第四話 学校生活
市立篠宮高校。
そこそこエリートな高校である。
「やば、鬼塚いるわ・・・」
生徒たちがひそひそ話をしているのが聞こえる。
俺は鬼塚賢治。篠宮高校の生徒指導係である。
今日は校門に立って生徒をチェックしている。
この高校の規律を乱すものは許さないという使命を持ち、生徒指導係に立候補した。
大体の生徒には『鬼』と呼ばれ恐れられているが、唯一この俺の威厳が効かない人物がいる。
「やぁ~鬼塚」
金髪の男子生徒が歩いてくる。
「髪を染めるな!金森!」
金森アレク。普段の授業もちゃんと受けているのか・・・
「うん。朝から校門に立つ。ご苦労なこった」
「・・・」
「じゃあ、これからも頑張りたまえ!よろしく!」
「・・・」
普段から高校中の教師にマークされている。
次は話しながら三人がやって来た。
黄緑の髪の日比谷めろん。
赤い髪の窪田紅王。
黄色の髪色の萩原祐樹。
こいつらは主人公たちだから目立ちのために作者が髪色を変えているのだから仕方ない。黙認してやろう。
ホームルームがもうすぐ始まる。
私は担任をしているめろんたちのクラスに向かって歩いていた。
今日は私は機嫌が悪い。
この前の中間テストがあまりにも悪かったのだ。
学年トップはいつも通りめろん、紅王、祐樹が独占しているのだが、他の生徒達にはしかるべき対応をせねばならん。
勢い良くクラスのドアを開ける。
むっつり不機嫌そうな顔をしてやる。
生徒たちは少しおびえた様子。
「今回の中間テストだが・・・」
教室が静まりかえる。
「非常に悪かった!ちゃんと勉強しているのか?今日のホームルームは抜き打ちテストだ!」
「え~」
教室が不満の声で包まれる。
奥の方の席では俺の陰口をたたいているのか、ひそひそ話をしているやつまでいる。
黒板に y=x-2 (-1≦x≦2)と書き込む。
「この関数の値域を5分以内に求めて、先生のところに持ってきなさい!」
「-3≦y≦0」
教室がざわめく。
先生の元にノートを持って歩いてくる金森アレク。
「これであってるよね?先生?」
思い出した。
中間テスト1位は日比谷めろん。2位は萩原祐樹。3位は窪田紅王。
そして4位は去年から順位を29上げた、金森アレク。
「よ、よろしい・・・」
1時限目。
めろん達のクラスは体育だ。
さっさと着替えを済ませためろんは体育館へと向かう。
するとそこには祐樹と紅王がいて、体育教師はいなかった。
教員室にでもいるのだろうか。
「どうした?」
「めろんに見てほしいものがある」
そう言いながら祐樹が体育教師がセットしたであろうかなり高めの跳び箱に向かう。
「その跳び箱高いぞ。祐樹跳び箱苦手だったから無理だよ・・・って、え!?」
祐樹は跳び箱を飛び越えた。
さらに空中で一回転してからの着地。
beautiful。
「ど、どうしたんだ!おかしな薬でも飲んだか!?」
「いや、違う。めろんも跳んでみなよ」
「え~」
嫌々助走をつけ始める位置へと向かう。
次の瞬間。飛ぶ鳥を落とす勢いで走った後、跳び箱を軽く跳び越えた。
「え?」
「異世界に行ったことで何か運動能力が向上していたりするのかも・・・」
紅王が考え込む。
すると体育館にずかずかと生徒たちが入ってきた。
2時限目。算数だ。
問題をスラスラと解いていくアレク。
鬼塚も圧巻の光景だ。
3時限目は家庭科。
「今日は味噌汁を作る!」
ここで目立ったのは紅王だ。
物語の中で絶対一人いるのが料理苦手キャラ。通称『メシマズ』。スパイと殺し屋と超能力者という奇跡のコラボを実現したアニメの妻役とか、近所の子供に暴力を振るい力でねじ伏せているが、母には弱いあのガキ大将とか・・・あ、あまり知られていない気がするけど、小さくなった名探偵がサッカーボールをぶつけて悪人どもをお仕置きするアニメのへっぽこ探偵の奥さんも料理が下手らしいよ。でもこの作品にはいない。
紅王は野菜を華麗に切り刻み、味噌を慣れた手つきで入れる。
クラスの男子は見入っている。
そういえば、三郎にピーマンを混ぜたハンバーグを作ってやっていたっけ。
異世界でも役に立っているな。
(それより何で身体能力が向上しているのか・・・)
考え事をしながらスプーンで自分の作っている味噌汁をすくうめろん。
(今度祐樹と一緒に相談を・・・)「まず!」
味見をした自分の味噌汁が絶望的にまずかった。
「え?」
容器の中を見てみると・・・
「何でそうなった?」
よく分からない食材が大量にねじ込まれた味噌汁。
「考え事って、恐ろしいなぁ・・・」
異世界での物語ばっかりだったので少し今回は趣向を変えて学園ものにしてみました。
次回はまた異世界です。
次回予告 第五話 アバーハイト