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出戻り勇者は自重しない~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~  作者: TB


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第13話 スイミングクラブと斗真さんの危機【後編】

 美緒の家でのミーティングを終え、再び俺と美緒は内閣危機管理室の斗真さんの執務室に転移を使って戻った。


 ノンビリ時間を掛けて解決するのは俺の主義ではないので、手っ取り早い解決方法を取る。

 確信的に一番悪の中核に居るであろう近藤の意識を支配する事にした。


 関わり合いを調べるのはもっと簡単だ。

 鑑定をかければ良い。

 向こうの世界と違い鑑定をブレイク出来るような能力を持った人物は存在しないしね!


 まず俺はもう一人の管理官である近藤の執務室に向かう。


「近藤さん、少しよろしいですか?」

「何だ土方?」


「ちょっとこれを見ていただいてよろしいですか?」と声をかけ鑑定を発動する。


 こいつ最悪だな。半島国家、中国、ロシアの三か国に情報を流して私腹を肥やしてたのか。

 危機管理管が率先して危機を招き入れてるんじゃ話にならない、国家反逆罪なんかでは裁ききれないな、きっとこいつの家族も近藤本人に何かあった場合保護する密約とかあるんだろうな。


 鑑定した後には、すぐに精霊魔法で精神支配を行う。

 直接手を下してきたのはロシアからだし、そこから手を付けなきゃな。


 近藤の意識下にロシアのロマノフに命令を下した人間へのコンタクトを刷り込み解き放つ。

 こいつの処分自体は俺がしたほうが良さそうだな。


 近藤は俺が部屋から出ていくと外出していった。

 この精神支配は命令として刷り込んだ事以外は、至って普通に自らの意思で行動するので怪しまれる事はほぼ無い。


 術者以上の精霊魔法の使い手であれば話は別であるが、現代社会にそんな存在はまず居ないはずである。


 この時はそう思っていた……


 近藤は危機管理室を出るとハイヤーで駅に向かいそこから地下鉄で移動すると、到着駅のロッカーで何か荷物を取り出し、トイレに入ると洋服を着替え、帽子をかぶり、サングラスを掛け変装して再び地下鉄で移動をする。

 俺は視覚を同調しているので何をしても無駄なんだけどな。


 そして向かった先はロシア大使館の通用口であった。

 インターフォンで何事かを告げ内部へ入って行く。

 そして待たせられた応接室には誰も現れなかった。


 応接室で近藤が座ったソファーは、そのまま落とし穴に落ちて行き落ちた先に待っていたのは二頭のシベリアタイガーであった。


 生きたまま二頭のシベリアタイガーに近藤は食い尽くされた。


 日本の法律上大使館内は国外である。

 しかも刑事事件として立件するのは死体が発見された場合である。

 恐らく永遠に近藤が見つかる事は無いのであろう。


 またしても手掛かりを失った。


 しかし、斗真さんと同じ立場の近藤が、こうまであっさり殺されるとなるとロシアも本気だな……更に中国も相手となると面倒だ。


 まぁ近藤の残してくれた足がかりでお邪魔させて貰うか。

 視点を共有していた俺は猫ちゃん部屋へと転移した。

 お腹いっぱいになって寝そべっていたシベリアタイガーは俺が転移した瞬間、負けを悟り首をたれた。


 俺は別にこの猫ちゃんに恨みがあるわけではないので頭をなでてやり懐柔した。

 

 その後、拘束してあった後ろ足の鎖を外し自由にしてやると上階の応接室へと移動して次の展開を待つ。

 そして待つ事、五分、動きがあった。


 入ってきた男はシベリアタイガーと目を合わせその場に硬直した。

 俺は落ち着いて声を掛けた。

「大使殿、私の同僚を迎えに上がりましたが何処に行ったかご存知ありませんか?」


 大使は若干顔を青褪めさせたが自分のホームである大使館内での事だ、直ぐに気を取り直し警備を呼ぶ。


 「おや? 随分と物騒なお出迎えですね、しかし私が探してるのはどうやら貴方ではないようです。貴方では雑魚すぎる。この子たちは貴方のペットですか? 随分懐いてくれたのでもし良かったら譲って頂きたいと思いますが?」


 今度は雑魚呼ばわりされた上に胃袋に近藤が入っているシベリアタイガーを連れ出させる訳にも行かない大使は顔を真赤にして銃撃を命じた。


 とっくに結界を張っていた俺に銃弾が届くわけもなく、フルオートで放たれた二百発にも上る銃弾は床に落ちた。


「もう少し友好的に接して頂きたいのですが今のこの様子は撮影させて戴いた上に、あなたの国の大統領閣下へメールで送付させて頂きます。あなた方の大統領が黒幕であれば別に問題は無いのかな? その場合はこの土方斗真を敵に回しますが。まぁ私は雑魚には興味がございませんので今日は帰ります。楽しみに結果を見守らせて頂きますね」


 そして俺はカーテンの裏で撮影をしていた美緒とシベリアタイガーの夫婦を連れて取り敢えず美緒のマンションへ転移し、美緒に画像の編集を任せてる間にロシアと中国の国境地帯のシベリアタイガーの生息地へ夫婦の虎を送り届けて危機管理室の執務室へと戻った。


 そこへ連絡が入る。

 ロシア大使館で爆発があり、現在東京消防庁がヘリを使った消化活動を行っているが、建物が完全に消し飛んでおり恐らく生存者は皆無であろうとの報告だった。


 原因を究明し詳細な報告を上げるように指示を出した。

 俺は美緒に連絡を入れると編集したデータを送らせ、更にロシア大統領のプライベートアドレスへと届けた。


 結局ロシア大使館の爆発は公式には調理場のガスが漏れたことで起こった爆発だということで事故として片付けられ、翌日ロシア大統領府からの発表で半島国家の民主的な再建を米国と歩調を合わせて応援するという声明が出された。


 裏を返せば応援するだけで一切の協力はしないという事だが……


 表面上はロシアの動きは抑制できるであろうが、果たして黒幕の存在を大統領府は理解しているのであろうか? 俺は精霊魔法による精神操作を行い近藤を向かわせたが、それだけの事で近藤を敵と判断して抹殺している。


 冷静に考えれば、この世界に存在していない精神操作をされていると相手は察知していたんではないだろうか? これが察知出来るという事は……この能力の存在を理解していると言う事になる。

 俺以外の異世界からの帰還者が存在するのか? この世界にも実は魔法の存在があるのか?

 これからの調査は更に困窮を極める事になるのは間違いない。


 しかし近藤の存在が無くなった事で中国側の動きも鈍るのも確かであろう。

 当面の危機は去ったと考えても間違い無い。

 

 斗真さんは内閣危機管理室を独立した日本版CIAの様な組織へと改変し、SATとレンジャーの双方からメンバーを選抜し二チーム二十四名の部隊を創設した。


 ◇◆◇◆ 


 今日はスイミングスクールの所長が俺のために大量エントリーをしてくれた競技会の当日だ。


 飛び込みやターン等の技術的な面では全然フォームがバラバラだったので、その部分は所長自らが結構熱心に教えてくれたりして意外に楽しく練習もできた。


 応援席にはアンナ、香織、遊真、綾子先生と美緒も来ている。


 俺は五輪内定者達を相手にしながら、予選では出場した総ての競技で二着に合わせて泳ぎ、決勝戦で五十メートルと百メートルの短水路で四種目全ての泳法で日本記録で泳ぎ、個人メドレーでは百メートルと二百メートルに出場し


百メートルでは49秒98

二百メートルでは1分48秒


 の世界記録で泳ぎ大いに脚光を浴びた。

 既に五輪の選手は内定が終わっているので五輪への参加はできないんだが参加するつもりも無かったのでこれでいい。


 全部で十種目に記録を作ったので結構な額の収入にもなりウハウハだ。


 翌日の新聞には昨年末のマラソンで幻の二時間切りタイムを出した人物と同一であることも大きく取り沙汰され、マラソンはもう走らないのかと言う質問を受けたけど、何も隠す必要がないので陸連に言われた通りの事を言ってあげた。


 陸連の発言は大きな物議を醸し出し、陸連会長の辞任騒動まで発展してしまってちょっと可愛そうだとは思ったが別に嘘も言ってないし競技を選ぶ自由は本人にあるんだから「知らんがな」だよね。


 新聞社に対してはサービストークで「今年のホノルルマラソンにはあくまでも個人の趣味で参加する予定です」と伝えた。


 しかし、開催国日本の意地が参加すれば金メダル確実の存在を見逃す訳も無く「松尾翔」を五輪代表に選べと世論が勝手に盛り上がって行った。

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