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7話 ゲーマーJKとクソゲー疑惑


両親が栃木に行ってから六日、明後日には二人が帰ってくるのかと時間の過ぎる早さを感じている日曜日。

今日は特に予定も無いしゲームするかと朝からゲーム機を起動しようとするとスマホに着信が。

朝からなんだろうと画面を点けると、お母さんからのメールで明後日の昼前には帰るとのメッセージ。

昼前だとその時間は私は学校に行ってるから家に居るのはミカエルだけだし、後でミカエルに伝えておこう。


「で、ゲーム機を起動したのは良いけど何やろうかな……」


日曜日で時間はいくらでもあるし、積んでてやってないゲームでもやっていくかな……。


「……ん?ラストソードなんてゲーム買ってたかな」


購入したゲームライブラリの奥にあった一本の剣のみが描かれたアイコンの、シンプルなタイトルのゲームソフト。

何かで話題になってた時にでも買ったんだっけ……?

覚えてないけど、他にやるゲームも思いつかないし今日はこのゲームで遊んでよ。


「やる前にポテチとコーラ用意しとこ」


私はゲームを起動すると同時に立ち上がり、キッチンにポテチを数袋と二リットルコーラを取りに行った。



〇 ● 〇 ● 〇 ●



キッチンから戻ってくると、ゲーム制作メーカーのロゴが消えるタイミングで次の瞬間画面に映るタイトル画面。

崖際に立つ主人公と主人公の前に広がる広い世界という何かの伝説っぽい構図のタイトル画面だけど、まぁ最近のゲームだとよくある構図かな。


「オプションは……サウンドと言語表記、画面の明るさの三つか。少ないけどインディーズ系のゲームだと言語表記で複数言語から選べる分充実してるまであるかな……とりあえず日本語で、と」


んじゃ、設定もしたからゲーム開始!



『ここは、世界の南端にある小さな村。この小さな村に住む一人の青年の目覚めからこの物語は始まる……』


真っ暗な画面に白い文字で現れる文章。

数秒ほどで文章がゆっくりと消えると、軽快な音楽と共に流れる村の中を映すムービー。


「って最新のゲーム機なのにムービーがポリゴンみたいにカクカクなんだけど!?」


昔のゲーム機のゲームならこんな感じのムービー多いけど、それは時代が時代だったしゲームによっては今でも通用する綺麗なムービーのゲームもあったよ!


「いや、もしかしたらこの古い感じのグラフィックがこのゲームの味かもしれないし、ムービーだけで決めつけるのはよくないよね」



『「ほらむすこや もうあさだからそろそろおきなさい」』

『「うぅん…… もうおきるじかんか」』

「テキストオールひらがな!?オープニングで漢字使われてたのに!?」



『「きょうからおうとへ でかせぎにいくってきめたんだろう? そんなみためだらしなくてしてたらはたらきぐちはみつからないよ! もっとしゃきっとおし!」』

『「わかったよ……」』

「グラフィックが荒いから主人公の見た目がどうとか言われてもパッと見てもわからない……ってかひらがなオンリーってすげぇ読みにくいなこれ」


画面外へ姿を消した主人公が戻ってくると、気持ち見た目整ってる……?と感じられるくらいにはグラフィックが変わった気がする。

きっと、たぶん、変わってる気がする。


『「うんうん おとこまえになったじゃないか!」』

『「それじゃあ そろそろおうとへいってくるよ」』

『「そのまえに おうとへいくみちにはもんすたーがたくさんいるからなにかぶきをそうびしてかなくちゃあぶないよ!」』

『「おっとそうだった はやくおうとへいきたくてあせってたよ」』

「確かに、モンスターが居る世界なら装備の一つは無いと危険だよね」


主人公の母親から装備を買うお金を貰って、言われた通りに村の武器屋へ。


「装備を買えってお金貰ったけど、5ゴールドってお金少なすぎるし武器買ったらギリギリなんじゃ?」

『「お よくきたな! なんかこうてくれや」』

「売ってるのが5ゴールドの安っぽい剣と2ゴールドの薬草だけ……って武器買ったら残りのお金ゼロじゃん!これもしかして薬草買ったらモンスター倒す手段無くて詰んでた可能性が……?」


最近のゲームで詰み要素があるゲームって珍しいような……。

昔のゲームはロマ〇シアみたいに当たり前のようにノーヒントで詰み要素だらけのゲームがあったって話だけど、そんなゲームを当時の人はどうやってクリアしたんだろうね。


「村の中探索したら何かアイテムないかな?自由に探索できるゲームなら建物の裏とか家の中にアイテムがあるのがお約束だけど」


持ち物が装備した剣一つだけでは心許ないしね。

そう思って村の中をまわってアイテムを捜すと薬草とステータスアップのアイテムを一つずつ入手した。


「力の種は攻撃力が一上昇……上昇値が固定ならステータスアップ系のアイテムは見つけ次第すぐ使っちゃってもよさそうだね」


これで準備は整った。

村を見てまわっている時に村の人に話を聞いて、目的地の王都(ゲーム中ずっとひらがなだけど、漢字だとこの王都であってる?)へは村から遥か北にあると言う。


『「お きょうからおうとへいくんだってな おうとへはこのむらからきたへとおくにあるからきをつけていけよ!」』

『「ありがとう むらのことはたのんだぜ」』


村の門番に入り口を開けてもらって飛び出すは緑色の平原に青い空のフィールド画面。

お世辞にも滑らかなグラフィックとは言えないゲームだが、遠くの方まで見渡せるフィールドと、平原には所々動くモンスターらしい生物の姿が見受けられる。


「村の外に出ると自由に武器が振り回せるようになるのね。アクションRPG系のゲームは好きだからこの辺りはすぐ馴染めるかも」


早速フィールドに居る敵に向かって走り、剣を振って先制攻撃を決める。

流石に最序盤だからステータスが低くモンスターを一撃で倒す事は無理だったが、モンスターの上に表示されている赤いゲージが半分近くまで減っている。

後数発攻撃したらたおせそうだとボタンを押して攻撃する。

その瞬間、こちらが攻撃中にも関わらずモンスターが突進攻撃をしてきてモロにくらった主人公が仰向けに吹き飛ばされてダウンする。


「ええええ!?こっち攻撃してたじゃん!一気に攻撃しまくるのはダメって事……?」


ある程度攻撃したら回避行動で下がるなりしなきゃいけないのか。

とはいえこういうのは他のゲームでも割とあるから、今のうちに知れたのは良かった。

それから敵に攻撃し、回避して敵の攻撃を避けて更にこちらが攻撃とモンスターを何匹か倒していると、画面いっぱいに広がるクソデカレベルアップの文字。


「レベルアップの主張が強い……!」


その癖に上昇するステータスの表示は控えめで、画面左上の主人公の体力ゲージやスタミナゲージ、もう一本のおそらく魔力ゲージか何かの下に小さく上昇ステータスが表示されている。


「あ、ステータスが上がったおかげでさっきよりモンスターが楽に倒せる」


レベルアップしてから同じモンスターと戦うと、さっきは体力の半分近くしか減らせなかった攻撃で今度は三分の一以下まで体力を減らせた。

もう一度攻撃すると敵の反撃を受ける事無く倒せたので、レベルとステータスがこのゲームはかなり大事なのかも。

フィールドの探索を兼ねてモンスターを倒しつつ、横道を見つけるも『こっちはおうとへいくみちではない』と表示されて行けなかったり、時には自分の体力が減ってきたら村に戻って回復を繰り返し、レベルがいくつか上がったのでそろそろ先へ進もうと平原を進んでいく。


「お、なんかムービー始まった」


平原の奥にある木で作られた橋を渡り、反対側に見える陸地へ進んでいく主人公。

しかし、突如として橋を揺らす地響きが主人公を襲う。


『「はしがゆれてる!? いったいなにが」』


主人公が橋の奥に視線を向けると、反対側から緑色の巨体が橋を歩いてこちらに向かってきている姿が画面に映る。

主人公の何倍もある巨体なら一歩ごとに橋が揺れるほどの重さもあるのもおかしくは無いだろう。

このゲームならきっとそんな気がする。


『「ぐるるる……!」』

『「うわぁぁぁ! きょだいなおーくがはしのうえをねりあるいてる!!」』


主人公が巨大なオークの姿に腰を抜かしてしまうも何とか体勢を立て直し、走って橋を引き返していく。

主人公にオークと呼ばれたモンスターはその手に持っていたこん棒を橋の上に叩きつけると、一瞬にして橋は壊され道が途絶えてしまった。


『「あぁ! おーくにはしをこわされてしまった! これじゃあおうとにどうやっていけば……ほかにいけるみちがあればそっちをとおればいけるか?」』

「他の道……あっ、もしかしてさっき行けなかったとこが?」


道を戻ってさっき行けなかった場所に行くと『「とおまわりになるけど このみちをとおればおうとへいけるかも」』と表示されて奥へ進んでいく主人公。

画面が切り替わると、明るい平原とはうって変わって薄暗い森の中へ。


「なんか植物系のモンスターが出てきそー」


とか言ってたら案の定、森に出てくるモンスターは草や花に似たモンスターの数々。

その中に混じって新たな敵モンスターのゴブリンも登場し、モンスターに囲まれる事も増えてきた。

近距離はゴブリンの攻撃が、遠距離から種や花弁を飛ばして攻撃してくる植物によって苦戦を強いられるも、回復アイテムの薬草や村に戻って買い物、回復と繰り返してレベルを上げつつ少しずつ進んでいく。


「ゴブリンの動きが速いのが厄介すぎるこれ!」


一匹一匹は大した強さじゃないから何とかなってるけど、動きの速いゴブリンを攻撃しようとして回避されたタイミングで植物の遠距離攻撃が当たる、というのが森での苦戦パターンになっている。

無理に全部倒そうとすると厳しいかも……ここはあえて戦わないで逃げよう。


『「ぐきぃー!」』

「これゴブリンが速いから逃げられないのか……やっぱり倒してくしかないか」


植物の動きに注意しつつ、逃げるゴブリンを無理に追わないように一匹ずつゴブリンを倒していく。

余計なダメージを受けないようにと植物の遠距離攻撃を受ける回数を減らせたおかげか、森の奥へと進むスピードはさっきより上がっていった。

そのまま森の奥へ進み、出口が見えて森の外へ出ると荒野のようなフィールドに出た。

荒野をモンスターを倒しながら進んでいくと小さな村があり、建物の数は少ないながらも宿と道具屋があって新しい装備を揃えつつ宿で回復をする事ができた。

ここでふと部屋の時計を見ると、時計の針はいつの間にか午後の三時近くを指していた。


「気がついたら結構な時間やってた……今回はここでいったん終わりにしてまた今度続きからにしようかな」


お腹も空いてきたし、そろそろ昼ご飯も食べて別のゲームでもやるとしよう。

冷蔵庫に何か食べれるものあったかな?




〇 ● 〇 ● 〇 ●


ーーちなみにスズがゲームをしている間、本日のミカエルの方はというと


「ふふふ……朝から晩までベッドの中でアニメを見る……なんて良い一日なんだろうな」


ーーイヤホンを耳に付けて溜まっていた深夜アニメを一気見していた


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