【これまでのあらすじ】
雨の夜、整体師・桐谷悠司は、謎めいた美女ルナリアを施術したことで〈霊体視〉の力に目覚め、彼女の魂を癒やした拍子に異世界グランバニアへと転移してしまう。
見知らぬ森で狼耳の少女ミナと出会い、暴走する彼女の霊体を鎮めた悠司は、獣人の街ファングレストへ案内される。人間ゆえ拒まれながらも、施術で信頼を勝ち取り、老獣人マーサの助けで街に迎え入れられる。
空き家を譲り受けた悠司は、ミナの勧めで〈ユージ堂〉を開店する。そこに猫娘リーネが現れ、店は瞬く間に評判を集めていく。嫉妬と戸惑いに揺れるミナを悠司は再び癒やし、彼女は店に住み込む決意を固める。
癒やされた人々の笑顔が広がり、ユージ堂は治癒ギルドに正式登録される。ミナとリーネが手作りした看板『おかえりなさい、癒やし処 ユージ堂』を掲げ、悠司の異世界での新たな日々が静かに始まっていく
◇
アークベル王国の名家から正式な依頼を受けた悠司は、
ミナとリーネを連れて豪奢な屋敷へ向かう。
そこで出会ったのは、完璧な礼儀と所作を持つ令嬢セレスだった。
施術の最中、悠司はセレスの霊体に"二重の輪郭"を視る。
それは長年の変身による負荷の痕だった。
夜の屋敷で、悠司は病弱な本物の令嬢エリシアと遭遇し、
セレスがシェイプシフターで影武者だったことを知る。
孤児だったセレスは、当主に救われた恩義から影武者として仕え、
変身の代償で霊体が軋み始めていた。
悠司は秘密裏にエリシアを施術し、乖離した霊体を繋ぐ。
初めて立ち上がったエリシアは、父に「彼女を解放して」と直訴する。
セレスへの本番施術で、霊体の残滓が消え、本来の姿が現れる。
金髪、琥珀色の瞳、額の金色の紋章――シェイプシフターの特徴が戻り、
セレスは涙を流しながら「これが、私……」と自分を受け入れた。
別れの際、エリシアは象徴の髪飾りをセレスに託す。
「あなたの時間は本物です」
解放されたセレスは、ユージ堂の新しい仲間として迎え入れられた。
悠司が「おかえり」と応じると、セレスは静かに微笑んだのだった。




