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黒服たちに連れられて





 舞台は今よりも少し先の未来。20XX年、帝都東京——。

 遺伝子工学の研究が活発な日本帝国では、大幅な国家予算を注ぎ込み、秘密裏に数多あまたのクローンが造られていた。


 そして、現首相である九頭龍清麿くずりゅうきよまろ統治のもと、ゆっくりと腐敗していく日本帝国の政治。現政府の横暴な政策や過剰なまでの税の搾取に国民たちは皆疲弊し、不満が高まる暗黒の時代。今再び、人々は改革を必要としていた。



 これは、百数十年前、新政府軍に敗北を喫した旧幕府軍の志士たちが現代に甦り、栄光と安寧を取り戻すために戦い抜く、命を賭した革命の物語だ。







✳︎✳︎✳︎







 八神桜河やがみおうがはどこにでもいる、ごく普通の男子高校生だ。高校生活も2年目に入り、刺激もなく代わり映えのしない日常を享受していた。


 しかし、桜河には普通の高校生とは違うところが一つだけあった。


 それは、競技射撃の選手ということだ。


 競技射撃は、標的射撃とクレー射撃の2種類に分けられ、桜河は空中に飛ばされた“クレー”という皿状の標的を撃ち得点を競うクレー射撃の選手である。


 本日も、学校から帰宅してすぐに射撃場へ向かう予定だ。




 高校からの帰り道、桜並木の通学路をひとり歩いていると、後方から一台の黒塗りの車が現れ、急ブレーキをかけて桜河の目の前に止まった。


(なんだ⋯⋯!?)


 驚いた桜河は思わず後ずさる。

 すると、目前の車から同じく真っ黒なスーツを着た厳つい2人の男が現れた。



「お前が八神桜河だな? 突然だが、我々と共に来てもらおう」


 黒服のうちの1人、長髪の男がそう言って、桜河の腕をグイッと乱暴に掴んだ。



「はぁ!? 意味わかんねえ! 離せよっ!!」


 突然のことに桜河は必死に抵抗するが、自分よりも遥かにガタイの良い2人の男に囲まれては為す術もない。



「命が惜しいのならば静かにしろ」


 騒ぎ、暴れる桜河に痺れを切らした丸刈りの男性が、おもむろにスーツ下のホルスターから拳銃を取り出した。そして、見せつけるかのようにゆったりとした動作でセーフティを外し、それを桜河の背中に突き付ける。



「⋯⋯っ!!」


(こいつら、なんで拳銃なんか持ってんだ!?)


 その拳銃が本物か偽物か、桜河には検討もつかなかったが、男たちが本気で自分を殺すことも辞さないということを察して口を閉じる。

 丸刈りの男は大人しくなった桜河の背中に相も変わらずグリグリと拳銃を突きつけながら「乗れ」と一言だけ発した。桜河は渋々ながらもそれに従う。

 すると、長髪の男は桜河が後部座席に腰を落ち着けた途端、胸ポケットから取り出した白い布を目元にぐるぐると巻きつける。



(誘拐なのか!? でも俺の家に身代金を要求したところで、出せる金額はたかが知れてる⋯⋯。身代金目的で無いとすれば、後は⋯⋯もしや、俺の身体目当てなのか⋯⋯!?)


 暗闇の中、桜河はそんなことを考える。


 忙しなく回転する頭とは裏腹に、後部座席で屈強な男たちに挟まれる桜河は、身体を出来るだけ小さくし、縮こまることしか出来ない。


 そして、桜河を乗せた行先不明の車は何事もなかったかのようにその場を後にしたのだった。










貴重なお時間をいただきありがとうございました!

ここまで読んでいただけて嬉しいです!

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