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狩人もつらいよ

書いていたら結構長くなってしまいました。

今回は前回のゴブリン達との戦いです。


感想やレビューしていただけると作者は嬉しくなってレイガンを放ちます。

狩人には掟がある。


1条、魔物に感謝すべし

2条、狩人は人の為に生きる職業。狩りだけでなく街や村に貢献すること。

3条、住民(旅人は除く)が魔物に襲われた際は全て狩人の責任となる。

4条、収穫は山分けする。


正確にはもっとあるのだが、かなりアバウトな掟なため4つしか教えて貰っていない。内容としては狩りに関してよりも人の為に生きることを重んじることの方が多く書いてあるらしい。おそらく魔力を持っていない者が大半の人間たちは魔物に対抗する手段はない為、魔物を撃退する力を持つ狩人を掟で縛り魔物から街を守ることが掟の目的だろう。問題は第3条、「住民が魔物に襲われた際は全て狩人の責任となる」

この掟で魔物に人が襲われると狩人は助けなければならない。少しでも魔物の手によって人が傷ついた時点でこの掟は発動する。大体の村や街やは狩人にお金を請求する。それも少しどころの額ではない。


アリアは焦っていた。他の街から狩人は来たりすることが多いが、この街の狩人はアリアのみ、そのため他の狩人と連携して対処することはできない。自分ひとりですべてをしなければならない。スハル街の近くにはゴブリンの群れが住んでいる。おそらくそいつらだろう、しかしゴブリンは集団で行動する。それが恐ろしいところだ、敵の数が多ければ被害も大きいということ、つまり3条によって払う金が多くなるということだ。

アリアが狩人になったばかりの時ゴブリンが街に入ってきたことがあった。その時アリアは何もすることが出来ずに偶然街に来ていた狩人によって助けられた。被害は少なかったが男性が1人ゴブリンの攻撃を直にくらってしまった。その時は5万ゴルドの罰金だった。薬草集めでちまちま貯めたゴルドでも払うことは出来ずに今でもその借金は残っている。残り1万ゴルドぐらいだ。

クレイジーピッグを倒したゴルドで払い終わると思った矢先にこれだ。また何万ゴルドという金を払いたくはない。


フックショットで叫び声の近くに行くとそこはエルシアとさっきまでいた広場だった。様子を伺うために屋根の上に上がった。

どうやらゴブリン3匹が人質をとっているらしい。しかもそのうちの1匹は人語で脅し文句を喋っていた。器用なゴブリンもいるのだなと関心。現状被害は出ていない。人質の女の子も無事な様子だ。おそらく人に危害を加えるつもりはなく、商業ギルドの物が欲しいらしい。


狩人が魔物を狩ると1匹につき500ゴルド狩人に支払われる。短編小説が3冊買える程の値段だが、沢山の魔物を倒せば倍々になる。今回はゴブリンが3匹よって1500ゴルド、三日分の食費ほどの値段だ。

クレイジーピッグの300万ゴルドなんてどうせ数ヶ月分の魔石代やら武器代やらで消えてしまうのだ。だったら少しずつでもゴルドは貯めておくのが得策だろう。

ゴブリンが人を襲う気配はなさそうだが、アリアはゴブリンを襲う。なぜならゴルドが欲しいからだ。



ゴブリン達は1匹が脅し、1匹が人質を抑えて1人が周りの警戒をしているようだ。だが、ゴブリンは上を見ていない、屋根の上に人がいるとは思っていないのだろう。

アリアは少し助走をつけて屋根を蹴りゴブリン目掛けて飛んだ。

空中で小型チェーンソー「ソウルイーター」を取り出し、エンジンをかけた。耳障りな轟音が響く。落下に体を任せながら周りの警戒をしているゴブリンに刃を押し当てた。「ソウルイーター」は通常のチェーンソーの3倍の回転力。じいさんの特注品だ。マテリアルから供給される魔力で筋力を上げているが非力なアリアでも軽く振るだけでゴブリンの体など一刀両断できる。

それはほんの数秒の出来事だった。いきなりチェーンソーを持った女が現れ仲間を血まみれの愉快な二つの肉塊に変貌させたのだ。ゴブリンにとっては恐怖でしかないだろう。

案の定2匹のゴブリンはアリアとゴブリンだったものを見て驚きを隠せない様子だった。

人語を話していたゴブリンでさえもパニックを起こしているのか蛮族語で叫び声をあげた。もう1匹は蛮族語でこちらに話しかけてくる。

おそらく

「よ、よくも仲間を!いいかお前がそれを、こっちに向けたら直ぐにこの可愛いお嬢ちゃんの首は吹き飛ぶぜ」

と言ったところだろう。

先にこのゴブリンを狩った方が良かったかもしれない。だがアリアはこの状況で必ず少女を救う勝算があって先ほどのゴブリンを真っ二つにした。

「人質は人質が生きているからこそ意味がある」

人質は道具だ「さもないと殺す」という脅し文句をいうための。と同時に盾だ自分を守るための。

さて、人質を殺したらどうなるか。

答えは自らを滅ぼすことになるだ。人質が死ねば盾はいなくなる。人質で攻撃出来なかった相手は心置きなく攻撃出来ることになる。つまり、人質を取っても目的を果たすまでは殺すことが出来ないということ。

人語を話すゴブリンを連れて人質を取り、脅すという手段は賞賛に値する。しかし、足りない。勝利にはもう少し考えることが必要だ。


「目、瞑ってて」


目にも止まらぬ速さでアリアは轟音を立てて回転する刃をゴブリンの顔に押し当てた。チェーンソーはゴブリンの頭蓋を削り、脳を食らった。ゴブリンは赤い液体を吹き上げる噴水になった。広場には赤い雨が降り注ぐ。それと同時に血なまぐさい匂いが周辺を覆った。


「はい、愉快な死体の出来上がり」


少女は噴水の液体が目に入った様で一部始終は見ていなかったようだ。それを確認したアリアはホッとする。直ぐに少女の親がよってきて抱きかかえた。親は安堵の声を漏らした。


「離れてて、まだ残ってる」


アリアの声を聞くと少女らは走り去った。

チェーンソーを残りのゴブリンに向ける。


「なにか言い残すことは」


そう問いかけた時、ゴブリンは白目を向いて倒れた。気絶したらしい。無理もない、目の前で仲間が2匹死ぬこところを目撃したのだから。




「で、そのゴブリンはどうしたの?」


アリアとエリアスはじいさんの武器屋にいた。時刻は夜、アリアが倒れたゴブリンの処理や血に染まった広場の後処理を済ませた後だ。


「今は村長の家の地下に縛り付けてある、今度そいつを頼りにゴブリンの洞窟に行って追い払って来るらしい。」


「へー、それにしても人語をしゃべるなんて珍しいね、どこで覚えたんだろ」


「それも含めて明日から尋問をする」


奥からじいさんが三人分の夕食を持って現れた。


「わしは途中からあんたの戦いを見ていたが、あんた狩人になってまだ1年しか経っていないのに強すぎないか?」


じいさんは半笑いだ。


「武器がいいんだよ」


「いや、あれは正真正銘あんたの実力だ、お前さんクレイジーピッグも倒したんだってな」


じいさんはテーブルに夕食をおいた。ただのハムエッグと水、それからパンだ。アリアは食べても味を感じないが、1口食べたエリアスは驚くべき反応をしていた。


「お、おいしい!」


「あったりめえよ!これが嫁さんに逃げられた男の料理だ!」


見た目は全く普通の料理、しかしどこにそこまで美味しくする要素があるのだろうか、味を感じないアリアには分からなかった。





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