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4話 グータラ天使と金の出どころ


気になっていた新作のゲームが発売して買った日の夜。

高校生になってお母さんから貰えるお小遣いが増えたとは言え、新作ゲームがちょっとお高い値段をしてたのもあって消費するお金も多く、学校での学食や友人と遊ぶのにちょっと困る可能性が出てきている。


「ゲーム買ったのは良いけどもうあんまりお金残ってないし、何かアルバイトとか考えてみようかなぁ」

「もしやスズもあのゲームを買ったのか?」

「気になってたから買っちゃった。って『スズも』って事はミカエルも買ったの?」

「調べたらセーブデータが一つしか無いタイプのゲームみたいでな。私も自分の分で買って、さっきダウンロードしたばかりだ」


「後で早速遊ぶとするかな」とミカエルが私の部屋でベッドに寝転んで漫画を読みながら言う。

先週も新しいゲームソフト買ってたと思ったけど、もうクリアしたのかな?

ゲーム買うペースが早いなぁ……と思ってふと気になる事が。

洋甘堂でシュークリームを買ったり、新しいゲームやゲーミングPCを買ったりと色々とお金を使っているミカエルだけど、そのお金は何処から来ているのだろうか。

最初はバイトでもしてるのかとも思ったけど、普段家でゲームしてるか寝てるかばかりのグータラ生活をしてるミカエルがバイトをしてるとは思いにくい。

もしかしてお父さんかお母さんがお金をあげてるのかとも思って二人に聞いてみると、むしろミカエルから生活費としてお金を貰っていると言われて私の頭に浮かぶ複数のハテナマーク。

いっそ本人に聞いてみるのが早いかな……?

部屋に居るし丁度いいタイミングだと聞いてみる事に。


「ミカエルってバイトか何かしてたりする?」

「バイトだと?私はそんな面倒な事はしたくないぞ」


あ、これは絶対バイトしてないわ。

しかしそれならどうやってお金を得ているんだろう。


「でも昨日も新しいゲーム買ってたけど、そのお金って何処から出てるの?しかも家にお金も入れてるってなると結構な額になると思うけど」

「む、それは私の収入源が知りたいという事か?」

「そうだね」


頷いて答えると、ミカエルは漫画を置いてゆっくりとベッドから起き上がり「着いて来るといい」と言って部屋から出ていくので、言われた通り着いて行く。

そしてミカエルの部屋でPCデスクに向き合って椅子に座るミカエルとその側に立つ私。

「そこで見ていてくれ」とPCの電源を点けて表示されたデスクトップの画面から操作して画面に表示されたのは折れ線グラフや数字が幾つも表示された画面。

それらの情報の他にも売るや買うの文字や、見覚えのある企業名が……え、まさかこれ!?


「これ……確か株ってやつだよね?」

「そうだ。スズ、これが私の収入源の正体だ」

「ミカエル……株やってたんだ」

「働かずに金を稼ぐ方法を捜してたら株取引と言うのを知ってな。ママさんから貰った小遣いを元手にやってみたら成功してな」

「えっすご……」

「そうだろうそうだろう?」


慣れた手つきでPCを操作するミカエルはカタカタとキーボードで数字を入力してマウスをカチカチとクリックする音を鳴らしている。


「よし、昨日より少しだが株価が上がって利益が出ていたから今のうちに株を売却したぞ」

「利益って事は、お金が増えたって事?」

「ああ、これで買ったゲームの代金分は回収できそうだ」


私は株に詳しくないから良くわからないけど、ミカエルの発言からして数千円以上が今の一瞬で得られたらしい。

ミカエルはスマホを操作して「うむ、ネットバンクにちゃんと入ってるな」と満足そうな顔だ。


「ネットバンクもいつの間にか作ってたんだ……」

「株をやるのに必要だとやり方にあってな、面倒だったが自分の口座を開設したよ」

「なるほどね……あれ?銀行で口座作る時って身分証明証とか必要だったりするはずだけど……ネットバンクだとそういうの必要無かったり?」


ミカエルって天界から来た天使だから、日本だと身元不明の人って状態じゃない?

身分証明証の類も無いはずじゃ……。


「株をするのに使っているネットバンクは名前と住所など幾つかの情報で開設できたぞ。それと身分証明証の類に普段使いする別の銀行口座に戸籍に住民票などは、以前ママさんに『こっちで暮らすなら色々と必要になるから頑張って作っちゃいましょ!』と役所やら銀行やらに連れられてな……。その日は一日中あちこち行って大変だったが、書類は一通り揃えたよ」

「一日で全部揃えるのは大変だったね……お疲れ様」

「うむ……人間界は生活するのに必要な物が多いのだな」


と言ってミカエルは近くの引き出しから何かを出して私に見せて来る。

近所にある銀行のキャッシュカードや保険証にはミカエルの名前が刻まれている。

私が受験の合格発表を見に学校へ行った日、帰宅したらミカエルが疲れ切ってダウンしてたけどそういう理由だったのね。


「しかしママさんが言ってたのだが、身元がハッキリしない居候の立場だと何かあった時に大変だというのもわかるからな」

「まー確かにね。身元不明って何かあった時に疑われやすかったりするらしいし」

「そうなってはスズやママさんたち両親に要らぬ厄介をかけてしまうのは私として……天使としても望んだ事では無い」

「ミカエル……」


そうか……ミカエルは私たちの事も思って……!




「何より私のグータラ生活にも影響が出てしまうのは何が何でも避けたい!」

「あ、結局はそこなのね」





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