生ける屍
ズイ(ง ˘ω˘ )วズイ
夜の森は月明かりに反射した雪がきらめいてあたりをぼんやりと照らす。昼間よりも気温は下がり、刃物で突かれるよう寒さを肌で感じる。しかし、それはアリアにとっては全く意味をなさず、むしろ寒さを感じる魔物達よりも有利な状況を作り出していた。
「キラーラビット」昼間は活発に行動するが、夜は集団で移動し身体を冷やさないようにしている。集団でいるためかなり厄介だが、夜は動きが遅いためアリアにとって敵ではない。
スケルトンが来るかもしれない道を監視していたところ、キラーラビットの群れに遭遇してしまった。すぐに囲まれてしまったが閃光玉を地面にぶつけて目くらましをした。怯んでいる隙にナイフを投げつけた。それらすべてはキラーラビットの脳天につきささり、倒れた。チェーンソーで倒すのは音が大きすぎる、それにキラーラビットは聴覚に優れている為、目くらましをしても居場所がバレるので投げナイフで対応した。幸いキラーラビットの目は赤くぼんやりと光るので当てるのは容易だった。
キラーラビットの死体を回収、この魔物は食べられる為干肉に加工、保存食として保管しようかと思った。けれど少し考えてから町長の家で言われたことを思い出す。
「……」
アリアは無言で何も言わなかったが、肉の新鮮度が落ちないように雪と一緒に袋に入れた。
この日の目的はスケルトンの存在の有無を確認すること。そのために依頼者が遭遇したと言う場所に道を通ると音が鳴る罠を設置し、音が聞こえる位置でじっと待った。暗視ポーションを使ってもいいのだけれど夜があけるまで使うとなると次の日目を開けられなくなるから最低限に抑えることにした。
スケルトンは人骨に特殊な魔法をかけて動かしていると本に書いてあった。しかし、スケルトンが自律的に動く場合、魔法で作られた人工知能が必要になる。しかしそれは粗末な物で走る、歩く、殺す、程度の行動しか出来ない、魔法で作られた人工知能は高度な魔法技術を使うことでアップグレードすることが可能だが、魔法使いの数が少ない今のご時世無理に等しいだろう。
なので、トラップに引っかかったからといって人間のように立ち止まったり、周りを見渡したりしないはず。
夜は深くなり、月が一番高く上がった時、そろそろと思ったアリアはフックショットで木の上に上り、トラップの位置が見えるようにした。
昔、商業ギルドから購入した、倍率を変えれる双眼鏡を取り出し、首から下げた。
耳を凝らしてただずっと待った。
ただずっと………暇だった。
どれぐらい暇だっただろうか、月が南と西の中間に上がった頃。
リーン
鈴の音、すなわちトラップに引っかかった音がした。
すぐに暗視ポーションを流し込み、双眼鏡を目に当てる。方角は南西。右のダイヤルで倍率を調整。
白い塊が歩いていた。
「いた。」
めんどくさいことになった。ほんとにスケルトンはいたのだから。スケルトンがいるということは術者がいる。その術者を倒さない限りスケルトンは何度でも再生する。
つまり、術者をまずは突き止めなければならなくなった。
スケルトンは見る限り5体いた。ここでチェーンソー片手に突っ込んで骨の一つでも回収してもいいのだけれど、ここは観察を続けた。ここは術者の特定の為にスケルトンが一体何をしているのかを知らなければ行けないと思ったからだ。
罠は3つ、道に設置してある為順に3回鈴がなるはず。
しかし、鈴はならなかった。
双眼鏡で見ていたアリアは仰天した、スケルトンの一体がかがんで罠を解除していたのだ。しかも、一体を守るようにスケルトンが立っていた。
罠を外し終わる。
白く、まだ肉体があった頃の面影が残っているかつて「人だった者」は振り返る、アリアはその瞬間をとても長く感じた。
今までに感じたことのないような恐怖を全身で感じる。
全身から汗が吹き出た。
手が震えて揺れる双眼鏡を通して見える「人だった者」の頭蓋から、あるはずのない瞳が赤く光って見えた。
そして「人だった者」、「今なお死んでいない者」はこちらをまっすぐとはっきりとこちらを見た。
今回は最後の描写に頑張ってみました。
次の投稿は多分すぐだと思うのでそちらも是非
感想とかとか頂けると作者はうれしくなってズイ(ง ˘ω˘ )วズイします