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ゴブリンもつらいよ

「お前ら、商業ギルド襲ってこい」


と、ゴブリンのボスであるボガードが子分に言った。その一言がきっかけで1匹のゴブリンはクソめんどくさいことをさせられる。


商業ギルドをおそうと言っても、狩人が警備している状況で強奪、皆殺し、盗みをするのは難しい、そこで人質を取ることに決めた。しかし、ゴブリンは基本蛮族語を喋る。蛮族語を喋る人間なんてそうそういないため、人間語が話せるモノが必要。ボスは人間語が喋れるゴブリンとボスの側近を2匹、合計3匹で行動させることにした。本当なら十匹で行動させたいところだが、群れが小さい為、これが限界だった。


「めどくさい」


群れで唯一人間語を喋れるゴブリンは襲ったり盗んだりしたことなんてないのに突然「商業ギルドを襲ってこい」と言われてしょうがなく仲間と共に商業ギルドがいるスハル街へと来ていた。

ゴブリンに名前はない、ここでは仮に人間語を喋るゴブリンをa、ボスの側近をbとcとしよう。bを筆頭にaとcは続いて建物の陰に隠れた。朝方なら人は少ないから人質が簡単にとれると思っていたが、どういうわけか、街は人で溢れていた。aはため息を漏らした。なんで僕がこんなことを……早く帰って洞窟で見つけた鉱石を磨きたい、と思っていた。やる気のないaとは違い、bとcは人が少なくなる時をじっと伺った。ゴブリンの食べ物は人間とさほど変わらない、当然のように服も着る。しかし、ゴブリンには生産能力、すなわち畑仕事や畜産はできない。そのため、多くのゴブリンは森などに住み着き果物や動物達を食す。しかし、a達の群れは終わらない冬の森付近の洞窟に住んでいる。当然一年中冬が続く森に食べ物はない、弱いゴブリンには森に住む魔物なんて到底歯が立たなかった。そのため、生きるために人間から奪い取るしかない。スハル街の近辺では行商人が多く来るためなんとか生活出来ていたが最近すっかり行商人が来なくなってしまった。結果食料は減るばかり。そんな時に商業ギルドが来た。自分達の生活の為に襲うしかない思ったボスはこの行動を起こした。いつかはやらなければいけなかったことaはそう自分に言い聞かせた。


時刻は正午頃、人々は昼食のため、1度家に戻る人や飲食店に行く人で少しずつ人が減っていった。

広場には数人しかいない状況になったときbが口を開いた。


「いくぞ」


本当はもっと機を待った方が良いだろう。しかし、自分の腹の虫と、洞窟にいるボスのことを考えると、今しかないと思った。

bに続いてcが身構える、aは1度ため息を漏らしたあと覚悟を決めた。


「いいか、作戦どおりだぞ合図で飛び出るぞ」

「3……2……1!」


一斉に3匹は物陰から飛び出した。作戦は近くにいる人間を捕まえて人質にする。その後aが脅しを人間語でする。cは周りの警戒だ。

3匹は宝石を見ていた少女を捕まえた。力が弱く、小さい為抑えておくのはたやすい、しかも子供は人質に最適、人質の確保は完璧だ。少女が叫び声をあげる。すると周りの人間は一斉にこちらを向いた。

すかさずaが口を開く。


「俺達の要求に従え!さもないとこいつの首は飛ぶことになるぞ!」


なれべく強い言葉で大きな声で言った。aはゴブリンの中でも温厚だ。こんな言葉でしゃべるのは少し抵抗があった。


「いいか、要求は1つ、商業ギルドの物を全部よこせ」


周りがざわつき始める。野次馬も集まってきた。

少女を抑えているdが蛮族語で脅しをし始めた。通じなくても、言うだけで効果があると判断したのだろう。それに続いてcも声を出そうとしたその時。

刹那ーー耳障りな轟音と共にcの体は二つの肉塊と化した。















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