Into the white world
なんとなく、書きたかったので書いてみました。
1時間クオリティです。
続くかは気分しだい。
良かったら感想をお待ちしてます。
森に雪が積もった。
あたり一面真白の世界。
人間どころかアリの1匹もいない。
本来なら冬眠している熊や蛙もいない。
なぜならこの森は冬しかないからだ。
この森は「終わらない冬の森」そう呼ばれている。
1年を通して寒い冬が続く、人間が到底暮らせる環境ではない。
しかし、そんな中、彼女はいた。
少女は日光を吸収しやすい黒色のコートに身を包み、雪を一歩一歩靴にかみしめながら、森の奥へと進んでいく。
少女の息は白い。
おそらく氷点下10度は下回っているこの森で少女は寒がりもせずに歩いた。
森の奥の奥、目的はいた。
この生物は生きることが難しい冬の森。
少女以外にも生物はいた。
体長10mはあるだろう巨大。
二足歩行でまるで豚のような顔をしている。
頭のてっぺんには2本のねじれた角。
手に3mはある木のや棍棒を握っていた。
これは魔物。
魔物は背を向けて歩いている。
少女は木の影に息を潜めた。
先程とは違う、鋭い目をしている。
視界は一体の魔物。
その目は狩人の眼光、獲物を捉えたら仕留めるまで逃がさない。
少女は息を殺し、木の影に隠れながら魔物に少しずつ近づいた。
雪のおかげで足音は立たない、スムーズに近づくことが出来た。
後は好機を待つだけ。
獲物がスキを見せる瞬間をただひたすら待つ。
魔物は立ち止まった、何か食べ物はないかとあたりを見渡し始めたようだ。
それを狩人は見逃さなかった。
その瞬間、腰に装備していた武器を取り出し、魔物に飛びかかった。
武器は轟音を立て、刃が回転する。
肉を切ることに特化した片手で持てる小型チェーンソーだ。
回転する刄は肉を削り、魔物の背中を切り裂いた。
しかし、傷は浅く、魔物にしてみれば切り傷のようなものだった。
奇襲は成功したが、致命傷を追わせることは出来なかった。
魔物は雄叫びを上げる。
すぐに振り向き、手に持っていた棍棒を振り回した。
狩人はそれをしゃがんでよける。
すぐさまホルスターからフックショットを取り出し、木にフックを打ち込んだ。
魔物はもう一度棍棒を大振りしたが、時すでに遅し。
狩人は既に木の上だ。
少女は軽い、細い枝に乗っても枝はビクともしなかった。
再び雄叫びを上げる魔物。
狩人はすかさず攻撃の準備をする。
フックショットを向かい側の木に打ち込む、木に移動はせず、ワイヤーをうまく使い体を回転、遠心力を使い重い一撃を魔物に喰らわせる。
チェーンソーは肉を喰らう武器だ。
一瞬で身を削ぎ落とす武器じゃない、しかし急所に当てれば敵に大きなダメージを与えることが出来る。
狩人は遠心力の勢いで魔物の片目を削る。
魔物は声を上げた、雄叫びじゃない、叫び声だ。
すかさずワイヤーを引く、木の上に乗る。
その時にかなりの雪が地に落ちた。
魔物は痛みのあまり、棍棒を振り回す、棍棒が狩人のいる木に当たった。
バランスを崩した狩人は落下してしまった。
受身も取れずに腹から落下する。
体全体に雪をかぶってしまった。
雪を払い、前を見た時には遅い、目の前に棍棒をもった魔物がいた。
狩人めがけて棍棒の大振り。
紙一重でよける。
魔物はそのまま横に大振りをした。
狩人に直撃。
するかと思った。
刹那、魔物の視界は強い光によって真っ白になった。
攻撃は中断されてしまった。
棍棒を右や左やぶんぶんと振る魔物、手応えはない。
目が見えるようになった。
周りを見渡したが、狩人はいない。
しかし、目の前に人が一人隠れられる雪の山が2つあった。
どちらかに隠れているのだろう、魔物は思った。
よく見ると、片方の雪の山からコートがはみ出ていた。
あざ笑う魔物、大きく腕を振り上げ、雪の山に振り下ろす。
感触がない、目れば、あるのはコートだけだ。
しまった、そう思った魔物は間髪を入れず体を回転させてもう一つの雪の山を破壊する。
手応えがない。
その瞬間、頭上で轟音がした。
上だ。
狩人は木の上から落下攻撃をしようとしているのだ。
とっさに魔物は棍棒で防御する。
しかしチェーンソーは喰らう武器、落下の衝撃とチェーンソーの刄の回転で棍棒はあっさり割れた。
チェーンソーは轟音とともに肉を喰らい、骨を喰らい、脳みそを喰らった。
そして、魂を喰らった。
魔物は血を吹き出し、その巨大は倒れた。
このチェーンソーの名はソウルイーター、魂を喰らう武器だ。
この狩人とソウルイーターの標的になったのが運のツキ、魔物が狩られることは狩人に見つかったその瞬間から決まっていた。