

「朝陽」

 部屋に飛び込んできた藍美は息を切らしていて、目は真っ赤だった。

「朝陽!」

 藍美は朝陽を抱き締めた。

「ごめんね。ごめんねえ」

 藍美は朝陽を抱き締めてぼろぼろと泣いている。

「ママ、勝手にお友達呼んだりして。あんなにいっぱい大人の人がいたら、怖いよね。驚くよね。朝陽の気持ち、ちゃんと考えてなくて、ごめんねえ」

 朝陽は何も言わず、ただ藍美の腕の中で藍美の声を聞く。

「ママ、朝陽がもう帰ってこないんじゃないかって心配で心配で。ママ、朝陽がいなくなったら死んじゃうよ。だからママのもとからいなくならないで。お願いよう」

 いつも綺麗に整っている藍美の髪の毛はぼさぼさに乱れていて、泣き過ぎて化粧も取れていた。いつもより少し老けて見える。

「ああ、うん」

 なんと返事をしたらいいか分からない。勝手なものだと思う。でも少し嬉しくもあった。

「ごめん」

「お友達にも怒られちゃった。母親なんだからしっかりしなさいって。みんなね、相棒(パートナー)との子供を産むかどうか悩んでたり、治験場()での暮らしが寂しくて、お友達が欲しい人ばっかりなの。今度、ひとりずつちゃんと紹介するね」

 藍美は朝陽の頭を撫でながら、優しい声を出した。

「朝陽が良い子だから、ちょっと甘え過ぎちゃってたかもしれない。本当にごめんね」

 もう一度頭を下げた藍美に、朝陽は唇を噛み締めて「僕、ママが男の人といるかもしれないって思って」と言った。藍美は「あははははは」と笑った。

「あのね、朝陽。ママ今彼氏とか要らないよ。そりゃあやっぱり寂しいからお友達は欲しいけど、ママには朝陽がいるからね」

 藍美は朝陽のおでこにキスをした。

「だからもう、いなくなったりしないでよ」

 もう一度抱き締められた腕の中で、朝陽は目を閉じた。

 そういえば。

 相棒(パートナー)との関係に悩んで家を飛び出すのは、今回で二回目だ。自分はあまり変わっていないのかもしれないと思うと少しおかしな気持ちになり「ふふ」と笑った。

 藍美は「あー。朝陽、笑ってるー」と言って朝陽の頬を人差し指でぷにぷにとつついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ