美少女仮面・三日月!降臨!!
夜中。
その街の中でも割と高い建物の屋上。
どうやって侵入したのか一人の少年が柵の外に立っていた。
明らかに危ない。
しかし夜中なので誰も気づかない。
少年は思い詰めていた。
いじめに嫌がらせ。もう耐えきれない。
・・お父さん、お母さん、ごめんなさい・・
少年は柵から手を離す。
後は足を一歩踏み出せばいい。目をつむる。その時だった。
「コラコラァ~、キミ!危ないよ」
目の前に、人が浮いていた。信じられない?
あっけにとられている少年に彼女は明るく答えた。
「あ~、アタシ?美少女仮面・三日月!ただいま降臨!ビシ!」
腰に手を当て敬礼。多分彼女のアイキャッチ?
着ているミニのふりふりドレスがなんか浮世離れしている。
「いや、仮面て、顔丸出しじゃん?」
少年はぼやいた。確かに美少女だ。年頃男子なら100%ガン見するだろう。
「いいのよ!この額の三日月がかっこいいでしょ!アンタ月光仮面のオジサンくらい知ってるでしょ?あれも仮面じゃないじゃない?」
力説された。まぁ、確かに大した定義はないんだろうが顔丸出しで”美少女仮面”はないだろ?
「いいのよアタシ、魔法少女なんだから!新米なの!よろしく!」
・・魔法少女?あ~、だから空飛んでんのか?・・
魔法少女は不敵な笑みで問う。
「アンタこんなとこで思い詰めちゃってさ?もしかしてアレ?学校でトイレの大きい方したくなったんだけど恥ずかしくてなかなかいけなくて授業中にプ~ってやっちゃってみんなから笑われて先生に苦笑いされて結局トイレに駆け込んだとかそれが原因?なんちゃってぇ~」
「・・・・」
「あ~・・なんかゴメン・・」
少年は思いっきり赤面した。カッと血が上る。
恥ずかしい!
逆上。エイやっ!と一歩踏み出した。
落ちる。落ちる。落ちる。意識を失いかける。その時!
ガッ!
と、音がしたかどうかは分からないが、彼は一気に上へと上昇した。
チラリと上を見る。
美少女仮面・三日月とやらが彼の襟首を掴んで元の屋上へと引っ張り上げていた。
ドサ!
地面に腰を着く。少しすると体がガタガタ震え出した。
「もう一回飛んでみる?今度は止めないケド?」
三日月がニヤリと笑った。
彼はぶんぶんと首を振った。
あんな恐ろし思いをするくらいならもう一度やり直した方がマシだ。
「ほら、立ちなさい。送るわ」
三日月が手を差し伸べる。
が・・にわかにこの美少女の顔が歪んだ。
「・・アンタ、少し匂うわよ?」
少年は赤面して言った。
「ゴメン。漏らした・・」
読んでいただいてありがとうございました!
面白かったら★★★高評価お願いしますw
他に短編3本掲載していますのでそちらもぜひ読んでみてください!