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頭のいいスケルトン

早めに投稿すると言ったな、あれは嘘だ。


ごめんなさい

「人だった者」はアリアを見た。まるで人をあざ笑うかのようにこちらをずっと。

アリアの目にはそれがとてもおぞましく見えた。

ここでやらなきゃ、そう思った。

なぜその考えに至ったのかなんてわからない、ただあの光る目が怖かった。足は震え、腕も震える。

それらすべてを殺すように大声を上げて飛びかかった。


「うわああああぁぁぁ」


フックショット無しの、魔力で筋力を上げた力技で跳躍した。耳に入るのは自分の声とチェーンソーの轟音。

しかし、それを予期していたかのように一体のスケルトンが矢を放った。それは外れたが、それを追うように何体ものスケルトンが同時に矢を放った。

体中に矢が突き刺さり、それぞれから血がにじみ出る。痛みさえ感じないものの身体が急に重くなったことを感じる。しかし、それでもアリアはチェーンソーをスケルトンめがけて振り下ろした。けれど、矢が突き刺さった腕ではスケルトンまで届かずにその場で倒れた。

そしてスケルトンを前にして視界は暗転した。





目が覚めて最初に視界に入ったのは白だった。昨晩のスケルトンだ。そう思ったアリアは飛び起きる。体中の筋肉に異物感を感じた。体中に突き刺さった矢が地面に触れて筋肉を刺激したのだろう。

周りを見ると、白の正体はスケルトンではなく、あたり一面の雪だとわかった。

昨晩のことを思い出す。赤い目を見た時、感じた恐怖。一体のスケルトンき続くかのように矢を放ったスケルトン達。思い出せばわからないことだらけだ。しかしわかることもある。奴らは書物に載っていたようなスケルトンではないということ。普通の戦い方では勝てないということがわかった。ならばそれに対応しなければならない。

けれどどうやって。

スケルトンは術者を倒さなければ止まらない。でも術者はどこにいるのかなんてわからない。

アリアは体中に突き刺さった矢を1本1本ぬいていく。抜く度にそこから血が吹き出した。痛みは感じないが、なんともグロテスクな作業だった。矢は刺さっていたものの、体全体の外傷はなく、出血もなかった。体が勝手に魔力を消費して再生したのだろう。もし再生していなければ出血多量でアリアは死んでいただろう。

矢を抜いた跡は本の数秒で再生した。

空を見た。視界がぼやけている。魔力が切れたらしい。代わりの魔石はない為、1度帰ることにした。


キラーラビットの肉が入った袋を片手に「粉雪」に来た。目が覚めた時、時刻が分からなかった為、粉雪が賑わっているところを見て今がお昼時だということを理解した。

昼間から酒を飲む人、簡素な昼食を取る者、仲間達と豪勢に飯を食らう狩人。そんな人たちがここにはいた。エルシアに話しかけようと思ったが、忙しく料理を運んでいるところを見て、諦めた。ルーサーのいるカウンターに行くと、そこには町長がいた。


「ルーサー、これ」


注文がある程度片付いて町長と会話しているところに袋を渡した。


「なんだい?これは」

「キラーラビット、雪で腐らないようにはしてある」


ルーサーは袋を開け5匹のキラーラビットの肉を見る。


「5体か……いくらだい?」

「あげる」


アリアのその言葉に少し驚いたあと、笑いながら


「あら、今日は何かの記念日なのかい?」

「違う、けどみんなで食べよう」


その言葉を聞いた隣にいる町長は先日のことを思い出す。そして微笑した。


「そうだな、せっかくアリアスが狩って来てくれたんだ豪勢な料理にして食そうじゃないか」


テナ茶を片手にうれしそうに言った。自分の娘のように育てたアリアスが獲物を一緒に食べようと言うのだ。うれしくないはずがなかった。


「待って、それはまだ早いみたい」


ルーサーから出されたテナ茶をすすりながら顔色を変えた。


「いたんだよ、スケルトン」


その言葉に町長は口まで運んでいたテナ茶を握っていた手を止めた。


「本当か?」

「うん」


ルーサーは周りを見て、ここの話し声と狩人の数を見て場所を変えることを提案した。ふたりはそれがいいと判断してバッキイの武器屋に行くことにした。



物知りなじいさん、バッキイの武器屋で、アリアは事細かく昨日の出来事を話した。

スケルトンの数、スケルトンの赤い目、その時のアリアの心境までを。


「おそらくその目には催眠の魔法がこもっておる」


魔導器だけでなく魔法の知識にも長けているバッキイでなければこのことはわからなかっただろう。

彼は奥から一冊の本を持ってきた。「魔法とその概念」という本だ。

内容は魔法の種類とその仕組みについて書いてあるらしい。が、見たこともない字で書かれていてアリアと町長には読めなかった。そんな2人に細かく催眠魔法について解説をしてくれた。

おそらく、赤い目を見ることでその時の感情が高ぶるという催眠だと推測がついた。理由としてはスケルトンにそれ以上高度な魔法を使わせようとするとスケルトンを制御できなくなるからだ。

その時カアリアが思ったのは「怖い」だった。それが高まり、スケルトンに襲いかかったということだ。


「じいさん、トラップを解除していたのはどう説明したらいい?」

「それは…」


しばらく考えたあと


「そのスケルトンの知能、すなわち魔法知能が優秀としか説明がつかんな」

「でも、本にはそこまでの知能を作ることは不可能って書いてありますよ」


町長は読める字で書かれた本を片っ端から読み、情報を集めていた。


「わからん、どうしてそうなったのかも、どうやって優秀な魔法知能を作ったのかも」


しばらくの沈黙


「どちらにしろ強敵、ということだな」


アリアは拳を握りしめる。

今までにない強敵とわかっているのにマントに隠れたアリアの頬は少し緩んだ。


RPGとかだとザコの部類に入るスケルトンですが、この物語では割と強いのです。



感想とかとか頂けると作者はうれしくなって空を飛びます

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