表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/41

おまけ⑤

ベドゴンは恐ろしいモンスターでした。見た目はベッドであり、四本足で歩く姿には愛嬌があります。ですが、騙されてはいけません。そいつはとても獰猛で、何よりもその身体に似合わない格闘センスを持っているのです。どの方向から、どのように攻撃しても、正確に防ぎ、ダメージを最小限にとどめます。ベドゴンを舐めてかかった男たちはあっさりやられ、並み居る格闘家たちはみんなやられていきました。彼らに油断があったと言えば、嘘になります。しかし、ベドゴンは強いです。それはもう周知の事実になっていました。今度は、命知らずにも空手家がベドゴンに挑みます。空手家は何度か打ち合った結果、そのモンスターの強さを肌で感じ取ったようです。(確かに、強いな。奴の視界は360度。まったく隙がない。だが、勝機がないわけではない。ベドゴンには死角があるのだ。奴自身も気づいていないベッドの構造上ゆえの死角。そこを狙って攻撃できれば…)。空手家がベドゴンに勝利するシーンを書いてください。空手家は人間の枠は超えておらず、空手を使って戦います。試合ではないので、隙を作るために周囲の道具(例:鏡、梯子、ライトなど)は使用しても構いません。最後、死角を狙って、空手の技で倒してください。


薄曇りの空の下、倉庫跡に静かな風が吹き抜けた。

そこに佇むのは一台の“ベッド”──しかし四本脚でゆっくりと歩き、木製の枠が呼吸するように軋む、不気味なモンスター ベドゴン。その周囲には、すでに敗れた格闘家たちの痕跡が散らばっていた。

対峙するのは、一人の空手家。

黒帯の先が風に揺れ、瞳は静かに獲物を見据えている。


■打ち合い

ベドゴンが突進した。

シーツが燃え上がるように膨らみ、その勢いは大型トラック並だ。

空手家は身を翻し、回し蹴りを枠へ叩き込む。

だがベドゴンは身体をひねるだけで衝撃を逃し、返すように脚(ベッド脚)を振り上げ、鉄柱のような蹴りを放ってくる。

「くっ……!」

空手家はとっさに前腕で受け、後方へ跳ね飛ばされた。

ベドゴンの視界は360度。

背後に回り込むなど不可能──その事実を彼の身に刻みつけるような動きだった。

だが、空手家の表情に焦りはない。

むしろ、確信に満ちている。

(ある……必ず、死角が)


■死角を暴くための仕掛け

倉庫の隅、倒れた鏡、作業用ライト、梯子。

散らばった道具が空手家の目に映る。

空手家はライトを拾い、ベドゴンの横へ滑り込んでスイッチを入れる。

眩い光が倉庫に広がる。

ベドゴンがギシッと軋む音を立て、光源へと脚を向けた。

(やはりな……光に反応する。つまり“視界”がある方向がわかる)

次に空手家は鏡を拾い、ライトの光を反射させてベドゴンの反対側へ向けた。

ベドゴンはそちらにも反応し、また脚を向ける。

空手家は素早く位置取りを変え、今度はベドゴンの“枠の下”、ベッドと床のわずかな隙間へ視線を送り込む。

ライトで照らしても、鏡で反射させても──そこだけは反応しない。

(ここだ。ベッドという構造ゆえの“盲点”……

床際、下方向への視界がまったくない!)


■決着

ベドゴンが怒りの唸りをあげるように軋み、空手家へ再び突進してきた。

だが空手家はまっすぐに迎えず、横へ跳び──梯子を倒してベドゴンの脚に絡ませた。

ガシャァン!

バランスを崩したベドゴンの脚がわずかに浮く。

その瞬間を空手家は逃さない。

「──押忍!」

床すれすれに身を沈め、下段から跳び上がるようにベドゴンの“死角”へ拳を突き上げた。

技名:正拳突き(跳び上がり下段抜け正拳)

拳がベッドの裏側──普段は防御不可能な底面へ突き刺さる。

バキィッ!!

木枠が砕け、内部の骨組みまで震え上がった。

ベドゴンが悲鳴のような軋みをあげ、その巨体がぐらりと傾く。

空手家はさらに追撃。

重心を落とし、丹田に力を込め──

正拳連打(千本突きを一点集中)!

ドドドドドッ!!

底面に集中的に叩き込まれた衝撃が内部構造を完全に破壊し、ベドゴンは支えを失って前のめりに崩れ落ちた。

大きな埃が舞い上がり、倉庫が静寂に包まれる。


■勝利

空手家は静かに構えを解き、深い息を吐いた。

「……強かった。だが、どんな怪物にも弱点はある」

倒れたベドゴンは、もう動かない。

空手家は一礼し、その場を去った。

倉庫の中には、勝者の足音だけが静かに響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ