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出戻り勇者は自重しない~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~  作者: TB


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第37話 アナスタシアの実力と陸上競技のスタート【後編】

 拠点から戻ると綾子先生に連絡を取りディナーに誘った。

 アナスタシアがフレンチを希望してたから、以前斗真さんに連れて行ってもらったホテルの最上階にあるフレンチレストランに電話をしてみると、席は取れたのでグランドハイアットに綾子先生を迎えに行ってからタクシーで移動した。


 でもアナスタシア達ってどうやって俺の動きを補足しているのかな?

 流石に昨日の博多には来れなかったから、特殊能力を持ってる訳じゃないだろうけど、いつの間にか居るんだよね。


 綾子先生は、今日も全身を高級ブランドで装いを整えて腕にはショパールの時計をはめ、セレブリティー感が半端ない。


 パヒュームも昨日とは違う清涼感のある匂いを漂わせている。

 聞いてもきっと解らないけど褒めるのは大事かな? と思って聞いてみた。


「綾子の香水凄いいい匂いするけど、どんなの使ってるの?」

「これはね、エルメスの「屋根の上の庭」って言う名前だよ。エルメス本店の屋上庭園をイメージしてるんだって」


 やっぱり聞いてもよく解らなかった……

 でもいい匂いには間違いないから覚えておこうかな。


 レストランに着いて二人でディナーを楽しみながら気配を探ると、見事にドレスアップしたアナスタシアとイヴァンの姿も確認できた。

 満面の笑顔でワインを飲んでいた。


 でもやっぱり東欧系の人ってドレスアップしたらメチャクチャ映えるよね。

 

 今日は綾子にはお昼の間に、今泉さんから正式にオファーが在ったはずなんだよね。

 そこでストレートに聞いてみた。


「ねぇ綾子、今泉さんからのオファーは在った?」

「ええ、今日伺ったわ。お受けしましたよ」


「ありがとう、これでずっと一緒に居れるね」

「教師の仕事も大好きなんですけど、翔はそれ以上に大事だと思えるから。アンナちゃん達も居るしお姉さん役でもしょうがないかな? って思ってお受けしましたよ。でも、あんな年俸高すぎない?」


「綾子は美緒とどの程度話してるのかな? お金の動きとかは聞いてるの?」

「その辺りは聞いてないわ。お金の事って翔の居ないところで聞くと何だか、それ目当てみたいに感じるから聞きにくいのよね」


「そっかぁ、でも裏も表も合わせるとこの一年弱で三百億円以上の収入が在ったのは確かだよ。裏は基本美緒に任せるから表の管理は綾子に頼むね。二人で協力して貰いながらサポートを頼むよ」

「三百億円ですか? 想像以上に凄いのね、解ったわ、でも中学校の卒業までは担任の先生としてケジメのあるお付き合いをさせて頂くわね」


「うん、よろしくね」


 その後綾子先生をホテルまで送り届けて、俺は選手村へと戻った後で中央アフリカへと転移してホイホイ施設の増設を行った。

 いつの間にかホイホイの中に囚われた人数は十二人にも増えていた。

 ここに囚われているという事は日本政府的に発表出来ない程の重大な危機をもたらした存在と言うことだが、未成年者や女性が四人も居ることから改めてテロリストの怖さを痛感する。


 彼らの扱いは五輪終了後、斗真さんとカーネル大将に相談した上で決定する事になるが、ビアンカがセーブ出来るかどうかだよね……

 増設を終えた事をマーに連絡し、後の処理を頼んで俺は選手村へと戻り明日からの陸上競技に向けて早めに休んだ。


 ◇◆◇◆ 


 朝を迎えて、いよいよ俺にとっての陸上競技の開幕だ。

 今日は俺の決勝レースは何も無いんだけど、それにも関わらず会場前には大量のチケットを取れなかった人達が溢れかえっている。


 競泳競技で、この事態を予測していたJOCは民放連合と協力して、トレーラートラックのプロジェクションテレビを用意して対応した。


 当然お祭り大好き冬本プロデューサーがGBN12の完コピパフォーマーも招待していて【OCSC】の時の映像が放送されて息の合った応援が繰り広げられている。


 商魂たくましい協会はグッズ販売のテント等も会場前広場に出店させ、どのテントも凄い行列になっていた。


 当然一番人気の商品は俺が契約しているメーカーのスポーツタオルだ。

 競泳競技で使う物よりはサイズも小さく値段も一枚千五百円だけど、十二色のカラーラインナップがされていて、コアな人達は全色コンプリートで購入するという異常さだ。


 何故タオルを一万八千円分も買おうと思うのか意味が解らないよね。

 でもなぁ、既に五輪終了後のモトクロス大会に向けて今泉さんが、ヘルメットやウェアのメーカーと次々契約取ってきて、レプリカモデルのヘルメットとか五万円もする商品を発表しちゃってるし、バイクのヘルメットのTVCMとか見たことなかったけど結構コアな時間帯に放送されてたりするんだよね。


 流石にアマチュアボクシングのジュニア大会に向けての、グッズ販売とかは無いよね?

 でも今泉さんだと縄跳びの縄とかでも契約取りそうだよな……


 そして陸上競技の五日目のプログラムは始まった。

 俺の出番は朝一のトラック競技千五百メートル予選からだ。


 GBN12も観客席の最前列に陣取り観客を巻き込んでの応援を繰り広げる。

 今日は午前中にもう一つ、二百メートルの予選競争と夜の部で二百メートルの準決勝が行われる。


 会場の期待も高まる中、陸上では最初の出番だし、ここはサービスも必要だよね!

 【OCSC】の時に3分20秒ジャストのタイムだったから、少しだけ短縮したタイムを狙おうかな。

 

 弧になったスタートラインに並び、号砲と共にスタートした。

 一周目から果敢に先頭に立つことにすると、直後にケニアとエチオピアの選手が控え隙あらば先頭に立とうと言う勢いで付いてくるが、俺はペースを落とすこと無く最内のコースを淡々と周回を重ね、結局最後の一周では一気のダッシュで突き放し観客の興味もゴールタイムに限定された。


 表示されたタイムには

O.R(オリンピックレコード)  W.R(ワールドレコード) の二つが燦然と輝き、3分19秒55と表示された。


 会場の大歓声に対して大きく手を振って応えて二百メートル走に備える。

 トラックでは次の女子四百メートル走予選が行われ、その次が男子二百メートル走の予選になる。


 女子選手のウエアが最近は腹筋をくっきり見せるセパレートタイプのものが主流だけど、禁欲生活中の中三男子には眩しすぎるよ。


 俺が結構なガン見をしてしまっていると、ちょっとお姉さんな感じの女子選手が声を掛けてきた。


「松尾君みたいなスーパーマンでも、ちゃんと女子に興味はあるんだね、私が筆おろししてあげようか?」と、明らかに中学生な俺をからかった発言をした選手が居て、その人も当然の様にパックリと六つに割れた腹筋をアピールしたウエアを着ていたから、ちょっと赤面しちまったよ。


 俺は「お願いしたいですけど、お姉さんが淫行で捕まっちゃったら悪いですから我慢しておきます!」とやり過ごしたぜ。

 そして二百メートルのスタートを迎えて、三コースからスタートした俺は、危なげなくペースは抑えながらも一着で夜の準決勝に進んだ。


 ◇◆◇◆ 


 お昼の時間には両親や遊真達と競技場の側のファミレスに行くと、俺に気付いた人達が大量にそのファミレスに押し寄せ、悪いと思って何も頼まずに移動するという事態に追い込まれちゃった。


 結局時間も勿体ないから、コンビニでお弁当を買ってきて済ませちゃったよ。

 アナスタシアの悲しそうな顔が思い浮かぶぜ。


 夜はガッツリお肉が食べたいと思い、鉄板焼の有名店を母さんに頼んで予約をしてもらった。

 でも予約で行っちゃうとアナスタシア達入れるのかな?


 午後の時間はテレビの情報番組に呼ばれてGBN12と共に愛想を振りまいてきたぜ。

 今日の番組はテレビ局のアナウンサーの人がメインの番組だから、流石に人の扱い方が上手って言うか気持ちよく話せる環境だったから安心したよ。


「今からやってみたい競技とかありますか?」と聞かれたから「まだ取り組んだことのない競技で、団体競技はちょっと苦手なのでゴルフとかテニスはやってみたいですね!」と発言しておいた。


 次の日には母さんと今泉さんが、大量のスポンサー契約要請で頭を悩ませていたよ。


 ◇◆◇◆ 


 夕方になって再び競技場に姿を現すと競技場は相変わらずの大歓声に包まれた。

 GBN12は夜は開催最終日を迎えていた体操競技の応援に行っていたから、陸上競技場には完コピパフォーマーが来て一生懸命応援していた。


 ここでうまく目立つことが出来れば、この先のデビューの可能性もあるからみんな必死だよね。

 でもこの人達は往復の交通費や宿泊費は冬本さんが全部出すけど、出演料なんかは無料なんだって。

 冬本さんの商才はいかんなく発揮されてるよね。


 俺の出番は二十一時頃に訪れ、二百メートルの準決勝を再びの一着でゴールして明日の決勝に駒を進めた。

 でも、今日の準決勝で一緒に走った選手が八人全員二十秒を切るタイムだったとか、レベルが随分上っちゃってるよね。


 ◇◆◇◆ 


 競技を終えて、予約を入れておいた鉄板焼の銘店を訪れるとカウンターの前に広大な鉄板が並び三人に一人の職人さんが前に立ち、面前で調理をしてくれるというお店だった。


 お肉を焼く時にフランベで立ち上がる炎などを、目前で見れて演出的にも凄く楽しめた。

 今日は斗真さんも遊真達と一緒に並んでいた。

 

 うちの両親と土方夫婦、綾子先生の大人組はワインも楽しんでいた。

 羨ましいなー。


 当然のように、カウンターの片隅にはアナスタシアとイヴァンが座っていたけど、果たして斗真さんはこの二人の事をどう思っただろうね? 気付かない訳はないけど大使館員としての認識か、スペツナズの諜報員としての認識かで楽しめ方が違うだろうなぁ。


 明日は、陸上最初の金メダル取りに行かなくちゃね!


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