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出戻り勇者は自重しない~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~  作者: TB


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第54話 『COLOR RANGERS』の活躍とタイトルマッチ【後編】

 ラスベガスのタイトルマッチ会場になっているホテルでは凄く華やかなイベントが繰り広げられている。


 バニースタイルのお姉さんが網タイツと切れ込みの激しいレオタード姿でドリンクを運ぶ姿は、イルアーダで獣人の女の子が接客してくれる酒場を思い出したぜ。


 しっかりと目に焼き付け今晩一人きりになってから思い出そう……


 一応何か問題が在っても困るからリンダとアナスタシアがこっそりと会場内に紛れ込んでる。


 テレビカメラが何台もある中では俺が行動すると目立つからね。

 元々鍛えていたリンダとナーシャは既に健人さんとマジで殴り合いになっても勝てるほどの強さだ。


 俺は健人さん陣営のスタッフとしてタオル係をする事になってて今日の会場に訪れているけど世界中のメディアが健人さんよりも俺にインタビューに訪れて困ってる。


 まぁうちのジムの人間達で英語が喋れるのが俺だけだから、しょうが無いんだけどね。

 今日のタイトルマッチは下馬評ではカイザーの圧倒的有利が伝えられている。

 掛けのオッズでも三ラウンド以内でのカイザーのK.O勝ちが本命になってるほどだ。


 カイザー側のプロモーターが腹黒そうな笑みを浮かべながら俺に近寄ってきた。


「SYOU、チャンプを目指すなら加山の所より俺のところに来な。加山じゃとても用意できないビッグビジネスにしてやるぜ。このままじゃプロになってもチャンプにはなれないぞ。理由はSYOUと戦いたいと思うチャンプが存在しないからだ。俺なら翔と対戦するチャンプを用意することが出来るからな」

「俺は別にチャンピオンになる事だけが全てじゃないから加山会長以外と手を組むことはないよ。どうしてもと言うなら賭けをしない? 今日カイザーに健人さんが勝てば俺がプロデビューした時の俺の世界タイトルマッチを組んでくれよ。健人さんが負けたら所属は加山ジムのままだけど俺の世界戦のファイトマネーは全部あんたの言いなりで試合に出るよ。損はないだろ?」


「面白いな俺に損がないのが気に入った。だが今日の試合はカイザーが勝つ」


 プロ選手の五人は加山会長が大盤振る舞いで全員連れてきていて、それぞれにこの夢の様な舞台にいつかは自分も立ちたいと、決意を新たにしていた。


 そして試合開始時刻を迎え、アメリカでグラミーを何度も受賞してるような女性ボーカリストの国歌斉唱が行われた。

 それに対して加山会長が用意した君が代のボーカリストはめちゃアニメ声の声優さんだった。

 とても君が代とは思えない超高音キーでの斉唱はある意味カルチャーショックを覚えたぜ。


 会長何故この人選にしたんだ……


「いやうちの孫がな、この声優さんが主題歌歌ってる魔女っ子アニメのファンでな孫が喜ぶと思って頼んでみた」


 ……会長、何か憎めないな。


 カイザー陣営には五輪では銀メダルで終わった俺とのスパーをやった弟君がセコンドについてる。

 やたら俺を睨みつけてくるけど俺は頼まれて相手しただけだからね?


 今日は俺の資金を使ってアナスタシアに頼んで派手に健人さんに賭けてもらってるぜ。

 賭けた総額は五百万ドル。

 健人さんが勝つと五倍以上にはなるから、ちょっとリッチになれるぜ。


 そしてゴングは鳴った。


 一ラウンド目はカイザーのパンチをひたすら避ける展開になった。

 解説や観客も、カイザー圧倒的有利を確信している中で一ラウンド終了のゴングが鳴る。


 健人さんがコーナーに戻りやたら首をひねる。

 納得がいかない感じだ。


「だから言ったでしょ? 既に健人さんはカイザーのレベルなら大した敵じゃないですよ」


 ひたすら避けただけだったがカイザーの全力攻撃は一発も健人さんに当たっていなかった。

 

「よし、一気に行くぞ」


 俺の言葉を受けて勝利を確信した健人さんは二ラウンドのゴングと共に飛び出していった。


 歴史上バンタム最強のチャンピオンと言われたカイザーのパンチの全てに、普段の俺とのスパーで俺がやってるような感じでカウンターを合わせまくってダウンを奪う。

 それでも最強チャンプの意地で立ち上がってくる。


 今度は健人さんから踏み込みリング中央で滅多打ちにした。

 カイザー側からタオルが投げ入れられ試合は二ラウンドで決着が付いた。


 カイザー側のセコンドは誰もがこの状況を受け入れきれてないようだ。

 観客席もアメリカの最強王者の勝利を信じて見守っていたのが全く逆の展開になったことに対して一瞬の静寂が訪れてた。


 健人さんが世界チャンピオンになった。

 会長が満面の笑みで健人さんを肩車をしてリング中央に立っている。

 本当に目立ちたがりだな……


 俺は一番端っこでできるだけ目立たないようにうつむき加減で立っていた。

 それなのに……マイクが俺に向いてくる。


 あ、通訳だった。


 健人さんは試合後だと言うのに、元気いっぱいで「誰の挑戦でも受けますから、じゃんじゃん申し込んで下さい」とコメントをした。

 俺はサービスを含めて「プロデビューを目指してますので、健人さんの体重まで絞り込むのが今の目標ですね!」とコメントを出したら「それだけは断る」とテレビの前で堂々と拒否られた。


 そして顔色の悪いカイザーのプロモーターに「俺の勝ちですね、約束は守って下さいね!」と言葉をかけて引き上げていった。


 カイザーの試合はファイトマネーも凄くて、カイザーの三千万米ドルに対して、健人さん五十万米ドルだったそうだ。


 そして……事件は起こった。


 アナスタシアがBETしていた五百万米ドルの金額に対して三千万米ドル弱の配当を受け取りに行き目の前にドンと現金で積まれる。

 百万米ドルが入るアタッシュケースを三十個用意させカジノの警備員に運び出させた。

 そして警備会社に用意させた現金輸送車にアタッシュケースを積み込ませていると、いかにもな連中がいきなり拳銃を発射してきた。


 当然リンダも遠目に様子を捉えていて、すぐに念話で『COLOR RANGERS』の招集を行った。

 今回の招集に応じたのは、ブルー、イエロー、グリーン、そして早着替えで変身したシルバーとオレンジが現れた。


 俺は、今日の世界戦に合わせて集まった世界各国のテレビ局の放送を通じて会長達と一緒にのんきにテレビで眺めていた。


 犯人グループは七人居て、それぞれが拳銃と自動小銃を構えている。

 最初の銃撃で撃たれた警備員の男が、輸送車の前で倒れていてかなり出血をしている。

 ちょっと危険だな。


 俺は念話でリンダに指示を出す『ポーションを使え』


 犯人グループの仲間がワンボックスカーで現場に横付けし現金の入ったアタッシュケースを積み込み始めていた。その状況で『COLOR RANGERS』の五人が周りを囲むと犯行グループが「なんだこの気持ち悪い変態軍団は」と失礼な発言をしているのをテレビカメラの音声が拾い上げてた。


 まだ警察は到着していない。


 イエローがいきなり犯人グループの車のフロントバンパーに手をかけると、雄叫びを上げて持ち上げた。

 全身の脂肪が波打つ姿はテレビ画面で見てもインパクト強いな。


 フロント部分が完全に浮き上がった状態になった所に、グリーンが飛び蹴りを放つと犯人に向って車がひっくり返って倒れていった。


 マジで戦隊物の実写ドラマみたいだな。


 オレンジが撃たれた警備員にポーションを飲ませると、みるみる傷口がふさがり血が止まった。

 銃弾は貫通していたようだ。


 腿のあたりだから恐らくこれで十分だろうが流れ出した血はポーションでは作り出せないから輸血の必要性は有る。


 そしてブルーとシルバーが犯人たちを見る間に制圧していった。


 この二人はロシア方式というか制圧の手段が優しくない。

 犯人グループの七人にドライバーを合わせた八人全員が手足をへし折られて転がされた。


 その頃にようやく警察が到着したが、その姿を見る頃には五人で香ばしい決めポーズを決め『平和は守られましたわアデュー』と何故かシルバーが高らかに宣言し『ホホホホホ』と高笑いをしながら転移門を広げ消えていった。


 人混みの中から何事もなかったようにアナスタシアが現れ「私のお金は無事なの?」と言いながら前に出ていったが現場に駆けつけた警官たちに阻まれて輸送車に近づけない。


 その後、犯人たちは全員拘束され連れて行かれ警備員の責任者がアタッシュケー三十個と中身を確認して、ようやくアナスタシアとともに輸送車は旅立っていった。


 なんかよく出来たコントのような展開だがヒーロー大好きなアメリカ人には妙に受けていた。


 テレビ局のリポーターが高らかに「危機が訪れた時には『COLOR RANGERS』と叫べば助けてもらえるぜ!」と世界中に向けて言い放った。


 でもなぁ、仕込みでもなんでも無くこんな事件が当たり前に起きるアメリカってどうなの?


 と思いながら健人さんの祝勝パーティーの会場に向かった。


 ◇◆◇◆ 


 翌日この状況を放送したアメリカ最大のネットワークを持つテレビ局に『COLOR RANGERS』からメッセージが届いた。


 本当に助けが必要な事件が起きた時は『HELP ME COLOR RANGERS』と叫べば願いが叶うこともあるかもね? と……


 そのメッセージを受けた、このネットワーク局は『COLOR RANGERS』へのメッセージリクエスト専用のホームページを起ち上げ世界中にアピールした。


 そして、リンダとアナスタシアが中心となって世界お助け部門も稼働を始めた。

 あくまでも暇つぶし程度にだが……


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