表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

第三十章 暁に再び

「……カノン、黙って出てきて良かったんですかぁ?」


まだ夜も明けぬうちに、学園前の道を馬で駆け抜けていきます。


「……いいんだよ。宿代も無くしたしな」


あのあと、すぐさまカノンは南から来た兵を整え、全軍で攻撃を仕掛けました。

リーダーを失って散り散りになった怪物を撤退させるのには、その一撃で充分すぎるほどの。


そして街に戻ると、民の歓声、宴に包まれ、様々な事が話されました。


主に学園の生徒について、ですがね。


ラザフォード君は投石機を壊してまわり、スワリスさんは飛んできた石を壊すという離れ技をやってのけたそうです。


ソフィーという先生は傷ついた人の救助にあたり、そしてなんと言ってもビーズさんとルリさん。



遠く離れた城から音魔法でエルフに幻影を見させ、私たちに加勢したんですから、その凄さは言葉にできません。



そしてその日の午後はみんなの頑張りで街も完全とはいかないものの、元通り。魔法の凄さが、改めて身にしみます。



昨日の夜は街中でパーティーです。

街中の酒、食べ物を引っ張り出し、どんちゃん騒ぎ。


ならず者と呼ばれていた人達も、街を救ったという事で英雄視され、酒を浴びるように飲んでいました。

街を裏切って、手引きした者は依然として不明ですが、街の人達は誰も口にしません。

仲間は疑いたくないのでしょう。


そんな気分を晴らすかのように街中で騒ぎ明かしました。

空が白む頃、ようやくと言っていいほど、宴が終結し、酒場の床で、みんな雑魚寝。




そして、つい30分前、私達もチェロの安らぎ亭を後にしました。

誰にも知られる事なく、街を出たいとのカノンの願いから……


ビーズさん以外にはバレませんでした。

そう、ビーズさん。まさか外で待っているとは……


「……もう行くんですね?」



「え……あぁ。ビーズさん……」



「ルリに聞きました……お会い出来て、嬉しく思います」


ルリさん……言わないでって……はぁ……まったく……



「……大丈夫、言いませんから」


ビーズさんがクスッと笑います。

静かな街が、何だか笑ったみたいです。


「そういえば……あんたルリと姉妹なのか?」


はい?いきなり何ですか?カノン君。


「……えぇ。でも、ルリには……ある“力”があるんです。

おとぎ話でしか聞いた事のない力。


両親は、それを見越して、私に危害が及ばないようにしてくれたんです」



当たってんですか……


そういえば……どことなく似てますね。目元とか、髪の色とか……


「……その力は、悪い人々にしてみれば、宝以上の価値があります。

それだけに、こういうことになってるんです」



「でも、なんで私たちに?」



「何ででしょうね?

私にもわかりません。でも、理由なんていらないって事、ありますよね?

きっとそれですよ……」



そのまま馬に飛び乗り、現在に至ります。


「……宿代って……お金、無いんですか?」


半分茫然と、カノンを見つめます。

するとカノンはバツが悪そうに、ポケットに手を突っ込みました。



あ……





貫通してますね……


「やらかした……」


笑ってんじゃね〜ですよ!


どうすんですか!?これから……



「……まぁ、何とかなるさ」



そう信じたいものです。

憮然と前を向き、城門に向かって馬の手綱を操ります。


「……ルルぅ!」



ん?この声は……?

「……え〜と……誰だっけ?」


馬と併走するフワフワの猫。あぁ、私達と旅をしていた……え〜と……


「……ひどいニャ!ボクニャ!」


う〜ん、毛玉猫?違う違う。サン?ミャンマー?アレン?


なんか違うなぁ……


「……ボクはムーンニャ!」


あぁ!

「ムーンじゃないですかぁ、久しぶりですねぇ」


「あぁ、ムーンかぁ。久しぶりだなぁ、元気にしてたかぁ?」



「うぅ……二人とも棒読みだニャ……」

しょうがないでしょ……名前真面目に思い出せなかったんだから……


「……で?お前何してたの?ウィズミック入る前からいなかったよな?」


さすがカノン、よく覚えてますね。


「とある街のサークルで宣伝してたニャ。でも、ボクをいじめる3匹がいたニャ」


何言ってんすか?

まぁ、いいや……



「……大変でしたね、ムーン。

さぁ、旅に出ますよ」



次の目的地は南の街。

何でも夢占いが得意な方がいるとか。



そこで、今後の未来を聞いて……




「……さて、旅立ちますかぁ。

カノン、城門飛び越えますからね?」



「……え?」


「エア・ストリーム!」



下からの大気の流れ。

それにより、馬ごと城門を飛び越えます。


「待てっ!落ち着けっ!死ぬっ!」



カノンは馬の首にしがみついています。ビビり君ですよ、彼は。



こうして、私達は再び旅立ちました。

またも暁の空。


地平線の向こう、まだ見ぬ世界へと……



どうも、◇ティー◇、もしくはルインです。


闇の中の光、お楽しみいただけましたでしょうか?


これはモバゲータウンより移転した作品です。


改行など、読みにくく、至らない点も多々あったと思います。


次回作、タイトルは未定ですが、闇の中の光の続編はきちんとしていきたいと思います。



今後とも、◇ティー◇をよろしくお願い申し上げます。


2008年4月30日    


◇ティー◇著


闇の中の光


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ