Epilogue
人の【死】とは、唐突で、残酷だ。
しかしながらそれは、遅かれ早かれ【生】を受けた者には誰にでもやって来る平等なモノ。
思考の問題で、この世に実質的な平等は存在しないが、【死】だけは誰の下にも平等だ。
人は人生の最後に一番残酷で、滑稽な平等の道を通る。
あたかもそれは、彼岸への川のようだ。
人は、その平等な道を、人生で一度しか歩く事が出来無い。
それまでは、その道がどんな道なのかすら知らないのだ。
だから、生きている人間に【死】を騙ることは出来ても、語ることは不可能なのだ。
見かけ上の現象に踊らされているにすぎないのだ。
誰が【死】というモノを定義づけたのだろう。
実際は、死んでいないかも知れないのに。
そして、人間とは非常に滑稽なイキモノで、死んだ人間本人より、生きている人間の方が、【死】について理解しているのだ。
無論、本質的に理解しているわけではないのだが。
果たしてその理由は、
死んだ人間は、自分が死んだことに気がつかない。
生きている人間は、これが人の【死】だと決めつけ、見切りをつける
……からだ。
余りにも滑稽すぎる。
絶対の平等などと謳っておきながら、それをそうだと認識出来る人間は、この世に一人たりともいやしない。
だから、自分が死んだと理解出来ず、自身が死んでからかなりの時間が経ったとしても、突然、あたかも自分がこの世に存在しているかのように振る舞い出す、なんていうこともしばしばあるようだ。
【生】と【死】の境が分からないのだ。
生きている人間にとっては明白でも、死んだ人間にとってはあまりにも判然としないモノ。
それが、この世に存在する絶対の平等の正体である。
要は、誰にも【死】を理解することは不可能なのである。
だから、私は【死】を追い求め続けるのだろう。
私の中に、【死】という概念がそもそも存在していなくとも。
――パタン
青年は、万年筆を机に置くと、静かに本を閉じた。
―――Fin
初めまして!
浮芥彼と申します。
なんだか作品を投稿させて頂くだけさせて頂いて、全くご挨拶をする時間がありませんでした。
色々とあったごたごたがようやくひと段落しましたので、今更ながら打たせて頂いている所存です。
この作品は、一度この『小説家になろう』様に投稿させて頂いていたのですが、諸事情により一度削除致しました。
ご迷惑をお掛けし、大変申し訳ございません。
では、お詫びを一通り書かせて頂いたので、ここからは私的な話に。
『A Couple of Graves』を最後まで読んで下さり、誠に有り難うございます。
『A Couple of Graves』
という作品はここで一度完結しますが、綾香は違う作品にも登場する予定です。
では、長々と書き連ねてしまいましたが、これにて閉じさせて頂きます。
最後に、くどいようではありますが、この作品を最後まで読んで下さり、誠に有り難うございます。
貴方様に、最高の幸福が訪れますよう微々たる力で全身全霊、祈っております。
以上、浮芥彼でした。
※ストーリー後半部分の改変、そして、もっとより良いお話をお届けするために、作品を一つ削除致しました。削除した作品は、構想を練り直し、更に重厚感のある作品に仕上げて、再度掲載させて頂きたく思います。