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出戻り勇者は自重しない~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~  作者: TB


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第14話 拠点の完成と新たな仲間

 三月に入り梅の蕾もほころび、日差しも暖かく感じるようになってきた。


 美緒に任せていた拠点のリフォームも終わり、俺は転移の魔導具を作って美緒の部屋と伊豆の拠点のウオークインクローゼット同士で繋いだ。


 この拠点は元々の敷地面積も結構広く、隣接する建物も無いためにかなり開放感がある。

 最近は綾子先生も美緒のマンションの鍵を貰っていて、結構気軽に拠点に来ていることが多い。


 この拠点には何と言っても天然温泉に入り放題という素晴らしい特典があるので美緒も綾子先生もプライベートな時間の殆どを過ごしているんだ。


 綾子先生は常識的に俺の目の前ではちゃんと服を着ているが美緒は自由すぎて結構困る。

 俺が温泉に浸かっていても、平気で入ってこようとするんだよな。


 中学生の敏感な身体では色々反応しちまうだろって。


 この二か月間で随分色々と置かれる状況が変わってきて俺は毎日が大忙しだ。

 水泳ではスイミングクラブでは短水路のプールしか無かったので、オリンピックや世界選手権で使用される五十メートルの長水路プールでタイムを測ったことがなかったんだけど、俺は競技者としてずっとやって来たわけではないのでターンの回数が多くテクニックを要する短水路より単純に泳ぐ力で差が付きやすい長水路プールのほうが向いてることも解った。


 スイミングスクールの所長が「次は四月の日本選手権水泳競技大会に出場できることになったからな」と、何だか凄く嬉しそうに言ってきた。


 他の競技も色々やってみたいが今月はジュニアのモトクロスの全国選手権もあるから他のことに手を出すのはもう少し後になるかな?


 ボクシングだけはアマチュアライセンスの獲得をボクシング部のキャプテンと約束してたから取得しておいた。


 ◇◆◇◆ 


 そして今日はモトクロスの全国選手権だ。

 今日三位以内に入れば世界選手権にも出場できる。

 父さんの唯一の趣味だから、これは優先して出場するさ。


 もっとも走るのはバイクだから陸上や水泳のように身体能力だけで差をつけるのは難しいんだけど、それでも動体視力や状況判断マシンの制御力は大幅に強化されているので、いい勝負は出来ると思う。


 今日のレースはヒート1とヒート2と言う二回の三十分ずつのレースを行い周回数を競う物だ。


 今までは基本父さんと二人か母さんが来る程度だったんだけど、今日は遊真、アンナ、香織の三人も来てくれている。


 アンナと香織が先を争って俺の両親に挨拶をしていたが、母さんは俺が意外にもてていることに喜んでいた。


 どこから漏れ聞こえたのか短水路の日本記録を多数抱える中学生がモトクロスレースでも全国レベルの成績を残してるとテレビ局も取材に訪れており俺は結構取材されたりもした。


 しかし今日の大会はジュニア部門でもトップクラスの選手にはメーカーのサポートが付いていたりするので、単純にモトクロッサーの性能で比べると父さんが趣味で整備している俺のマシンとでは結構な差があるんだよな。


 レースがスタートするとスタートダッシュでは、やはりマシンの性能が大きく影響するので二十四台の出場の中で中団からのスタートとなる。

 俺は最短距離を冷静にトレースしながらジャンプの着地やコーナーリングで、じわじわ順位を上げるが先頭集団には中々追いつけない。

 周回を重ねていくと段々と先頭グループの中からミスを起こし転倒やコースを大きく膨らむことで順位を落としていくマシンが出てきて、俺はノーミスで周回を重ねていくことにより順位を上げる。


 ラップタイムでは特別良いタイムを残すことは出来なかったがヒート1を三位の順位で完走した。


 そしてヒート2を迎えるまでの間に作戦を考えることにした。

 父さんと一緒に知恵を絞る。

 直線ではどうしても不利なのでコーナーリングとジャンプの着地で差を埋めるしか無い。

 ジャンプを飛び出す時のタイミングを出来るだけスピードを上げ、なおかつできるだけ低く飛ぶことで対処しようという話になりヒート2を迎えた。


 今度はスタート位置も有利なポジションからのスタートだったので、序盤から上位ポジションでの周回を行うと、ジャンプ時も他のマシンの干渉が少ないので思い通りのラインが取れ先頭の二台に遅れること無く周回を重ね、レース終盤にはコーナーリングテクニックで差をつけ遂にトップに立った。

 その後の三周回はトップを守り抜きゴールを迎えることが出来た。


 総合得点でも二位となり世界への挑戦が決定した。

 父さんも大喜びだ。


 応援に来ていたアンナや香織も自分の事のように喜んでくれた。

 表彰式が行われた後にメーカーのサポートを正式に受ける話にもなって、全員揃って父さんのハイエースで帰った。

 帰りにビュッフェレストランで食事をして、それぞれに改めて俺の準優勝を喜んでくれた。


 なんか最近は圧倒的な実力差で勝ってしまう展開ばかりだったので、こんな風に凄い考えて努力してそれでも届かなかった事がかえって新鮮に感じた。


 取材に来ていた報道の人達もヒート2の一着フィニッシュで満足はしてくれたと思うから、まぁ良かったかな?


 ◇◆◇◆ 


 家に戻って、いつものようにラノベを読み漁っていると斗真さんから電話が掛かってきた。


「翔君、近藤の家族が行方不明になった。証拠隠滅に殺害される可能性が非常に高い早急に捜索救出を頼みたい」


「解りました。一つ良いですか? 近藤の家族はスパイ行為を行っていた事実を知っているんですか?」


「いやそれは無いはずだ。近藤は非常に用心深い性格をしていたから恐らく何の証拠も残していないと思うが、関係性が露見することを恐れた犯行グループが用心を重ねて完全な証拠の排除に動いたんだと思う」


 近藤の家族は近藤が既にこの世に存在していない事も知らないはずである。

 公的には失踪をしたと連絡は入れてあるが家族からしてみれば不安でたまらないだろうな。


 俺は状況的にロシアの線は薄いと考え、中国が関係の露見を恐れて手を出したと考えた。

 斗真さんが異能力の所持者であると各国の諜報の間では考えられているはずだ。


 その中で今回の近藤の失踪に関して当事者のロシア以外では様々な憶測を立てているであろうが、少しでも事実を知っている可能性のある家族の物理的な排除を考えても不思議は無いのが中国のみである。


 国家安全部の第八局【反間諜偵察局】に対象を絞って情報を調べた。

 しかし流石に証拠を残すような間抜けさはなかったので北京の本部に侵入して日本方面の作戦指揮を取る人物の意識を乗っ取り漸く情報を掴んだ。


 現状、在日本大使館内に囚われて居る事実を把握したので、すぐに救出に向かった。

 斗真さんには俺が作戦を起こす時間に合わせてライブのニュース番組に出演してもらい疑いが掛からないようにして、その時間に併せて俺は大使館内に潜入し、幽閉されていた近藤の家族を救出した。


 ちなみにニュース番組の出演内容は日本版中央情報局の発足に関してのその在り方などのインタビューを長官である斗真さんが受ける形であった。


 その番組の中で特に外国からの拉致被害に関しては絶対に許さない断固とした処置を取ると熱弁していた。


 その間に起こった救出劇である。


 一般に発表されることは決して無いが、各国諜報は近藤の失踪も家族の拉致も既に把握しており、それが何事もなく救出された事実は十分に驚愕に値した。

 

 大使館側からは攫った人物を取り返されたなど発表出来るわけもなく騒ぎが収まるまでの間は公安の保護監視の中で生活して貰う事になるがこれ以上の手出しをされることはないだろう。


 中国側には斗真さんが非公式の遺憾の意を伝えたに留まり、その後すぐに大使館の人員がより親日色の強いメンバーに一新された。


 俺は今回もいつものように勇気百倍お面で救出を行ったが近藤の家族は中学生の娘さんが二人と奥さんで、二人の娘さんは香織やアンナに匹敵するレベルの可愛いJCだった。


 今後お友達になりたいな!


 ◇◆◇◆ 


 その後斗真さんが、まだまだ完全に安全だとは言えないので遊真や俺が居る中学へこの姉妹を転入させる事にしたと言ってきた。


 綾子先生も含めて俺の特殊な状況も理解してもらえてるので、まぁしょうがないと思う。

 お姉さんの陽奈さんが俺と同じ年でこの春から三年生、妹の香奈ちゃんが一つ下の二年生になる。


 斗真さんは同僚であった近藤の奥さんと面識が在ったので、転入の前に遊真や俺、アンナと香織ちゃんも呼んで、今後の生活の不安が少なくなるように食事会を開いてくれた。


 その食事会の席で、妹の香奈ちゃんにいきなり声を掛けられた。

「最近ニュースとかで出てた翔さんですよね? 水泳の。わぁ凄いファンだったんですー」ぉ! 中々俺も有名じゃんと思って喜んでたら香織とアンナから「翔君鼻の下伸びてるよ」とツッコミを入れられた。


「握手して下さい」と言われたので、手を出して握手をするとメモを渡された。


『アン◯ンマンは君っさー♪』と書いてあるメモだった。

 一緒に電話番号が書いてあった。

 俺は何も気づかないフリをしてメモをポケットに仕舞った。

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