「円安国家」 ~ブタブタ金融有限公司【外伝】~
――ある日の東京。
都内某所の会議室で、日本の大企業の大物経営者たちが集まっていた。
議題は一つである。
「日本の未来について」
司会が重々しく口を開く。
「皆さん、日本の未来はどうでしょうか?」
会議室に沈黙が流れる。
やがて一人がつぶやいた。
「日本はもうダメでしょう」
全員が深くうなずく。
「そうだな」
「人口も減るしな」
「低成長だ」
司会が熱心にメモを取る。
「では対策を考えましょう」
少し考えたあと、一人の大物経営者が言った。
「円を売りましょう」
「なるほど」
「そしてドルを買う」
「いい案だ」
「そのドルでアメリカの不動産や株を買い、海外に工場も建てよう」
会議室がざわめく。
「天才か!?」
「合理的だ」
こうして満場一致で決議された。
◇◇◇◇◇
――半年後、再び会議が開かれた。
司会が報告する。
「皆さん、円安が進んでいます」
会議室がざわつく。
「困りましたね」
「日本は弱くなった」
「その証拠に円が安い」
司会が企業経営者たちに尋ねる。
「原因は何でしょう?」
一人の男が手を挙げた。
「円を売っている人が多いのでは?」
全員が考え込む。
そして誰かが言った。
「確かに」
司会が熱心にメモを取る。
「では対策は?」
しばらく沈黙が流れたあと、同じ男が言った。
「円を売ってドルをもっと買いましょう」
会議室が沸いた。
「それだ!」
「合理的!」
「日本の未来は海外だ!」
◇◇◇◇◇
そのころアメリカでは――。
とあるアメリカ人がニュースを見ていた。
「日本は衰退したらしい」
友人が言う。
「でも、日本の年金基金がうちの会社の株買ってるぞ」
「このビルのオーナーも日本の投資会社だぞ」
「先日、取引先の会社、日本企業に買収されたぞ」
二人は少し黙る。
「……本当に衰退してるのか?」
◇◇◇◇◇
そしてまた東京――。
三回目の会議である。
司会が言う。
「皆さん、困ったことに日本は衰退しています」
全員がうなずく。
「間違いない」
「TVのニュースでも言っている」
「円安だしな」
司会が質問する。
「では、どうしましょう?」
一人がゆっくり言った。
「円を売って、米国株への投資を増額しましょう」
会議室が拍手に包まれる。
「賛成!」
「未来はアメリカだ!」
「日本はもうダメだからな!」
こうして会議は満場一致で決議された。
――その結果。
円はさらに下がり、
日本人の海外資産はさらに増えた。
しかし翌日のTVのニュースではこう言われた。
「日本は衰退しています」
日本人はうなずいた。
「そうなんですよ」
そう言いながら、、、
また円を売った ( ˘ω˘ )
【備考・参考】
日本は今、「輸出で稼ぐ国」から「海外投資の配当で稼ぐ国」になっています。
例えば、海外子会社の利益とかが大きいですよね。
日本の年間の経常黒字額は、なんと約30兆円です (*´▽`*)
消費税収:約23〜25兆円
防衛費:約8〜9兆円
こう比べてみると、デッカイ額ですよね (;^_^A
でも、受け取った外貨は円に換えず、さらに海外へ再投資されるのです。
だから、いくら海外との収支が黒字になっても、ほぼ円が買われることはないのです (´・ω・`)
「――星間覇道 ―― すべてを失った少年貴族と、それを値踏みする女海賊が、帝国の内乱に関わる話」という宇宙モノを連載中です。
お気が向きましたら、読んで頂けると嬉しく存じます。
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