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そして巨乳はいなくなった 解決編

話は少し戻り、トンキから巨乳女子達6人が出て行って、ホームズが遅れて僕の下に戻って来てからのことだ。

「相棒、全員が居たみたいだったな。あ、そういえば、メモを見て思ったんだが、この部活や委員会の所属はどこで調べたんだ?」

「そんなの教師に聞いたんだ。もちろん、探偵部で使うって言ってな」

「そうだったのか」

「いや、それよりだ、ホームズ。ヌーブラを一つ買ってきてくれ。それと、明日の昼休みに彼女達を部室に集めてくれないか?」

「ああ、いいけど。どうするんだい?」

「謎を解決する。そのための細工をするんだ」

「細工?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昼休みの部室、僕とホームズが待っていると彼女達は揃ってやって来た。

「何?用事って?」

入ってそうそう矢沢がそう言う。

「持ち主にヌーブラを返そうと思って」

僕はホームズに視線をやる。

彼女はその視線に「あっ!」と声を出してから、昨日購入したヌーブラを机の上に置いた。

「あのさ、私らは関係ないって……」

「その言い方。その言い方が手掛かりでした」

矢沢の言葉を遮り、僕はそう言った。

「どういうこと?」

「皆さんはクラスが別々の生徒です。それなのに全員仲が良い。6人揃って今日ここに訪れた事も、トンキのコーナーに一緒に居たことも、仲が良いことの証明です」

「だから何?」

「少し不自然なんです。他の高校なら元クラスが一緒という理由が考えられますが、僕達の高校にはクラス替えがありません。だから、全員が仲良くなるには、部活や委員会の存在が発端となる」

「回りくどいんだけど。何が言いたいの?」

「……そうですね。では、先に持ち主を明らかにしましょう。

ヌーブラの持ち主、それは……

大宮さん、貴方ですね」

「ど、どうして?わ、私が?」

「根拠は所属の委員会です」

「どういうことですか?」

「大宮さん。貴方は矢沢さん以外と面識がありませんよね。違いますか?」

「……」

「無言は肯定と受け取ります。恐らくメンバーを集めたのは矢沢さんからでしょうか。矢沢さんは料理部で仲の良い外山さんを。外山さんは文化祭実行委員で仲の良い藤本さんを。藤本さんはバレーボール部で仲の良い光本さんと花本さんを。違いますか?」

「別にいいじゃない。そうやって仲良くなるのが変?っていうかメンバーって何よ?」

「ヌーブラを付けていると中川に誤解させるためのメンバーですよ。そうでしょ?」

「どうして?そこまで?」

「いえ、憶測です。でも、その発言からするに恐らく当たっているんですね。

中川は無類の巨乳好きであり、同じクラスで大人しそうな大宮さんは彼からのセクハラに悩んでいた。

それで、そのことを図書委員で仲良くなった矢沢さんに相談。

矢沢さんは、解決するために、胸を小さく見せる方法が分かればいいのではないか、と思いついた。

そして、その方法を探るためにあなたは、巨乳仲間で仲良くしていた外山さんに相談をする。

更に、事情をしった外山さんは藤本さんに……。というような感じで六人は仲良くなったのでしょう。

しかし、肝心の胸を小さく見せる方法は見つからなかった。

だから貴方達は違う方法を考えた。

レントゲン検査の際にヌーブラを付けていると奴に誤解をさせる作戦を」

6人は僕の推理に驚いている様子だった。気持ちが良くなった僕は目を閉じて話を続ける。

気分はまるで説教をしている教師のようだ。

「僕がこうした推理にたどり着いたのは、ヌーブラに対する違和感でした。

レントゲン検査は基本ブラトップです。つまり普段ヌーブラを付けている人でも外すことになります。

そうすれば誰だって変化に気付くでしょう。

それなのに診断の時間が違う保健委員の女子以外がその事実に触れている様子はない。

それこそが僕がこの謎を解けた決め手ですかね」

目を開けて6人を見る。すると、先程と同様に驚いてはいるのだが、ドン引きというような表情に変わっていた。

「どうして女子のレントゲン検査に詳しいの?」

大宮さんがボソッとそう言う。その言葉に僕はようやく冷静になる。

気持ちよく喋り過ぎた!最悪だ!

「えっ、いや、それは……。いや、それより!これは実は中川の依頼で!」

僕は大声で衝撃の情報を言ってその場を誤魔化そうとした。

「いや、それは知ってる」

ただ、冷静に矢沢がそう返す。

「えっ?ああ、そうか!僕らに全員がヌーブラを付けていると中川に伝えさせるために、全員でヌーブラを買いに行く振りをしたのか!」

「そういうこと」

矢沢は得意げに返す。

「なら、作戦があります」


そうして、僕らは放課後に中川を上手く騙したという訳である。

探偵部の華麗なる事件の終幕だ。これには僕も文芸部兼探偵部員として鼻が高い。


ただ、一つ、問題なのは僕に対して、不名誉なあだ名が付いたことである。

「ホームズとキモい探偵!依頼したいことがあるだが……」

部室の扉を開けた新しい依頼人がそう言う。

「相棒、新しい事件らしい」

ホームズはシャーロックポーズをする。僕は隣でため息を吐いた。



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