表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊体マッサージで女神様を癒やしたら、異世界に飛ばされて異種族の娘たちにモテモテになって困る! 俺はただのおっさん整体師なのに!  作者: カクナノゾム
第五章 古の竜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/59

第34話 竜の間(中)

 ラグナの口から、炎が吹き出した。

 細く長い、まるでうねる鞭のような炎だ。


「っ!?」


 俺は反射的に身を伏せる。

 頭上を、灼熱の炎が通り過ぎた。


「ユージ!!」


 ミナが駆け寄る。


「あたしたちで援護するにゃ!」


 リーネが魔法を展開する。俺の頭から水が降りかかった。

 一応、耐火の効果はあるのか?


「はい!」


 セレス隣に並び、俺の姿になった!

 ラグナの視線が一瞬揺らぐ。


「ミナ!」


「分かってる!」


 ミナが短剣を構え、ラグナの後ろに向かって走り出す。

 ラグナは長い尾を揺らし、苛ただしげに彼女たちに目をやった。


「ユージ、今のうちに前に出るにゃ!」


 俺は、三人の援護を受けながら、ラグナに駆け寄った。

 炎が、俺を阻もうとする。


 熱い。

 でも――


「届け!」


 俺は、ラグナの肩に手を伸ばした。

 ラグナの口に炎が盛り上がってゆく。

 それは俺を飲み込もうと――


 だが、俺の手は――

 ラグナの鱗に、触れた。


 瞬間、炎は消え去った。

 掌に伝わるのは、灼熱ではなく、痛みを押し殺したような震えだった。


「……ほう」


 ラグナの声が、静まる。


「手加減したとはいえ、我の鱗に触れるとは……」


 紅の瞳が、俺をじっと見つめる。


「貴様、癒やし手……ユージとかいったな」


「ああ。俺は、死霊を癒やす。そして――生者も癒やす」


「……ふむ」


 ラグナが、ゆっくりと息を吐いた。


「認めよう。貴様には少なくとも勇気はある、と」


 ◇


「……貴様に、我を癒やすことができるというのか」


 ラグナが、低く問う。


「ああ。やらせてくれ」


「……このままでは、施術できぬだろう」


 ラグナが、少しだけ声を和らげた。


「我が身体は、貴様にとって大きすぎる」


「ああ。だがやるさ」


「ふむ……ではこうしよう」


 ラグナの身体が、淡い光に包まれる。

 巨体が縮んでいく。

 翼が畳まれ、尻尾が短くなり――


 気がつけば、俺の胸の高さほどの、小さな竜になっていた。


「これで、よいか」


 ラグナが、少し不機嫌そうに言う。


 でも、その姿は――


(……めちゃくちゃ可愛い)


「ぷっ……」


 リーネが吹き出す。


「ちっちゃ……にゃ……」


「黙れ猫族! 我はまだ威厳を――」


「よし、始めるぞ」


 俺は、小さなラグナの背中に手を当てた。


 ◇


「さて…施術を始めるが…」


 俺は、小さくなったラグナの背中を見つめた。


 鱗に覆われた身体。

 人間とは全く違う形。


(……竜のツボって、どこだ?)


 正直、自信がない。


「どうした? できぬのか?」


 ラグナが、少し不安そうに言う。


「いや、大丈夫。ちょっと探させてくれ」


 俺は集中し、霊体視を深く開く。

 ラグナの霊体が、より鮮明に浮かび上がる。

 その中に――


(……光ってる場所がある)


 ぼんやりと、いくつかの点が輝いている。

 それが、ツボの位置だ。


「なるほど…こういうことか」


 俺は、最初の光点に指を当てた。


「ここか…?」


 背中の中央、少し上。

 そっと指を当てる。


「……」


 ラグナ、無反応。


(違うな。人の霊体とは違って少しずれるかも知れない)


「じゃあ、ここは?」


 少し下に移動して、押してみる。


「……やはり、できぬか――」


 さらに下に移動して、押してみる。


「んっ…!?」


 ラグナの身体が、びくんと震えた。


「お、当たりか」


「な、何を…今の…」


「ここが命門だな。生命力の源だ」


 按圧法。

 ゆっくりと、3秒押して、2秒離す。


「あ……ああ……」


 ラグナの尻尾が、ぱたぱたと動く。


「ちょ、ちょっと待て…そこは…」


「気持ちいいだろ?」


「う、うむ……認めよう……」


 軽擦法に切り替える。

 掌で、命門の周囲を円を描くように撫でる。


「はぁ……あ……」


 ラグナの声が、少しだけ甘くなる。


「次は…ここか」


 俺は、次の光点を探した。


 頭の、角と角の間。


 そっと指を当てる。


「ひゃっ…!」


 ラグナが、甲高い声を上げた。


「ここは百会だな。敏感か?」


「ば、馬鹿な…我が、こんな声を…」


「素直になっていいぞ」


 円を描くように、揉捏法でほぐす。


「んっ…あっ…やめ…」


 小さな翼が、ぶるぶる震える。


「ユージ……すごいにゃ」


 リーネが、小さく呟く。


「竜を相手に、あんなに的確に……」


 セレスも、驚いた顔で見ている。


「でも…可愛い……」


 ミナが、ぽつりと言った。


「黙れ! 我は可愛くなど――んっ…!」


 ラグナが抗議しかけたが、俺が百会を押したせいで声が途切れた。


「次は…ここか?」


 翼の付け根に指を当てる。


「あああっ…!!」


 ラグナの身体が、大きく跳ねた。


「おっ、ここも当たりだな」


「そ、そこは…翼の…っ」


「敏感すぎるだろ」


「う、うるさい…! 竜の翼の付け根は…デリケートなのだ…っ」


 揉捏法で、じっくりとほぐしていく。


「はぁ…ああ…もう…だめ…」


 ラグナの声が、甘く蕩けていく。


「ちょっと…待て…」


 ラグナが、荒い息で言う。


「何だ?」


「お前…本当に、竜を施術するのは初めてか…?」


「ああ、初めてだが」


「嘘をつけ…! こんなに的確に…ツボを…」


「霊体視で見えてるからな」


「そんな…ずるい…」


 ラグナが、涙目で抗議する。


「ずるいって…お前を楽にするためだろ」


「う、うむ…それは…ありがたいが…」


 尻尾が、くねくねと動く。


「でも…もう…限界…」


「まだ半分も終わってないぞ?」


「ぬぅぅぅ…!」


 俺は、ラグナの背中を丁寧にほぐし続けた。


 肩甲骨のあたり――いや、翼の筋肉か。

 そこが特に凝り固まっている。


「ここ、すごく張ってるな」


「そこは…封印を…支えて…きた…場所…」


「なら、しっかりほぐしてやる」


 按圧法と揉捏法を組み合わせて、深く、じっくりと。


「ああ…そこ…そこ…っ」


 ラグナの声が、だんだん大きくなっていく。


「もっと…もっと…」


「欲張りだな」


「う、うるさい…数百年…我慢してきたのだ…っ」


 そして――次の光点。

 首の付け根。


「ここは…心兪か」


 悲しみや後悔が溜まる場所。

 そっと指を当てると、ラグナの身体がぴくんと震えた。


「ここ…押していいか?」


 そして――次の光点。

 首の付け根。


「ここは…心兪か」


 悲しみや後悔が溜まる場所。


 そっと指を当てると、ラグナの身体がぴくんと震えた。


「ここ…押していいか?」


「……構わぬ」


 ラグナの声が、少しだけ震えている。


──第34話「竜の間(中)」・完


【次回予告】

心兪――悲しみの解放。

ラグナの過去が、明らかになる。


「……あやつを、守れなかった」


 ──第34話 竜の間(下)

 おじさん、古代竜を絶頂に導く!


 ◇◇◇

 作者からのお願い。


 ここまで読んでいただいてありがとうございました。


 よろしければブックマークと応援、そしてレビュー【☆☆☆】の方、何卒よろしくお願いします。これから物語を続けていく上でのモチベーションに繋がります。

 コメントも頂けると、深く礼をします!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ