#3 スキルの概要
~帰宅中~
「指パッチン神っていうスキルなんだって?どんなスキルなんだ?」
「全然よくわかんないんだけど、指パッチンが上手くなるんじゃないかな?」
「……それだけなのか?」
「それがね、ホントに分からないの。進化して、強くなるって……」
「ふむ……謎だな……」
結局わからずじまいで終わってしまったようだった。
~家~
「ただいま~。」
「ただいま~!!」
「お帰りなさいませ、旦那様、お坊ちゃん。スキルはどんなものでしたか!?」
せっかく、途中までクールだったのに、どうしても、興奮を押さえられなかったようだった。
この後、結局同じ説明をしたのだが、見せてほしい。と、言われまくったので……明日にお披露目することを約束して、退いてもらったのだった。
その日の夜、レオは不思議な夢を見たのだった。
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「ここは…。」
そう、教会で見たあの、真っ白な空間だった。
「あら、ホントに来ちゃったんですか?」
「え?」
「神界から、スキルを通じてコネクトしようとしたら、すぐにできてしまったようで……普通は、こんなに早くないんですよ?」
あの女神が、少し困ったように言う。
「はぁ…?とりあえず、何か用事があったのでは?」
「そうそう、今ならゆっくり話せるから、もっと説明しておこうと思いまして!!」
「あぁ、なるほど。お願いします。」
「えぇと、どこから説明しようかしら…。とりあえず、指パッチンしてくれますか?」
「分かりました?」
レオは夢の中だが、指パッチンを1つやってみる。
するとどうだろうか。
これまでに聴いたことないほど、乾いた、透き通った音で
《パチン》と、鳴ったのだった。
「うわぁお……なんか凄い……」
感想を言ったと同時に、ステータスが表示される。
それは、戦士時代に見たものと同じ表記方法だった。
「とりあえず、スキルについての表示になっていますよね?」
「はい。」
そこに、書かれていたことはこうだ。
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指パッチン神
♪ 基本スキル
【指痛無効】、【マスターハンド】、【音量操作】、【音程操作】、【音色操作】、【速度自由化】、【重音】、【聴音力S】、【音程感S】、【音記憶S】
★便利系スキル(未解放)3000p
†戦闘系スキル(未解放)5000p
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「いろいろあるみたいだけど、下2つは未解放じゃん……」
「それは、進化でどんどん使えるようになりますよ。自分でいうのもなんですがかなり優秀なので、ぜひ、頑張ってみてください。」
「この、3000pってなんですか?」
「指パッチン一回で、1pです。すぐたまりますよ?その分スキルが多いんですけど……」
「なるほど。この、【指痛無効】ってなんですか?」
「指パッチンって、やりまくると痛いでしょう?それを無効にします。このスキルは、ほぼ全て指パッチンが、起動合図なので……。指命ですよ。ピアノみたいですね」
ニコッと微笑む、女神さまはまさしく女神である。
「【マスターハンド】……」
「簡単にいうと、両利きです。どっちの手でもいろいろできて、筋力とかが、同じようにつきます。」
「あと、【聴音力S】って?」
「音を聴いたときに、その音色、音程が、正確にわかります。耳コピとかが、簡単になります。」
「あとは、質問のしようが無いのですが、また会えますか?」
「多分、すぐにでも」
「なら良かったです。」
「もう、朝になりますね。」
「それでは。」
「ええ。」
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屋敷の窓から、朝日が射し込む……
レオは、大きなあくびをひとつすると、起き上がって準備をする。準備といっても、メイドたちに、いくつかはしてもらうのだが……体格的に……
今日は、スキルのお披露目だった。
夢の中での出来事はきちんと覚えている。
レオは、家族に好きな曲を1つずつ教えてもらい、聞かせてもらった。
スキルのお陰だろう。全ての曲の音を解析、記憶までしてしまったようだった。
その日の晩、みんなの食事の後に、お披露目だった。
「それじゃあ、みんな、聴いててね~?」
レオは、指パッチンをテンポ、リズムに合わせて鳴らす。
するとどうだろう。《パチン》ではなく、ピアノの音が、弦楽器が、管楽器が、聴こえてくるではないか。
全員が唖然とする。指パッチンが、楽器となった瞬間だった。
(これが【音色操作】と、【音程操作】か……)
レオ自身も驚いていた。
結果として、大成功を納めたのだった。
そして、数曲を演奏しただけで、2890pも貯まったようだった。
この後、この技で小遣い稼ぎをするようになるのは、もうすぐのお話…。
次は、小遣い稼ぎと新たなスキルのお話…。