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3匹のおおかみさん

新学期が始まったこともあり、更新が遅れてしまいました。

すみませんでした。


今回はほのぼの回です。

アリアとエルシアは「終わらない冬の森」に来ていた。ここ数日は雪が降らなかったから足元の立地は良かった。今回この森に来た理由は狩りではなく、薬草などの植物集めだ。

大地に流れる魔力「地脈」が集中しているところでは地上の植物や生き物、地形などを変えることがある。大抵そういうところに生える薬草は通常のものよりも優秀なものが多い。まあ、それ以前に地脈の影響でここは気候ごと固定されているけれど。

エルシアは薬草の群生地を見つけると子供のように喜んで走っていった。


「アリア〜」


エルシアはアリアを手招きする。

二人がいるのは森に入ってすぐの所だ。アリアの頑張りとほかの街から来る狩人のおかげで魔物はほとんど森の奥に居て、街の近くにはいても蛮族か大きい虫ぐらいだろう。しかし、エルシア1人では危ないので狩人であるアリアが一緒に来ていた。


「あった」


エルシアが目的の物を見つけた。この森の薬草は二種類ある。普通の薬草と赤い花が咲いた薬草。普通の薬草でもこの森のものだから貴重なのだけれど、赤い花が咲いた薬草は「赤薬草」と呼ばれていて1つ2000Gする。ここで生える緑の薬草は500G。他のところで生える普通の薬草は100Gだ。

エルシアが見つけたものは「赤薬草」だ。


「どれぐらいある?」

「多分10本ぐらいかな」

「普通のは?」

「沢山」


薬草を採れてとても嬉しそうだ。


「エルシアは薬草好きだね」

「うん、私将来医者になりたいんだ」


エルシアは薬学が大好きだ。アリアが狩人だからということも理由の一つだろう。

アリアも草むらに腰を下ろして薬草を採り始めた。エルシアと薬草を採りに来るのは3ヵ月ぶりなこともあって2人は楽しげに会話をしながら薬草を集めた。


「魔香草生えてない?」


アリアは最近の魔石不足を心配していた。魔石は魔香草と特殊な石で出来ている。石の方の心配はないのだが、魔香草は森にある為、自分で集めるしかない。

最近魔石使いすぎたな、と反省する。

つい先日洞窟でボガードを倒す時にジョニーをかばいながら洞窟を出る時に自己再生を常に使用してゴブリンの攻撃を受けては再生、受けては再生を繰り返したからだとは思うけれど、魔石の消費が半端ではなかった。


「そういうと思って薬草のついでに採ってるよー」


なんだかんだ小さい頃からの仲なだけあってお互いのことはよく知っていた。


「ありがと」


突然アリアの動きが止まる。


「どうしたの?」

「何も言わずに薬草をしまって」


一泊おいて。


「わ、わかった」


焦りながら腰のポーチに薬草をしまった。

アリアはマントの中から小型チェーンソーを取り出す。楽しく採集をしていたアリアの目は狩人の鋭い目に変わっていた。チェーンソーを片手に持ち、時を待つ。


「エルシア、離れてて」

エルシアはアリアの後ろ3mの草むらに隠れた。

じっとチェーンソーを構えて数秒。白い塊がアリアに向かって飛び出してきた。数は3。恐らく、ただのウルフだ。この森には固有種でホワイトウルフがいるが、このウフルは黒い。通常のウルフだ。

3匹は唸り声をあげて、ジリジリと距離を詰めた。しかし、その鳴き声に力はなく、声がかすれていた。

見れば、3匹ともかなり痩せていて骨の形が浮き出ていた。

それに気づくとアリアは武器を構えたままマントの中に手を伸ばし、携帯食料として持ち歩いている干し肉を全部地面に置いた。

ウルフはしばらく警戒して匂いを嗅いだが、空腹には勝てなかったようで、餌に食らいついた。

この森には強い魔物が多い、そのためウルフの獲物は他の魔物に食い尽くされてしまい、こうしてやせ細ってしまっているウルフが多く見られる。毛皮が高いわけでもないし、狩っても支給される500gしか貰えない。そこはゴブリンと同じではあるが、第一ウルフは魔物ではなく、動物として扱われる。人を襲ったりはするが、人間にペットとして飼われることも多いためだろう。しかし、何をもって魔物とするかは魔物協会でさえ決まっていない。

アリアは手招きしてエルシアを呼んだ。


「餌に夢中だから触っても大丈夫だよ」


アリアはウルフの背中をなでた。干し肉に夢中で抵抗しなかった。

それをみてエルシアも恐る恐る触ってみる。


「ふわふわだー」


エルシアはウルフの毛並みが気に入ったようで何度も触った。

ああ、もうこれで私はウルフを狩れなくなったな。とその時アリアは思った。

ここでウルフを狩ってもよかったのだが、生き物が死ぬ所を見慣れていないエルシアの気を使って殺さないことにした。


「私達もご飯にしようか」


時刻は正午頃、そろそろ腹の虫がなり始めていた。


「そうだね」


ウルフの表情などわからないが、心なしかさっきまでの敵意のある目から笑っているように見えた。




会話を書くのって難しいなって思いました。



感想などなど頂けると作者は嬉しくなって魔眼を開きます。

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