2の出逢い 驚愕
「まあよい。それで?今回の宴とやらはどのような試行をするのだ?」
妾とザラフォードの無言の睨み合いはお互い負けを認める兆しがなかったため、埒があかないと思い本題に戻す。
老い先短いジジイが…まだうら若き女子に対抗意識を燃やすとはどういうことだ?いい歳なのだろう?勝ちを譲ったらどうだ?
「陛下、お早く爺に対する殺気を消してください。爺はか弱気ため身体が悪うように感じまする」
「ふん、とうに六十を越えたジジイのお前がまだ二十の女子である妾の殺気など取るに足りぬであろう。
弱々しくするな、気持ち悪い」
ザラフォードを見ているとつい妾の本性をさらけ出してしまう。
瞳を潤ませるザラフォードが気持ち悪いせいだきっと。
「おやおや、お手厳しい…もう少し大事に労わってくだされや。ふぉふぉ」
イラっとする。
こぉんのクソジジイ…。本当にどうし……。
はっ!いや、いかんいかん。妾は王族。第48代フランドルの女王なのだぞ。その者が簡単に挑発に乗るとは言語道断。これが他国との会談だったら負ける一方ではないか。
落ち着けー、落ち着けー。
…ふう、女王としての威厳を忘れてしまうところであった。
「さて冗談はさておき陛下の問にお答えいたしまする。
先ほどは申した宴というのは城で行う催しものの一つにございます。今年は陛下の即位五年目と建国600年の区切りのよい目出度き日が重なっていますゆえいつもより盛り上げるべく、前夜祭として宴前の四日間を行い。出される露店の売上にかける税の軽減また多くの人々が訪れるように港の開港を緩めるなどその他多くの政策をこの紙に記載しております。目を通してくだされ」
そういうとザラフォードは妾に分厚い紙の束をずいっと差しだす。
げ、紙なんてもう見たくないとさっき思っておったというのに。
「…分かった。後で目を通しておく」
「はい、分かりました」
「で?その7日間は何をするのだ?前夜祭四日間と宴の三日間と趣向が違うのか」
頬杖を付きながら再度聞く。
「はい、そのことについてもその束にありますよ。一部を紹介するならば、芸者や魔術師などを招いて余興を楽しんだり、城の中で武術大会を行う予定です」
「城を開けるのはそういう意味なのか。…開港もするとなると人が多く集まるな」
我が国は海の近くにあり、港は賑わい数多くの旅人が訪れている。またしおかぜがあることから『海と風の王国』と呼ばれ訪れし者から親しまれている。
普段は制限がかけられて開門をしているが、それでも人々は多い。さらに多くの人が集まるというのか。
「宿泊は大丈夫なのか、それと混乱や問題事が出てくるのではないのかい」
「はい、そのための宿泊先はもう作っております、混乱等につきましては、既に海兵隊や警護を配置しておりまする」
綿密な計画にもう支持を送っていたのか。家臣の有能さに思わず溜息が零れる。
「随分とデカイな。それなのに今まで一度も聞いたこともないのが、はなはな疑問なのだが…」
「さっきも申したでありましょう?陛下にご自愛して頂きたかったので…爺たち家臣一同話を進めておりました」
「ザラフォード…」
驚いた。ザラフォードたちは妾のことをそれほどに…。
少しうるっときた。
しかし、感動した妾が馬鹿であった。
「いやー、大変でしたのだぞ。陛下のために他国の来賓に美男揃いの者を呼んだり…、来賓と陛下の会談の時間を設けたり…とだれが陛下の目にかない結婚なさるのか…楽しみですよ、陛下。ふぉふぉふぉふぉ」
なあ〜〜〜〜〜〜に!!!
妾は男が嫌いなのだぞ!!