母さん的には、このまま漫談続けたかったけど、話し進まないから、続きは回想でね♪
弍寺玄町。
人口1万ぐらいの町で、弍寺玄堂という、割と大き目なお寺ぐらいしか観光スポットが無い、そんな町だ。
そんな、あまり特徴がない町にあるのが、俺の通う『弍寺玄堂高等学校』、通称『ニジ高』である。
ニジ高は、歴史こそあるものの、それぐらいしか特徴がない。いや、ひとつだけあった。それは、私服登校OKな点である。しかしこのニジ高、制服のデザインが古くから変わってなくて、それが逆に可愛いいと人気らしく、女子は殆んど制服だ。男子は男子で毎日着て行く服を選ぶのは面倒臭いと、大半が制服派が多く、それに流されるように殆んどが制服を着て行くため、私服登校OKっていう制度自体が風化しかけている。
まあともかく、そんな特徴が無い、俺の通う学校は今現在。
「な、なんじゃこりああぁぁぁ!?」
凄く立派な門構えをもつ、名門校のオーラ漂う学校に、大変身を遂げていた。
校門前で奇声を上げている俺を横目に、他の生徒たちは、次々校門の中に入って行く。
(どうやら制服までは変わってないようだな)
そんなことを考えながら、俺は昨日の話しを思い出していた。
〜昨日〜
「世界観事変? なんだそれ」
「元々の世界観を変えてしまう現象と能力のことよ。奴らはその能力を使って、様々な世界の世界観を変えていってるの」
「や、奴らって?」
「…………世界観変えて委員会」
「はい、母さん歯ぁ食いしばって下さぁい!」
「ちょ!! なんでよ、今シリアスな流れだったじゃない!!」
「お前が茶々入れてんじゃねぇか!!」
敵集団の名前がダジャレでそのまんまとか、マジ手抜きすぎるだろ!
「しょうがないじゃない! そんな名前だったんだから! 続き話してもいい?」
母さんの話しによると、世界観変えて委員会は、俺たちの世界観を異能バトル世界に変えてしまったらしい。このまま放置すると、リアル異能者が出てきちゃうとのこと。
「この世界は元々、日常系ギャグの世界だった。それが世界観だけ、異能バトルに変わったら……被害が出るわ」
「どうすればいいんだ? 策はあるんだろう?」
そう俺が言うと、母さんはニヤリと笑い、俺を指差した。
「そのためのタカちゃん改造計画じゃない!」
やはりそう繋がるのか。まあこの世界を守るとか、男子としては燃える展開だしな!
「具体的には何をすればいい?」
「簡単よ。世界観を変えてる奴見つけ次第.ブッ飛ばせばいいわ」
「どこにいるのかわからない奴を、どうやって……」
「世界観を変えてる奴はこの町にいるわ。これは能力の性質上間違いない。そして、その犯人はこの世界観の異物扱いになってるから、役割が空欄になっているはずよ」
母さんがマジな顔して喋っている。珍しい。ついでにその仮面も脱いでよ。
「でも、そんなのどうやって見分けるんだよ! 役割とか意味わかんねぇよ!」
「ふっふっふー、そのための改造計画じゃない!」
グッと親指を立てて、こっちに向けてきた。
「はい母さん歯あ食いしばってー♪ ふんぬらぁ!」
「べぶらぁ!!」
やはり改造してんじゃねぇか!!
「まったく母さんは……まあ付いちまったのは仕方ねえ、早速使ってみるか」
魔眼スコープビジョン。
母さんが、俺の体を改造して付けたひとつ目の能力である。