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【完結済/毎日20時】おまけの兄は異世界で騎士団のお世話をします  作者: 凪瀬夜霧
1章:おまけのお兄さん?
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50話 黒い陰謀(17)

 やっぱり俺、日本人だったな。米、美味いよ。白米とはまた少し違うけれどこれはこれで美味い。


「うぉ! こう……モチモチした感じで美味いな」

「スープがよく染みこんでる」


 試食を出していた二人は初めての食感らしく、それも楽しんでいる。何にしても気に入ってくれたようだ。


 そうこうしている間に執事さんが来て、俺を見て心配してくれた。なのに朝食を作っていたから少し怒られてしまった。

 とはいえ早めの朝食が出来上がっているのは良いらしく、盛り付けなどを頼まれて人数分をとりわけ、余った分は厨房の人の賄いにしてもらった。


 朝食を持って殿下の部屋に行くと軽く着替えた殿下とまだ眠そうなユリシーズがいて、微妙な顔で挨拶をされた。


「具合は本当にいいのかい?」

「はい、殿下。寧ろ沢山寝たので良好です」

「案外逞しいんだね。普通、蛇精に噛まれたなんてかなりショッキングだよ? 呪いを受けたかも! って卒倒する人だっているし、責められないよ」

「あ……」


 そっか……そうだよな。恐ろしい呪いをかけているものに噛まれたんだから、そうなるんだけど……考えてなかった。


「マサのことだから、そこまで考えてなかったんだろ」

「うっ!」

「ははっ、大物だな」


 クナルの指摘にぐうの音も出ない俺を見て、殿下がカラカラと笑った。


 とはいえ食事となり隣室に行くと、既に起き上がっているロイが俺を見てぱっと表情を明るくした。


「マサさん、おはようございます。怪我の具合はどうですか?」

「え? あぁ、はい! 平気です。元気です」

「それはよかった」


 本当に心からほっとした様子のロイはこうして見るともの凄く美人だ。

 眠っている時の顔立ちも端正で凄く美人だと思ったけれど、目が開いて話をすると更に優しげな様子も加わっておっとりお兄さんという感じがする。

 正直、こういう人を初恋泥棒っていうんだろうなって思ってしまった。


「貴方とセナさんには、本当に感謝をしてもし足りないくらいです。今はまだ本調子ではありませんが、回復したらなんなりとお役に立ちます」

「そんな! 既に皆さんにとても良くしてもらっていますので」


 加えてもの凄く生真面目なのかもしれない。真摯な表情と声音に俺は笑ってこの申し出を辞退した。


「さて、その辺にして食事にしよう。今日も美味しそうだ」


 運ばれた料理が気になるのか、殿下がクローシュをちょっと開けている。笑って、それぞれが席についた。ロイも手が自由になって自分で食べられるそうで、ゆっくりとテーブルについて一緒に食事をすることになった。


「んぅ!」


 一口食べたユリシーズが目を丸くして、忙しく手を動かしている。気に入ったようだった。


「なんというか、朝には嬉しい食事だ」

「はい。この穀物が米なんですね」

「はい」


 殿下とロイも物珍しそうに食べているが、自然と手は動いている。

 そこにチーズをすりおろしたものと黒コショウを出したら、真っ先にユリシーズが取って行って残りに掛けて食べ始めた。


「チーズが美味しい。黒コショウで味が引き締まって更に」

「味変ですね」

「また罪なものを作るものだね」


 ちなみに寝坊した星那の分は部屋に運ばれたという。


 サラダまで美味しく食べ終わったところで星那が合流して、今日のことが伝えられた。

 殿下とユリシーズは蛇精の案内で術者を捕まえるらしい。心配だけれど二人は強いし、相手に警戒されない為にも少数のほうがいいらしい。

 俺と星那、そしてクナルはロイの側についてお留守番。ロイの身に何かあった時の対応をお願いされた。

 戦えない俺としてはちょっと安心したし、居てもお邪魔だから。


 それぞれ動き出して、殿下は昼を少し前にこっそりと出ていった。

 今はこんな事態だっていうのにのんびりとした午後の時間を過ごしている。


「それにしても、マサさんは色々な物を作るのですね」


 昨日よりずっと顔色のいいロイはベッドに腰を下ろした状態で残っていたクッキーを食べている。ベッドの側に簡易テーブルを置いてのお茶会だ。


「ホントだよね。うちは和食中心の料理屋なのにパン焼いたりお菓子作ったり」

「バイトで教えてもらったから」


 少し行儀悪くクッキーを食べている星那に笑って答えると、彼女は驚いたみたいに目を丸くした。


「バイトしてたの!」

「あぁ、うん。学校終わった後で知り合いから紹介された料理屋の厨房とか。臨時でパン屋の朝の仕込みとか行ってたけど」

「厨房の仕事って、何時まで」

「あ……零時くらい?」

「パン屋のバイト何時スタートよ!」

「午前三時……」

「それで六時には私達の朝ご飯作ったり洗濯したりしてたの!」


 思い切り責められている。でも、パン屋は週に三回くらいだったし。洗濯なんかは母さんもしてたし。


「あんた、いつ寝てたんだ」

「え? えっと……合間に二時間とか」

「よし、生活改善だな。宿舎ではちゃんと寝ろ。あと食べろ」

「えぇ!」

「本当ですよ、マサさん。そのような生活を続けては体がボロボロになります。自分を労っていただかなくては」

「クナル、お兄ぃ任せた」

「おう、任せとけ」


 妙なタッグが成立している。星那とクナルが俺をジト目で見て、ロイがクスクスと楽しそうに笑った。


「それにしても、本当に美味しいです。我が君も喜んでおりましたし」

「やらないぞ」

「流石にそのようなことは致しませんが。クナル、少し心が狭いのでは?」


 ロイが呆れ顔をしているが、クナルは俺の隣でやや威嚇している。いや、大丈夫だから落ち着いて。

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