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【完結済/毎日20時】おまけの兄は異世界で騎士団のお世話をします  作者: 凪瀬夜霧
1章:おまけのお兄さん?
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21話 魔力測定(4)

「それにしても、マサは勇者だね。見たかい、あの惨状? ほんと片付け出来ない奴が多いんだよ」

「見せた。昨日一日でランドリーを聖域レベルまで綺麗にしたぞ」

「それは凄い! あっ、じゃあ裏の倉庫とかは? 未使用部屋も物置化してるだろ。高い位置の照明とかも見ないとかなり汚れてるだろうし、カーテンも一度洗わないと」

「そんなに! えっ、まだ見てな……」

「まぁ、おいおいな」

「クナル!」


 出てきた危険スポット達が気になりすぎる! 青ざめる俺を見て、クナルは誤魔化しリンレイは楽しそうに笑った。


「まぁ、この通り私は宿舎にも詳しいし、あそこの保守点検もしている出入りの業者だよ。今後は君とも話すことが多いと思う。よろしく」

「こちらこそ、宜しくお願いします!」


 改めて、有り難い業者さんだった。


「それで、今日はなんだい?」

「ランプが欲しい。それと、マサに魔道具を見せたくて」

「魔道具を見せたい?」

「こいつは昨日ここに召喚された聖女様の兄貴なんだ。どうやら巻き込まれたらしい」

「え!」


 今度はリンレイが目を丸くしてカウンターから出てきて、俺を頭の天辺から足先まで見回している。そして「耳が」「尻尾が」とお決まりの感じになった。


「本当に人族なんだ」

「あぁ」

「それにしても、聖女召喚に巻き込まれるなんて初めて聞くな。能力の測定とかは?」

「まだだ。昨日聖女様も召喚されたからな、王城はそれで一杯だ」

「なるほどね」


 リンレイは深く頷いている。


 それにしても案外あっさりと俺や星那のことが「召喚」というだけで受け入れられている。デレクも各国で聖女召喚がされているって言っていたけれど、そんなに珍しい存在ではないんだろう。ある意味、有り難いけれど。


「ってことで、この世界の常識がない」

「ははっ、了解。それじゃ、まずはランプを見てみるかい?」

「あっ、はい」


 ここに来た目的。俺はリンレイに案内されて古い棚の並ぶ中へと入っていった。


 棚は良い感じに時間を経て深い飴色になっている。そしてそこに、手持ちのランプが色んな大きさと形で置いてあった。

 基本はキャンプなんかで持って行くオイルランタンみたいなもので、胴体部分と明かりの灯るガラス部分、上部の傘という感じだ。


「使用用途は室内を照らすくらいかな?」

「はい。あと、持ち歩けたら」


 宿舎は遅くなると明かりを落とす。窓からの月明かりはあるけれど現代から来た俺としては暗く感じてしまう。慣れない場所というのもあって、ちょっと怖いのだ。


「俺達は夜目が利くからあまり不便に思わないんだけれどな」

「君たちネコ科は特に夜行性だからね。人族はそれほど夜目も利かないし、聴力も鋭くないと伝わっている。暗い中を歩くには心許ないだろうよ」


 そう言って出してくれたのは持ち運び用の手持ちがついたランタンだ。大きさは二十~三十センチといったところか。

 銅のような金属の胴体はどっしりとしていて、摘まみがついている。その上にはガラスの丸い部分があって、底の方に光る物がついている。そうして上には傘だ。


 リンレイが摘まみを回すとガラス部分の底が仄かに光って優しいオレンジの明かりになる。俺の知っているランプと同じ感じだ。


「無属性の魔石が底にあって、摘まみで光量を調節している。これはオレンジ色だけれど、白っぽい光のもある。変わり種だと虹色とかもね」

「虹色!」

「虹色結晶っていう結晶板を通して光を出すんだ。稀少素材を使っているから少し高いけれど、素敵な夜の演出になるってことで恋人達が買って行くんだよ」


 そう言って出してきたのは小さめのランプだ。家の形をしたフレームには黒っぽい金属が使われていて、妖精や花の飾りがついている。三角屋根に摘まみがついていて、それを回すと控えめながらも虹色の光が部屋の中をクルクルと回りながら照らし出した。


「わぁ」

「これが虹色結晶を通した光。高級品だとこのガラス部分に結晶が付与されていて、もっと派手な演出もできる。まぁ、こんな町の魔道具屋では扱わないけれどね」


 摘まみを戻すと明かりは消える。それにしても、幻想的な光景だった。


「普段の用途だとこっちの暖色系だろうね。光量が足りないと思うなら白色がいいかな。マサはどれがいい?」

「暖色系で」


 白色系は、要は蛍光灯だ。明るく見やすいけれど眠気が覚めてしまいそう。ベッド脇とかで使うなら暖色系の温かい明かりが好きだ。


 色々見せてもらった結果、黒っぽい塗装をした二〇センチくらいのランプを買うことにした。お代は金貨1枚とのこと。


「他にも何かあるかい? うちは個別のオーダーも請け負っているから、欲しい魔道具があれば相談に乗るけれど」

「欲しい魔道具……洗濯機とか、ありませんよね?」


 欲しいと言われて真っ先に浮かんだのはやっぱりこれだった。クナルは訓練と言うけれど、皆が忙しい時には手が回らなくなる。その時に俺ができなかったら意味がない。

 リンレイは首を傾げるし、クナルも分からないようだ。洗濯魔法があるなら不要なんだろう。


「あの、俺はまだ魔法とか分からないし、聞いたら凄く難しいらしくて。でも、俺一人でも多少やれないと困るかなと」

「つまり、君の元いた世界では洗濯機なる道具が洗濯をしてくれたのかな?」

「はい」

「うん、面白いね」


 「不要」と言われるかと思っていたら、リンレイは意外と乗り気らしく紙とペンを出してきた。


 けれどクナルは難しい顔のままだ。


「完全オーダーは費用がかさむぞ。商品化もできないだろ?」

「ところが、そうでもないんだよ」


 勿体ぶった様子のリンレイは薄く笑っている。そして此方へと視線を向けた。


「実際、洗濯が苦手な人は多い。あの魔法は生活魔法中級でも上位で、魔力制御や調整が難しい。お前達騎士団や私のような技師なら魔力の扱いにも慣れているが、一般人はそうじゃない。実際、洗濯に関する悩み相談は度々あるんだ」

「そうなのか?」


 クナルはかなり疑問そうだ。

 確かに彼の水球はとても安定していて綺麗だと思ったし、此方の要望に素早く対応できる器用さもあった。でも、キマリやキリクみたいに水球がグニャグニャする人もいる。正直、あれが俺に出来るかって言われたらかなり難しい。

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