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Dear Killer  作者: 野良丸
2/15

プロローグ~少女~




 Dear killer


 この手紙を貴方が読んでいるということは、私は既に貴方に殺されたのでしょう。

 私は今、雪を見ながらこの手紙を書いています。

 そういえば、貴方と初めて会ったのも、雪の降る日でしたね。

 あの時、私は――――


 オーディオから聞こえてくるのは、中高生に絶大な人気を博しているバンドの曲。か細い声は車の走行音に容易く掻き消され、後部座席まではところどころしか聞こえない。音量を上げればいい話だが、そこまで興味があるわけでもなかった。

 車窓から見えるのは、あまり見慣れない町の雪降る景色。目的地であるショッピングモールは、小学生の頃、両親に連れられて一度行ったきりだった。

「沙奈? 沙奈ったら」

 その声にはっと反応した小学校高学年ほどの少女は、顔を上げて助手席を見る。

「もう。ぼおっとしてどうしたの?」

 助手席から顔を覗かせているのは、三十代後半ほどの女性、久留米好香。その身体は病的と呼べるほどに痩せ細っているが、表情は明るく朗らかなものだ。

 運転席には真っ白な髪をした五十代ほどの男性、久留米隆一が座っている。

「まあまあ、母さん。昨夜は遅くまで話していたから、沙奈もまだ眠たいんだろう」

「あら。そうなの?」

 少女、沙奈は一つ頷く。

「うん。ごめんなさい。まだ少し頭がぼーっとしてて」

「いいのよいいのよ。でも映画の上映までには目を覚ましておかないとね。ずっと楽しみにしていたのに、寝ぼけたまま見て覚えていませんじゃあ勿体無いもの」

「ははは。それはそうだ」という笑い声につられるように、沙奈もうっすらと笑みを浮かべた。




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