第87話 香奈と狩りに行って見たぜ!
高橋先生に頼まれたのもあって、学校から戻ると一階のスポーツクラブへと顔を出した。
十七時前のこの時間帯は、小中学生の選手育成コースの子供達が多くて俺が現れると子供達や保護者に囲まれて、写メを撮られまくったけど嫌な顔をせずに対応したぜ。
お母さんたちの中には俺にプレゼントを用意してる人たちも居て、結構困っちゃったけどね。
因みにプレゼントを開けると、ほぼ確実にメアドや電話番号、ラインのIDなんかが添付して有ってまじで困る。
十分程で包囲網を脱出して所長の部屋に行き、今日の高橋先生のお願いを伝えると、翔君がスケートを始めるって事なら翔君の行ってる高校に枠を空ける事には全く問題が無いよ。
その替り松尾君がうちで練習してるっていう部分を、宣伝で使わせて貰うけど良いかな?
「写真無しで名前出すだけなら問題無いですけど、写真とか使う場合は今泉さんとお話して下さいね? 勝手に俺が返事しちゃうと今泉さんに怒られちゃうから」
「解ったよ。ここのリンクは日曜日から火曜がフィギュア用で水曜日から土曜日まではショートトラック用になるけど、松尾君が取り組むのはどっちになるのかい?」
「一応、スピードスケートなら問題無く出来そうだと伝えてあるんだけど学校の先生がフィギュアにも挑戦して欲しいみたいな感じだったから、少し練習はしてみたいかもです」
「それは盛り上がりそうだね。翔君の学校の方には私から連絡を入れて置きます。フィギュアのコーチなんかは当てがあるのかい?」
「全く無いですけど、話しを持ってきた高橋先生と相談して今泉さんとも話して決めようと思います。メーカーさんの意向もあるかもしれないし」
「そうか、翔君が動くと大金が動く事にもなるし大変だね」
「でも、普通のスピードスケート競技は四百メートルリンクとか無いといけないから大変ですよね」
「一般で四百メートルリンクを作っても採算が合わないからね」
「少し泳いで行ってもいいですか?」
「ああ、構わないよ。小中学生の育成コースの子達が使ってるけど、きっとみんな大喜びするはずだよ」
一時間程泳いで二階の会社の事務所に顔を出すと、GBNのパフォーマーのお姉さんたちをマネージメントをする新しいマネージャーさんが、綾子先生と一緒に居た。
俺が顔を出すと一斉に「お疲れ様です」と声を掛けてくれて、なんだかちょっといい気分だな。
新しく採用した人は二人とも女性の方で二十代の綺麗な人だった。
綾子先生から「綺麗な女性だからってじっと見つめたら駄目ですよ?」と釘を刺されたぜ。
◇◆◇◆
アンナ達はGBN12の活動で忙しそうだけど香奈は不測の事態に備えて今は学校とアイドル活動の両方を休んでくれている。
中々、香奈と二人で行動する機会も少ないので、アフリカの拠点へと転移した後で合流する事にした。
ホープランドの拠点では遊真が研究室を作って色々取り組んでる。
水鉄砲もさらに改良型の物を作り上げて二十メートル以内ならほぼ勢いを落とさずに命中させられる高性能な物が出来上がっていた。
アンデット系がメインのチェルノブイリでは十分有効だから助かるぜ。
でも、それよりも遊真が力を入れているのは『カラーレンジャーズ』のコスチュームだ。
最近の戦隊ヒーロー物に十分影響された少しごつい感じの装飾が全身タイツの上に装着されると結構かっこいいかな? と思える感じのデザインになっていた。
細部のデザインなどはアナスタシアとアンナも参加してデザインしてるらしい。
どんだけ変えたいんだよ……
◇◆◇◆
放課後に暇そうにしていたので香奈を誘って済州島に来てみた。
ここは既に完全な魔物の支配地域になっている。
ここの魔物は種類は多く無いが定番中の定番ともいえる人型モンスターが生息している。
ゴブリン、オーク、オーガの三つの系統の魔物達だ。
香奈は既に成長スキルを最大まで強化して他のスキルの獲得を始めている。
元々はイルアーダで俺より強い存在だったんだから、これから先は最も頼りになるはずだ。
見た目こそ女子中学生だけど中身年齢は斗真さんと同じ歳だしね。
「翔、オーガ達を相手にするなら魔法だけじゃ無くて武器が必要だよ大剣を用意して欲しいかな」
「え? 香奈ってメイン武器大剣なのか? 俺と戦った時は杖しか持ってなかったじゃん?」
「使った事は無いけど翔の動きを見てたから恐らく使えると思うから」
「そう言う問題なのか?」
「それなら香織って言う凄いいいお手本があるんだから日本刀とかどうかな?」
「私に大剣使わせたくない理由でもあるの?」
「いや……俺のメイン武器で俺より上手に扱われたら何か嫌だからだ」
「ブッ翔君それまじでしょ? 意外にせこい所が安心したよ。解ったよ日本刀でいいよ」
「ほら、これイルアーダに居る時に作ってた日本刀だ。その当時の俺は自己流でしか剣が扱えなかったから、作ったっきり仕舞いこんでたけど、香奈が使ってくれるならその刀も喜ぶぜ」
「翔、私は魔法をカンストしたら、結局魔法の方が強くなると思うし、この刀はもう少し成長したら香織に使って貰うのが良いと思うよ?」
「そっか、それもあるな」
「でも今はまだ香奈とマーくらいしか戦力としては期待できないからな」
「それはしょうが無いね、今日は三十層くらいまで進めて置きたいね。この間マップ重ねたじゃない?」
「あーそうだったな」
「それで重なった該当ダンジョンと同じと思えば済州島は四十層までしかないはずだからね」
「あ…… それも同じ条件の可能性が高いのか」
「出てくる敵も同じだしね。ほぼ間違いないと思うよ?」
「香奈は魔王だったんだからさ、このダンジョンとか設置したのは香奈じゃ無いのか?」
「違うよ、前にも言ったと思うけど基になる大きな設定は私じゃいじれなかったからね」
「四天王の存在とかか?」
「うん」
「あいつらは一応俺が倒したけど、勝手に復活するのか?」
「そうだね、次の魔王が現れればそれと同時に復活してるはずだよ」
「その辺りは謎だよな」
そんな話をしながら俺は香奈と二人で三十層までの敵を倒して行った。
危険がない限りは、香奈に倒して貰わないと香奈の成長に繋がらないから、結構時間はかかったけど、成長スキルマックスの香奈はレベルも七十まで上がった。
現時点で、ヤリマンスキーたちがレベル四十は超えて無いから、香奈の強さは際立ってきたな。
「香奈、悪いけど香織とアンナと遊真の三人は香奈が面倒見て貰えるか?」
「うーん面倒だけどしょうがないね。翔は誰を面倒見るの?」
「綾子先生と美緒とリンダとアナスタシアの四人だな。ヤリマンスキーたちは元々パーティだからそのままで問題無いだろ?」
「そうだね、今日はそろそろ帰ろうよ。美味しい物食べたいな」
「了解だ。お寿司でいいかい?」
「うん、でもさ私達の見た目だとお店で食べるのは無理だよね?」
「それはしょうが無いね、テイクアウトで頼んで拠点で食べようぜ」
「早く大人になりたいってこんな時は思うね」
「香奈はまだ幻術は使えないのか? 俺は幻術覚えて無かったけど、香奈はそれが使えれば見た目は自由自在だろ?」
「あーそう言えばそうだね。今日の獲得したポイントで幻術取っておこうかな」
「香奈の幻術は俺の姿変える事も出来るのか?」
「うん出来るよ」
「マジかそれは俺的にメチャ助かる。勇者の俺の姿覚えてるだろ?」
「ロン毛の髭もじゃ勇者? あれは……ハッキリ言ってダサいと思うよ? 何で金髪で眉毛と髭が黒いのか意味解んなかったし」
「えー……気に入ってたのにな。髪の毛は染めたんじゃ無くて脱色してただけなんだけどな。スライムの溶解液薄めて頭洗ったら、簡単に出来るから」
「そんな事して禿げたらどうするの?」
「何度か失敗して禿げたよ? 勿論時空魔法で巻き戻したけど」
「贅沢な使い方してたんだね」
その後で築地のすし屋で大量のお寿司を買って、伊豆の拠点で美味しく食べたぜ。
香奈も幻術を取得して、勇者と魔王で対戦した当時の容姿になって食事したけど、なんだか魔王と勇者が仲良く寿司つまむ姿ってシュールだよな!




