なんかシリアスっぽいけど、意地でもコメディに戻してみせる!○っちゃんの名にかけて!
魔眼スコープビジョン。
能力は、みた人物のこの世界観での役割がわかるという、まさしくメタ能力である。
スコープビジョンには、まだ他にも能力があるらしいのだが、それは使いこなしていくうちに解放されるらしい。
母さん曰く、そっちの方がロマンがあるとかないとか。
世界観事変の影響だろう、無駄に大きな下足室を抜け、中央で交差しまくってる階段を上がり、2ーAの教室にたどり着いた。
教室の机は、なんかスタイリッシュになり、使いやすいのか使いにくいのか、判断に困る物になっていた。
「おっ! 大佐おはよう! 」
「ハイハイおはよう」
小学校から定着したあだ名は、いまだに現役だ。
その挨拶を皮切りに、いろんな奴から挨拶され、それを返していく。
そして、違和感を感じた。
クラスメイトの名前が出てこないのだ。
ニジ高は1年から3年まで、担任ごとクラスを持ち越す。つまり、1年近く一緒にいたクラスメイトの名前が思い出せない。
(ど、どういうことなんだ…………ハッ⁉)
俺はスコープビジョンを起動させる。そして、その原因がわかった。クラスメイトの役割の欄が『モブクラスメイト』となっていたのだ。
俺も学園モノのラノベはよく読むからわかる。学園モノは、主要キャラクター以外にクラスメイトも出てくるのだが、ちゃんと名前がある、少なくともモブなんて表記されない。
(これが……世界観事変ってことか)
俺は一瞬、作者の手抜きなんじゃないかと考えたが、この物語の流れだったら世界観事変の影響だと判断した。うん、そうに違いない。
(早いとこ犯人をブッ飛ばさないとな)
「うぉ押ぉおっ忍っ!!!」
俺がそんなことを考えていると、ズパァーン!! と派手な音を立てて扉が開き、鼓膜を震わせる程の大音声が、教室に響き渡る。
『押っ忍!!!』
それに続いて、俺以外の男子が一斉に立ち上がり、大きく返事を返す。
それに満足した様にウムと頷くと、俺の席まであるいて来る。
ストレートな長髪を鉢巻の様に後ろで固結びし、本人の性格を表した強気で大きな吊り目、制服の上からでもわかる筋骨流流な肉体。
俺の席の横で立ち止まると、急にモジモジし始める。
「お、おは、おはよう!」
「おはよう」
そうだ。そうだよな。
こんな強烈なキャラクターが、モブキャラなんてありえない。
「わ、ワシの婿、婿にこんか?」
凱千 覇名 (がいせん はな)。
筋骨流流な美少女は、【覇王】とスコープビジョンに表示されていた。