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第十五章 目指すは……

お、おはようございます……


結局寝たのは4時です……


なんか前にもありましたね、こんなん。


さぁて、今日は……

「……ぐっも〜にんニャ」


ビクッ


あ、焦ったぁ……

「お、おはようムーン……」


「今日の予定は、広間で皆と朝食、その後、王との謁見、昼前にピースさんに会って、午後は会議ニャ」



まるで秘書のような口振りです。眼鏡かけたら似合いそうな。


でも……

「……なんで知ってるんですか?」


至極当然な私の質問に、ムーンは答えました。


「……メイドさんと執事さんと衛兵さんが教えてくれたニャよ?」



この国の警備って……警備って……


まぁ、予定がわかったから良しとしましょう……

この国に来てから、私はポジティブ思考になった気がします。


さて、着替えますか……


言ってませんでしたが、私の服、かなり変わりましたよ。


翼が生えてるので普通のは着にくいって事でメイドさん方に作って頂きました。



黒のズボンに白いシャツ。あと黒いロングコートです。ベルトは2本クロスさせるようになっています。

生活面、戦闘面、どちらにも申し分ない造りです。



あとこれを機に、髪も短めにしました。

パッと見、男の子に見られるように……


何だか落ち着かないですが、すぐに慣れるでしょう。


コンコンッ……

「ルル様、おはようございます。朝食の用意が出来ました」


着替えと身支度を整えると、計ったようにユー爺が起こしに来ました。


よく考えると、ユー爺って、この国でかなり偉いんですよね。


そんな人が毎回起こしに来てくれると思うと……恐縮です……「はい、すぐに行きます。


ムーンも行きますか?」


ベッドに丸まっている毛玉に聞くと……

「ボクは遠慮するニャ。

あとで、アジを貰って来て欲しいニャ……ちゃんと生のやつ。

じゃぁ、おやすみニャ……」


アジ……この国に有るんでしょうか……


有っても、海から遠く離れたこの街まで運んで来れるんでしょうか……


でもまぁ、しょうがないですね。


「わかりました。じゃぁ行ってきます」

……はぁ、それより……ピースさんの宿題……というか、まだ教わる事が……


“見”の術をまだ教わってないのですが……明日はもう旅に出なければなりませんし……はぁ……


そんな事を考えること約10分。

ようやく広間につきました。


私は“広間”と表現していますが、この城の人々は“食堂”と言います。


食堂にしては広すぎると思うんですが……


扉を開けると、縦30メートルは下るまい、長〜いテーブルが飛び込んで来ます。

座っているのは王様、ユー爺、カノンの三人。


そして壁際には50名はいるであろうメイドさん、そして王様のすぐ横には総料理長がたたずんでいます。


何故だか、疲れているんでしょうか?

顔がげんなりしています。


「ルル様、遅かったですね」


「早くしろよぉ」


王様とカノンはナイフとフォークを持ちテーブルを叩いています。


「……すみません」

「何だ?今の間は……」


「いえ、早く食べましょう!」



さて、ここで問題です。


今までの会話で一言も発さなかった主要人物は誰でしょう?




お気づきですね?




……ユー爺です。



何年ぶりの食事かと思う迫力でひたすら食べ続けています。

皿に向き合い、積み上げ、向き合い……

ガツガツ、ゴクゴク、モキュモキュ……


サラダは約10秒、スープに至っては2秒の命でした。


しかし、キチンと30回噛む主義のようで顎が見えません。速すぎて……


食べましょう!“私達”も食べましょう!朝食はキチンと栄養バランスを考えられた物でした。


スープにサラダ、パン、スクランブルエッグ、牛乳、オレンジジュース……


そしてどれも、一流ホテルでも食べられない一級品です。

当たり前ですが……


カチャカチャと静かに、和やかに朝食が進んでいきます。一部を除いて……


私達がだいたい食べ終えた頃、王様が珍しく真面目な顔をしました。


あっ、誤解しないで下さい。国政に関わる時は何時も真面目です。


ただ、二重人格と言いますか、私の前では性格が変わるんです。


「……ルル様、カノン、既に聞いていると思うが、話がある。

この国の、いや、世界の存亡を賭けた大事な話だ。心して聞きなさい」


この時ほど、王様が王様だと思った事は無いでしょう。


一国を預かり、民の命を常に考える王の威厳。それが体の内部からオーラの様に発せられています。


流石のユー爺も食べるのを“中断”しました。

「……この国の四方に、それぞれ神殿がある……らしい。実際に見た者はあまりいなく、殆ど知られていない。


伝説によると、神殿には地・水・火・風の精霊が祀られているらしい。


この国を救うには、これらの精霊を、マスターが解放するしか無いようなのだ……」


王様は椅子から立ち上がると、ひざまずきました。


「……この通りだ。我が国を助けるため、力を貸してはくれないだろうか……」


メイドさん方も息を飲んでいます。

それもその筈、一国の主が頭を地面にこするつける様に、頭を下げているのですから……


「……ちょっ、止めて下さい!」


慌てて止めさせようとしますが……


「……いいえ!止めません!

御了承下さるまで止めません!


私の頭なんぞ、この国の民の命に比べれば何でもない!」


「……」

カノンは俯いて黙っています。


「……国が滅ぶかの瀬戸際で、何も出来ない王なぞ、王では無い!


私は……カノンに王位を……」

「馬鹿野郎!」え……?



気づいた時にはカノンは王様の胸ぐらを掴んでいました。

顔に怒りの表情を浮かべながら……


「あんたにはやるべき事があるだろ!


誰が国民に事実を話すんだ?

誰が国を盛り上げるんだ?

誰が戦おうとしなければならないんだ?

あんたが今辞めようとしているのは、逃げてるからだよ!

違うだろ?


あんたがやんなきゃいけない事なんざ腐るほどあるんだよ!

そんな事もわかんねぇで、王だとか抜かしてんな!」



その時、カノンの目がら一筋の涙が零れました。


その透明で穢れなき滴は、カノンの心を表しているようでした。


美しく、儚い心……




人の弱さを知り、だからこそ強くなれると信じている心……




痛みは終わるものだと知っている心……





カノンもまた王子なのですね……


「……わしも行こう……」


「え……」


ユー爺の方を振り向くとユー爺も泣いていました。


いえ泣いてはいません。涙が流れているっていう言い方が正しいですかね。


「……老い先短いわしが出来るのは……お前さん等の盾になるくらいじゃがな……」


「……行きましょう」

「……あぁ、行こう。」






それぞれの願いの為に……



命を賭けて……



「……目指すは南のルイボロス。南の果ての街じゃ」



自然と口が開き、誓いの言葉を発しました。

「……私は境の国を復活させ、魔界のヤツに一矢報いる為に……」


するとカノンが続けて……

「……俺は光の国を救う為に……」


ユー爺はニカッと笑って……

「……わしは……お前さん方を守る為に……」


「……ボクはどうするニャ?」


「そうですね、ムーンは……


っていつからそこに!?」


椅子に座ってマッタリしているムーン……

「……だってルルがいつになってもアジ持って来てくれないから……」


……そんなこんなで私達の旅が始まろうとしています。


「……アジは?」


うるさい!


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