あとがき
一旦あとがき書いてしまいます。
『広寒宮-横濱奇譚-』は、私の好きなモチーフを全て持ち込んだ(つまり私の趣味200%炸裂の)SSです。
なので意味不明の物が多い私のSSの中でも群を抜いて意味不明です。
具体的には
『中国史』
『サッカー』
『BLOODシリーズ』
の3つです。
横浜って何度か訪れた事があるんですが、東北の田舎者からはロマンティック、だけど何処か退廃的、世紀末美術的(失礼)で『光』と『闇』のコントラストが一際強い街、との印象があります。
『恋人(人外)と離れ離れになった眷属男がトラウマを抱えたサッカー選手と一緒に横浜で大暴れ』というシナリオの元ネタは玉置勉強氏の『BLOOD The Last of Vampire2000(西暦2000年の横浜が舞台)』及び如月弘鷹氏の『BLOOD+夜行城市(香港舞台で中華風味)』に致しました。
どちらも漫画ですが、前者はエログロ及び百合あり、後者はBLありなので興味のある方はご注意下さい。
サッカー的主役の三村敦宏は、
『現在は存在しない横浜のサッカーチーム(仮称・横浜フォーゲルス)に居た選手』
『元祖無回転FK』
『長崎のサッカー名門校出身』
のキーワードでピンとくる方もいるかと(というか名前見ればある程度は見当つきそう)。
2000年の横浜にいるサッカー選手で一番シナリオに合いそうだったのが、彼だったんです。
彼の持ち味である無回転FKを無理やり話の中に取り込んだ結果が、アレです。
一見チャラく見えて、実は熱い漢な部分を表現したかったのですが、どうも失敗の予感。
あと、『感情が昂ぶると大分弁が出る』というMy設定も私の方言の理解が薄かったために意味なかったと思います。
テレカ云々はフォーゲルス時代のユニを今でも部屋に飾っているという逸話から創作。
中国史風味的主役の桂花(という事にしておく)も、これまた実在した人物モデルですが、人外と言う時点で『歴史上の人物とは関係ないフィクション上の人物』と思ってください。
日本語はひらがなオンリーの片言で、流暢に喋っている時は中国語という設定だったのですが…お気づき頂いたでしょうか。
以前(自分の俗な欲望を自覚しないままで)恋人と離れる道を選んだ事がトラウマで、『二度と手放さない』という行動原理です。
祖国も家族も皆棄てて、彼女だけが彼をこの世に繋ぎ止める理由です。
美形は公式設定です。
通訳兼狂言回しの『タオ』こと田川道夫は、完全な私の創作人物です。
『タオ』とは中国語で『道』の意味で、『たがわみちお』の最初と最後をくっつけたあだ名でもあります。
『長崎の名門サッカー部出身(三村の後輩という設定)』
『横浜中華街で修行し、25歳で独立』
『中国語を聴きながら日本語に変換してメモ可能』
…我ながらなんだこのチートは、と思いましたよ、ええ。もしかしたら後日談にも登場するかも。
ラスボス扱いの張こと明の懿安皇后は、調べてみたら『容姿は美しいが超然として傲慢な性格、読書を好んだ』という私好みの方でして、しかも『北京陥落後の行方がよくわからない』で登場決定。
清国内のあちこちに散らばった反清組織の黒幕とか、太平天国の女状元に化けたとか開港直後の横浜に逃れたとかそういう設定を考えているのが楽しかったです。
イメソンはDo as Infinityの『柊』。別邸がヒイラギ屋敷だったのもそういう訳です。
朱は、実は天啓帝の記憶を持っている(遠回しな表現)設定で、張の孤独を救う為に人間をやめて、でも救えなくて拒絶されて最期は心中同然です。実際、天啓帝のせいで懿安皇后は散々ですし。
ラストにちょっとだけ出てくる桂花の恋人は、実は娘が日本、もっと言えば横浜周辺にいる設定です。
このSSを書きながらイメージしていたのは、UVERworldの『Colors of the Heart』やDIAURAの『Lily』です。
これを書いた時期は仕事が今までになく忙しく、執筆時間が碌に取れなかったのですが、かなりノリノリで書けたSSだったと思います。やっぱり好きな要素を皆ぶち込むと(少なくとも自分は)楽しいよね!
それでは、ここまで全て読んで下さった方に、この場を借りて御礼申し上げます。
2017/09/10イヌワシの雛