表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/66

【あなたと私】10

相棒機械(パートナーロボット)って、交換出来ないんですかね」

 楓子はずい、と身体を前に出した。

「交換、ですか。相棒機械(パートナーロボット)になにか不満があるということですか」

 思わず、野々村の声が一段低くなった。

「いや、不満とかじゃないんですけど」

「不満はないけど、交換したい?」

「あたしたちの問題じゃなくて。隣に住んでる二人のことなんですけど」

 楓子は困った顔をし、声をひそめた。

「あの二人、あんまりうまくいってないような気がするんです」

「あの二人、ですか」

 野々村は低い声のまま相槌を打つ。傍らには助手の卵型の機械が静かに控えている。

「そう。樹とこのみなんですけど、樹、最近ちょっと変なんです。暗いというか。このみも言いづらそうにしてること多くて。見てるとちょっと元気ないみたいだし」

「元気がない、ですか」

「なんにもしてくれないらしくて。家事も全部このみばっかりやってて、一日中テレビに夢中らしいんです。このみのこと全然好きそうじゃないし、態度にも出さないらしいんです。一回も好きだって言われたことないなんて、おかしくないですか」

「ふむ」

 野々村は卵型の機械(ロボット)の頭の上に右手を置いた。

 数秒後、機械(ロボット)の頭頂部がちかちかと白い光を放ち、すぐに消えた。

 無事、卵型機械視点映像(現状)を倖田と悠真に映像接続送信(共有)したようだ。野々村は卵型機械(ロボット)から手を離した。

「このみって、遠慮深いから多分自分からは言えないと思うんですよ。だからあたし、友人として心配で」

「そうですか」

 野々村の顔を、楓子はじっと見つめる。

「もし、相棒機械(パートナーロボット)と相性が悪かった場合って、どうなるんですか」

「その場合は、まず相互努力してもらいます。それでも駄目なら交換、という選択肢も入って来るかもしれません」

 楓子は頷き、それから上目遣いで口を開いた。

「あの、交換された機械ロボットって、別の誰かの相棒パートナーになるんですか」

「まあ、そうですね。機械ロボットも無限にいるわけではないので、記憶消去リセットして、再度任務に当たってもらうか、相棒パートナーではない別の職に就いて、一度人工知能の成熟度の見直しを図る可能性もあります」

記憶消去リセット

 楓子はぽつりと繰り返した。

記憶消去リセットされちゃうんですか」

「はい。基本的には」

 楓子は唇を噛んで「だったら」と苦しそうに言った。

「近い機械ロボットと交換って出来ないんですか。例えば悠真と」

「悠真と、樹をですか」

 野々村は目を細めた。

「それなら、円満に解決しますよね。記憶消去リセットもしなくて済むし」

「もう一度確認しますが」

 野々村はふう、と息を吐いてから口を開く。

「悠真に不満はないんですよね?」

「ないです」

 楓子ははっきりと野々村の目を見て答えた。

「分かりました。それでは検討しておきます」

 野々村が面談を終わらせようとしたとき「あの」と楓子は慌てたように言った。

「今言ったこと、誰にも言わないでください。悠真にも樹にもこのみにも。あたし本当にこのみのことが心配なだけなんです」

 後半になるにつれどんどん小声になり、最後は俯いて目元に手の甲を当てた楓子に、野々村は「分かりました」と答えた。なるべく感情を出さないように、静かに続けた。

「それでは、お疲れ様でした。今日の面談は、これで終了です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ