#5 僕、5歳になりました。
遅くなってすみません。もうちょっと頑張って書いていきたいと思っておりますので、悪しからず…。
~街の道端~
「今日も、どんどん演奏させていただきます。だいたい、1時間の予定です。1秒でも、1分でも、1時間しっかり聞いてくださっても構いません!!では、始めますよ~!!」
大きな声で、なおかつ饒舌に、小さな男の子が、客寄せをしている。
彼が一声かけると、一人、また一人と、客が集まってくる。
ざっと50人以上だろう。人数が多くなってきたのを確認してから、彼は指を《パチン》とならす。
そう、演奏が始まるのだ。彼の、レオの演奏が。
ここまで、1年間1週間に3回もの頻度で、道端ライブをやった結果、熱狂的なファン?から、空いている時間があれば見に来てくれるおっちゃんまで、多くの人が来てくれるようになった。
彼は、観客が増えてきたころ、リクエストを受け付けるようになった。それもあり、彼の演奏が好きな人はとことん、のめり込んでいったということだった。
観客の中には、曲の最後や、ライブ終了後にチップとして幾らか置いていく人もいた。子供のお小遣いというには、もはや稼ぎすぎといっても過言ではない。
そして、ここまでのライブを続けてきた結果、新たに解放したスキルも非常に多くなっていた。
今のスキルが、こんな感じである。
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指パッチン神
♪基本スキル
…略
★便利系スキル
【異空収納】Ⅱ
†戦闘系スキル
◎魔術系スキル
・【魔法陣生成】Ⅲ
・【属性理解】Ⅹ
‡物理系スキル
・【身体術】Ⅲ
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もっとも、簡易版なので、解放されたスキルしか表示されないのだが…。
ライブでは、不測の事態や、うれしい出来事も多い。
例えば、不良みたいなのが絡んできたり、邪魔をしようと、足元を引っかけてくる者もいる。
大抵、そういう邪魔をしようとする輩のすぐ前をナイフが通るため、未遂で終わるのだが…。
誰が投げたかは、すぐにわかる。護衛としてメイドが隠れているからだ。
逆に、うれしいことはというと、そこらのおっちゃんや、冒険者の方が声をかけてきて、
「俺その曲好きなんだよ!」とか「次この曲頼めねぇか。」
とかって、話しかけてくれた時だ。
なんといってもやる気が出るためうれしく思う。
さてと、こんなことをやっている間に、坊ちゃんの、演奏が終わるみたいですよ。
今日の実況は、メイドである私が務めさせていただきました。
「坊ちゃん帰りますよ~!」
「分かった~(笑)」
~帰り道~
「坊ちゃんは、将来何になるんでしょう?」
「僕~?冒険者になりたいな。」
そういうと、メイドの顔が引き攣ったように感じた。
「坊ちゃんは、旦那様の家を引き継いでいかないといけません。そんな無責任なことは、あまり大きな声で言ってはいけませんよ。」
「そう?じゃあ、11か月後の誕生日までに、凄い人になって、学校に6年間通って、だれも文句が言えないようにするね。」
「坊ちゃん。自分のことをきちんとわかって話すようにするんですよ。」
さて、このメイド。実は、教育係でして、レオがあまり勉強を頑張っていないということを知っていましたので、この時はまだ、そんなことは不可能と思っていました。
まさか、世界の常識が変わるほどのことを成し遂げてしまうとは、予想だにしなかったでしょう。
五歳になって一か月ぐらいと考えておいてください。
6年の学校と書きましたが、私たちの世界の学校の概念とは少々ずれていると思ってください。