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出戻り勇者は自重しない~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~  作者: TB


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第66話 プロアマトーナメント③

 トーナメントは予選の二日目を迎えて俺はトッププロと一緒に最終組でのプレーとなった。


 陽気なイギリス人のアーサーがオナーで始まった。

 

 アウト一番ホール 三百九十八ヤード パー4


 アーサーのティーショットは、お手本の様にフェアウェイど真ん中を捉えた。

 昨日よりは若干上空の風が強そうだが見事なドローショットだった。


 そのショットを見た倉田さんが、俺の耳元で囁いた「翔、アーサーに惑わされるなよ。風が強いように見せかけてるだけだ。実際は昨日と変わらない」


「そうだったのか……既に勝負は始まってるんですね。倉田さんの言葉が無かったら乗せられてしまってました」


 俺は落ち着いて自分のショットをすることにした。

 昨日同様低い弾道で打ち出したドライバーショットは、キャリーでアーサーを上回りグリーン手前六十ヤードの位置まで飛んだ。


「ヒュー」と、アーサーが口笛を吹いた「キャディが優秀だな、って倉田じゃないか。まだプレーは復活出来ないのか?」どうやらアーサーと倉田さんは顔見知りらしい。


「今はプレー中だ。話は終わってから聞くよ」と、倉田さんはアーサーにピシャリと言い放った。


 片岡さんがアプローチに入って、アーサーと同じような位置をキープした。


 アーサー 4 -7

 俺    3 -8

 片岡   3 -7


 で一番ホールを終える。

 

 二番ホールへの移動中にアーサーが気軽に声を掛けてくる。


「流石に騙されないね、俺も本気で行かせてもらうよ。盛り上げるのに握らないかい?」


 倉田さんが、ちょっと表情を怖くした。


「アーサー、未成年の翔に賭けゴルフを持ち掛けるな。運営に報告したら失格もんだぞ」

「ソーリー場を和まそうとしただけだよ」


 てか倉田さん英語ペラペラなんだね。

 ちょっと見直した。


 片岡さんは相変わらず無口に俺達とは距離を置いている。

 アウトを終えてクラブハウスに戻ると、又昨日と同じように黛さんが駆け寄ってきた。


「翔、凄いわよ千セットのハンカチがソールドアウトしたわ。ウェアも既に今日用意していた二百枚が売り切れたわ」


 ハンカチで一千万円の売り上げって何なんだろ? 意味分からないよね?

 俺の今日着ているのと同じ襟付きのシャツが四千八百円だから、シャツも九十六万円かよ滅茶苦茶だね……


 肝心のスコアもハーフ終了時点で


 アーサー -10

 俺    -11

 片岡    -9


 全体でもトップタイだ。

 インターネット局のライブ中継も、開局以来最高のアクセス数を稼いでいるんだって。


 昼食に向かおうとすると森先生が「翔君、ランチは一緒に行こうよ」と、当然の様に話しかけてくる。

 倉田さんを確認すると頷いたので森先生も一緒にテレビ局の人達と黛さんと十人でのランチになった。


「ところで森先生って、ゴルフはどれくらいで回れるんですか?」

「私は凄いよ。最高十八ホールで五十五のスコアをマークした事がある。ゲームだけどね!」


 一瞬視線が集まったが誰も突っ込まなかった。


「翔君の出る大会が増えれば私が呼ばれる確率は高いから沢山トーナメントに参加してくれよ!」


 と、意味なく魔王の様に笑いながら放送席に戻って行った。

 憎めないからいいんだけどね……

 個人的なファン目線での解説が良いんだって言ってたけど、インターネット局だけあって地上波とは番組のコンセプトが違うんだね。


 後半がスタートするまでの間は個室で少し明日分のハンカチとウェアにもサイン入りを用意して欲しいという事で又一生懸命サイン書いたぜ。


 インの十番ホールからスタートしたハーフは更に五つのアンダーパーを積み上げ、昨日以上のスコアとなり予選も無事に通過した。


 二日目を終えて単独首位に立ったぜ!


アーサー -13

俺    -16

片岡   -12


 三日目の本戦は今日スコアを大きく伸ばして十五アンダーで二位に付けたアメリカ選手と、十四アンダーで三位の日本でも一番人気の高い選手が同じ組で回る事になる。


 この選手は十代の頃に今回の俺の様にプロアマに出場して優勝しプロデビューした日本ゴルフ界のアイドル的存在だ。


 その実力も折り紙付きで初日は出遅れてたけど、二日目の今日は十三アンダーの五十九で回り二日目のトップスコアだった。


 六十を切るスコアは、このホールではコースレコードだったんだって。

 それを聞いたら負けられないよね! 明日はコースレコード更新を狙うぜ!!

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