アリアス・ブラッド
六話の内容を少し改変しました。
私は産まれた時から物心がついていた。
産まれたその瞬間から目が見えていた。
この世に生を受けた私は母アリアット・ブラッドからアリアスと名ずけられた。その頃はまだ言葉を理解していなかったが、ものの半年で大体の言葉は理解した。しかし、まだ声を発する機能は不完全なようで声を発することは出来ても言葉は発することが出来なかった。一年で立てるようになり、その半年後、歩けるようになった。母曰くとても早い成長らしい。しかし、周りに私と同じような赤ん坊はいないかったから、これが普通だと思った。
ある日のことだった。まだおぼつかない足で歩く練習をしていた時のこと、階段から落下した。
その時のことは周りに自分の血が飛び散っているということだけ覚えている。
目を覚ますと母は私をかわいそうな目で私を見ていた。母以外の大人達は私を「化け物」や「呪いだ」と言った。その言葉の意味はわからなかったが褒められているわけではないことははっきりとわかった。
次の日私は森に捨てられた。動けないように手足を縛られる拘束感と周りに誰もいない孤独感を感じた。私はその時のことをよく覚えている。
日が登ってきた時、一匹の魔物が私に近づいてきた。魔物は興味津々で近づき、私を見てヨダレを垂らした。
まだ死ぬという概念を知らなかったが、本能的にそれを察した。
「ああ、ここで死ぬんだ」と
残念ながら身動きが取れないため、逃げることは出来ない。
魔物を一撃でたおせる様な力を持ったヒーローがたまたまこの森にいて、たまたま私を見つけて、たまたま私を助けてくれる。そんな偶然の連続が起こらない限り。
魔物は右手に持った武器を私に振り下ろした。
刹那――魔物は倒れた。
起こったんだ、そんな偶然の連続が。
ヒーローが私に味方してくれた。
私を見つけたヒーローは私を見つけると驚いた顔をしたが、直ぐに私を抱きかかえてそこをあとにした。
こうして私は今を生きている。あの時助けてくれたヒーローとはあれっきり、会ったことはないし、名前も知らない。
なんか今回短くなってしまいました。
ですがきりがいいのでこれで一話分にします。
でも書き足りないのでもう一話分同時投稿します。