表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星屑の渡し守と凍った夢  作者: 夜宵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/4

灰色に凍る夜

ユキは知っていた。願いなんて、粉雪みたいに弱くて、すぐに地面に消えてしまうってことを。


窓の外は、凍てつく真冬の夜だった。吐く息が白く、部屋の隅々にまで冷たさがしみ込んでいた。

今年の冬、たったひとりの家族であるお母さんは病院にいる。温かい言葉や笑顔が、病室の冷たい壁に吸い込まれてしまうように感じていた。


きっと、今年も一緒にクリスマスを過ごすことはできない。

ユキの心の中は、すっかり静かで、きらきらとした光は一つも見つからなかった。光がなければ、影もできない。すべてが灰色に凍りついているようだった。


ユキはベッドの下から、古い木箱を引っ張り出した。開けると、一冊の本が収まっている。その表紙は何度もめくられたせいで角が丸くなり、タイトルもほとんど読み取れなくなっていた。

どうせ、読んだところで何も変わらない。

そう思いながらも、ユキはその本を静かに開いた。



――次の瞬間、本のページから、一筋の青い光がこぼれ出た。

その光は、真夜中の空を切り取ったように深い青色をしていた。それは小さな塊となり、やがて、しなやかな猫の姿に形を変える。


青く光る毛を持つその猫は、ユキの目の前でぴたりと立ち止まった。耳の先から尻尾の毛先まで、星の砂をまぶしたように繊細にきらめいている。その瞳の中には、無数の小さな星が静かに瞬いていた。


「迎えに来たよ、ユキ」

猫は、オリオン、と名乗った。その声は、雪が降る音のように静かだった。

「君の心の中に、一つだけ、特別に冷たく凍りついた星がある。それを見つけに来たんだ」

オリオンが尾を静かに揺らすと、古びた本はギシリと音を立てて、巨大な、異世界への扉へと姿を変えた。その向こうに広がるのは、夜空のように暗く、冷たい星屑の荒野だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ