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あなたに愛を教えるのは  作者: 旧里朽墟
一章:悲劇の誕生
7/31

5.

「本当に、よろしかったのですか?」


一連の話し合いが幕を閉じ、〈白の神官女〉は残った部屋で今、先ほどやり取りについて振り返っていた。


もう一人、部屋に残った〈神殿従女〉が水差し(オイノコエ)から中身を注いだ杯を渡してくれる。


礼をいって受け取り、杯の縁へと口を付けた。


喉を流れていく水が、緊張で渇いていた体を潤してくれる。


飲み終えたそれを手元に抱えて、先ほどの質問に対し神官女は答えを返す。


「……ただ、待つだけでは嫌なのです」


目線を落とした杯の中に、自分の顔が映る。


あの後、話を終えた〈赤の王〉は部屋を退室し、王の宮殿へと帰っていった。


神殿内にまた、普段通りの空気が戻ってくる。


神官女は手元に落としていた目を、王が出ていった扉へと向けた。


「これから忙しくなりますので、お手伝い、お願いしますね」


 あるじの頼みに、従者はうやうやしく頷いた。


 ・ ・ ・


「恐れながら、あなたさまにお願いしたき議があります」


 〈白の神官女〉の言葉に、〈赤の王〉は振り返った。

「ほう? 議、とな?」


 議とはこの場合、相談の類である。


 それを察した王は、定めるような目で神官女を見た。


「よい。話してみよ」


 その反応を見るに、どうやら話は聞いてくれるらしい。


 内心で安堵の息を吐きつつ、〈白の神官女〉もまた、真剣な面持ちで、話を述べる。


「陛下の権限で、迷宮ラビリュンスへの不法な侵入を禁じてください」


 それは、かねてより〈白の神官女〉が考えていたこと。


 今立っている神殿は、切り立った丘の最も高い場所にある。そして、その下には迷宮と呼ばれる空間が存在する。


 〈白の神官女〉や〈神殿従女〉たちは、その存在こそ知っているものの、実際に足を踏み入れたことは一度としてない。


 それは、迷宮に立ち入ってはならないと、決まりがあるためだ。


 しかし、それはあくまで神殿内に限った話。それ以外の者にとっては、関係のないこと。


 迷宮には、これまで目にしたことのない高価な財宝や金銀が、誰の手も付かずに眠っていると風聞がある。


 確証のない話であるが。逆をいえば、ないともいえないなら、あるかもしれないということ。


 人間は想像に現実の可能性を求める。


 特に、後ろめたい思いを抱えている者など。それらを狙って盗もうと企む輩がいた。


 彼らは神殿に仕える者たちの目を掻い潜り、迷宮内へと勝手に足を踏み入れているのだ。


 どういうわけか、今代の〈白の神官女〉に変わってから、その頻度は多くなっていた。


 先代までは数えるほどの記録であったはずが、今は両手の数では足りないほどに。


 ――何故、自分の代になってから、こんなことになったのか。


 原因は不明だ。しかし、そのことで〈白の神官女〉は今もなお歯がゆい思いを強いられていた。


 また、迷宮にはもうひとつ、伝わることがある。


 迷宮の中には恐ろしい怪物がおり、侵入者に対して襲い掛かってくる。


 そして、相手が人間の女性であれば、口にすることも憚られる事態となる。


 だからこそ、迷宮に立ち入ってはならないのだが。


 ――昨夜、〈白の神官女〉のもとに運ばれてきた女性も、その類だった。


 彼女は無断で迷宮に入り、なんとか生きて帰って来たものの、あのような目に遭ってしまっていた。


 自業自得と切り捨ててしまえばそれまでだが、彼女のような目に遭った者を助けるのも、〈白の神官女〉と〈神殿従女〉たちの役目である。


 ――しかし、これ以上、自分の代で被害を大きくするわけにはいかない。


 どうすればよいか、神官女は考えた。


 そこで思い付いた答え。それは、自分ではなく、国王の権力を持って出入りを禁じれば、今後は誰も立ち入ることがなくなるのではないか。


 しかし、これにもまた、問題がある。


 聞いた噂によれば、迷宮へと無断で入っている者たちは、どうも流れ者だけに限らないことがわかってきた。


 迷宮の財宝を狙っているのは、金を求めているだけではなく、収集品として欲しがっている者もいると。


 例えば、国内の貴族や豪族たち。


 ある程度の財力を備えている彼らでさえ、迷宮の中にある物は欲しいらしい。


 そして、何より驚くべきは、その企みに国王さえも、関与しているのではないかと。


 あくまで根拠のない話であると、〈白の神官女〉は考えているものの、真相はどうかわからない。


 だからといって、迷宮の立ち入りを禁じないわけにはいかない。これ以上の被害を出さないためにも。


 〈白の神官女〉は〈赤の王〉へと願い出たのだ。


「どうか、陛下の一声で迷宮への出入りをお禁じなさいませ。そうすれば、これ以上被害が出ずに済みます」


「……ふむ」


 〈赤の王〉は、逡巡する顔を見せると、顎に手を当てた。


「……陛下?」


 答えをもらうべく、神官女がその様子をうかがう。


「ひとつ、こんな話を知っておるか?」


 と、王は話し始めた。


「なんでも、迷宮の最も奥深くには、この世とは異なる世界――楽園が存在すると」


「……聞いたことは、あります」


 その単語を聞いた〈白の神官女〉は、訝しげに頷いた。


 楽園とは、迷宮に存在するとされる、伝承の世界のことだ。


 〈白の神官女〉もまた、幼い頃に先代の神官女から話は聞いていた。


「しかし、これまで迷宮の実態を知る者はおらず、その存在は定かではありません。最下層に行った者など誰も……」


 そこまで口にして、〈白の神官女〉は何やら気付いた顔を浮かべて、相手を見た。


「まさか、それを調べるために、迷宮へと使いを送っているのですか?」


「余は何も関与しておらん。あくまで、そういった噂を聞いたことがあるだけだ」


 〈赤の王〉は、先ほど口につけた革袋を再び持ち上げた。


「しかし、楽園には至上の酒があると聞く。酒とは、この世で至高の嗜好品である。その最高峰となれば、一度味わってみたいと思うのも、人間の性とは思わぬか?」


「……そのために、いくら犠牲が出ても構わないと、陛下はおっしゃるのですか?」


「怒るでない。せっかくの美しい顔が曇ってしまう」


 余計なお世話だ。


 〈白の神官女〉は、怒りの感情を視線に込めて、相手と対峙した。そのくちびるを、悔しさに噛み締める。


 代々引き継がれてきた、〈白の神官女〉という役割。


 それが自分の代になってから、これまでにない問題が起きている。


 先代より受け渡された、大切な役目。


 ――それを、たかが酒のために許してなるものか。


 だというのに。


 目の前で相対する人物は、己の役目がわかっていない様子で、あろうことか酒がどうのと宣っている。


 〈白の神官女〉は吐き出したい思いをぐっとこらえて、気取られない程度の息を吐いた。


「……陛下のお考えについては、よくわかりました」


 ならば、こちらにも考えがある。


 元よりただで叶うとものは思っていない。


 何せ相手はこの王なのだ。すんなりと願いが通るはずもないのは承知の上。


 だからこそ、それを逆に利用しようと、考えていた。


「では、重ねてもうひとつ、私から提案があります」


 神官女はそこで言葉を区切って、いった。


「陛下。私とひとつ、賭けをしませんか?」


「賭けだと?」


「はい」


 この大胆かつ不敵な発言に、国王はこの場に来て初めて、訝しげな視線を向けてきた。


 〈白の神官女〉は、一呼吸置いて、その中身を伝えた。


「賭けの内容はこうです。もし陛下が『迷宮の主』を倒し仰せたならば、私はあなたさまが望まれる、どんなお誘いも、受け入れたく思います」


 この言葉に、〈赤の王〉は目を丸くした。


 『迷宮の主』とは、迷宮の最も地下深くに生息するとされる、怪物たちの王のことだ。


 なんでもそれは、奇しくも先ほど話に出た楽園を侵入者から守っているらしい。


 王もその話は聞いたことがあるのだろう。


 もしこれを倒せなければ、これから先の話はなしとなる。


 ついては、王は諦めざるを得ない。


 そうすれば、再三に渡った妃のお誘いも、迷宮入りも禁じてもらう。


 神官女が口にしたその言葉は、場に衝撃をもたらしもした。


 〈赤の王〉は口を開けて呆け、この場にいる他の者たちもそれぞれの違いはあれど、皆一様に驚いていた。


 傍らに控える〈神殿従女〉たちも、驚きや焦りといった顔を浮かべている。


 沈黙を破ったのは、〈赤の王〉の笑い声だった。


「面白い。その賭けに乗ろうではないか」


「……陛下」


 背後に控える従者の言葉に、王は目を向けずに答えた。


「今は静かにしておれ。これは余と、こやつだけの話だ」


 〈赤の王〉は、神官女を真っ直ぐに見据えて話を続ける。


「一度口にしたからには、取り消せぬが。それでもよいのか?」


「誓って、後で発言を取り消さぬことを、約束いたします」


「ふむ。よい心がけだ。ますます興が乗ってきたぞ」


 愉快でたまらないといった顔で、〈赤の王〉はその答えに頷く。


「あらためて、双方の認識に間違いがないか、賭けの内容を確かめよう。余が『迷宮の主』とやらを見事に倒したなら、そなたは余のいうことをなんでも聞くのだな?」


「はい。しかし、もし陛下が『迷宮の主』打倒を諦めになられた場合は、今後一切迷宮への出入りはならないとのお触れを国内に出していただきます。また、今後一切〈白の神官女〉に対しても妃のお誘いをすることをお止めくださるよう、お願いします」


「よかろう。その内容で賭けるとしよう」


 快活とも思える返答で頷いた〈赤の王〉は、くるりを踵を返して扉へと足を向けた。


「では、そなたはここで待つがよい。必ずや迷宮より戻り、『迷宮の主』を倒した証を、そなたの前に持ち帰ろう」


 退室するべく、立ち去るその背中に、声が投げ掛けられる。


「いいえ、陛下」


「む?」


 呼び止められて、〈赤の王〉は足を止めた。


「私も、その迷宮入りに同行します」


「……何だと?」


 〈赤の王〉が振り返る。その目には、驚きと厳しさが添えられていた。


「それはならぬ」


「何故です?」


「もし迷宮でその身に何かあれば、賭けが成立しなくなってしまうではないか。だからそなたは、ここで余の帰りを待っておれ」


 有無をいわさぬ王の口調で、神官女に待機するよう言い付ける。


 相対する者が神官女以外であれば、誰もがひれ伏していただろう。


 しかし、その言葉を真っ向から受けても、〈白の神官女〉は首を縦に振らなかった。


 それもまた、予想していた答えだったからだ。


 だから、神官女は、嘘を吐いた。


「『迷宮の主』のもとに行くには、私の持つ〈白の神官女〉の証印が必要なのです」


 ぴくりと、王の眉が動いた。


 ――食いついた。


「それは、まことか?」


 〈赤の王〉が、じっと視線を向けてくる。


 真偽を問われている。


 ここで嘘とバレてしまえば、今後の王家と神殿の関係に亀裂が生じるだろう。


 もしくは、王の怒りによっては何らかの処罰が加えられてもおかしくはない。


 その狭間に立たされた神官女は、毅然とした態度で返した。


「はい」


 国王の求婚を断っている身だが、信頼を失いたいわけではない。


 王家と神殿は、表と裏の関係でなければならないのだから。


 神官女は言葉を続ける。


「これは神官女のみに教えられることなので、陛下がご存じないのも無理ないことです。しかし、今回の迷宮入りにとっては肝心なことと思います。そのため、私の同行は必要となりましょう」


 はっきりと言い切る。


 沈黙が訪れた。


 神官女は相手の返答を待った。


 やがて、〈赤の王〉が口を開いた。


「ならば、仕方あるまい。そなたの同行を認めよう」


「ありがとうございます」


「話はまだ終わっておらぬ。よいか? 迷宮入りに当たって、そなたの身は余が預かることとする。その上で、我が命に従うことを約束せよ」


「……わかりました。必ず、陛下の命に背かないと誓います」


「よかろう。その返事をもって、今回の我が隊列にそなたを加えよう。後ほど、出立の期日を伝える使いをこちらによこす。それまで大人しく待つことだ」


「はい」


 再び背中を向けて、部屋の出口へと向かっていく。


 その足が扉の前で止まると、もう一度振り返った。


「……陛下?」


 背後に侍っていたアレキサンドリアが、声を掛ける。


 視線の先は、〈白の神官女〉が立つ背後の神像。


「しかし、いつ見ても気味の悪い像よな。まるでこれこそが、怪物の正体ではないか」


 〈赤の王〉の言葉に、神官女は顔を青くした。


「なんと、恐れ多いことを……」


「恐れ多いだと? 神に祈って、なんとする?」


「では、陛下は神を信じられぬとおっしゃられるのですか?」


「当然であろう。余が目指すは、神からの脱却である。人は、己の生を己で決めなければならないのだ」


 王はそう言い残し、今度こそ部屋を後にした。


 その背中を見送り終えて、〈白の神官女〉はようやく、一息ついた。


 ・ ・ ・


 後日、国王より遣わされた使者が、神殿へとやって来た。


 あるじよりとの書状を持ち合わせて、それを〈白の神官女〉に渡す。


 使者が帰った後、神官女は書面を広げ、内容に目を通した。


「……国王さまは、なんと?」


 傍らで控えていた〈神殿従女〉の一人が、たずねてくる。神官女は手元の書状から目を離し、それを綺麗に元の状態に折り畳んで、答えた。


「どうやら陛下は、迷宮へと本格的に入る前に、視察をしておきたいそうです」


「視察、ですか?」


「ええ。私もこの意見に賛成ですね。初めから迷宮を攻略などできませんから。少しずつ、進めていくのが得策でしょう」


 〈赤の王〉の賢明な判断に、〈白の神官女〉はこの場にいない青年の顔を思い浮かべて、本人には決していえない賞賛を心の中で送った。


「〈白の神官女〉さまも、その視察にご同行されるのですか?」


「もちろん。迷宮へ入る前に、一度は私もこの目で確認しておきたいので」


 その眼差しを手元の書状に落とす。


「期日は決められたようですね。それまでの準備を怠らぬようにと、陛下は仰せです」


 神官女は立ち上がり、傍らの従者へと視線を送った。


「私も準備します。ので、お手伝いお願いしますね」


 〈神殿従女〉は礼をもって、あるじの頼みを受け入れた。


 そして、当日を迎える。


 準備を整えた〈白の神官女〉は、立ち並ぶ円柱の合間から姿を覗かせて、これからやってくる一団を迎える心持ちでいた。


「〈白の神官女〉さま。外は日差しが強いので、室内で待たれてはいかがです?」


 〈神殿従女〉が声を掛けてきたが、神官女は首を振って固辞した。


「これからやって来るのは、武装した方々です。彼らを神殿に入れるわけには参りませんので」


 戦うために武器を持った彼らと、平和を謳う神殿は、相反するもの。


 それゆえ〈白の神官女〉はこうして、神殿入口前で、彼らの到着を待っている。


 今の神官女は、従女たちから受け取った頭巾を被っている。これで、今その顔は他者からは見えないだろう。


 神殿に仕える者はみだりに人前へ出てはならない。現に、〈神殿従女〉たちも素顔を隠すために頭巾を被っている。その最高位に位置する〈白の神官女〉もまた同じだ。


 先日の〈赤の王〉とのやり取りの際には、もろに顔を出していたが。それも神殿内のことであって、本来尊き身分の者は無闇やたらと衆目に姿をさらさない。


 この神殿へと至るには、坂を歩き、前門プロピュライアと呼ばれる門をくぐる。


 それから階段を登り、むき出しとなっている石灰岩の道を進む。


 ぼんやり外の景色を眺めている間に、蹄の音が聞こえてきた。


 神官女が見つめる先、石造りの階段を登ってきた姿が視界に入る。


 まるで地面を滑るように駆けるその乗馬は、並大抵の技術ではできないだろう。


 そのまま、〈白の神官女〉の前にやってきたのは、頭に兜を被った人物だ。


 先日の装いとは異なった姿で現れたその人物は、今はその全身を武装で固めていた。


 トサカのような赤毛を付けた兜。青銅の鎧。腰元には、一本の剣を帯びている。


 手綱を引いた馬がいななき、神官女の前で立ち上がった。


「待たせたな、我が未来の王妃よ!」


 馬の背中に乗りながら、〈赤の王〉はいった。


「はい。ご来訪をお待ちしておりました。陛下」


 〈白の神官女〉は慇懃な態度で、その到着を出迎える。


 王の背後から、神殿への坂と階段を登ってきた兵士たちが、ぞろぞろと集まってくる。


 それぞれが武器を手にし、防具を身にまとっていた。


 〈赤の王〉が今付けている鎧に加え、肘まである円形の大盾ホプロン。身長の三倍はありそうな長槍を持っている。


 それらを率いてきた王は馬上から降り、漆黒に揃った毛並みを撫でると、ちらりと神官女に目を向けた。


「今回は戦争でないため、余も使える人材が限られてな。よって、我が王家に仕える最優の者だけを連れてきた」


 続々と、その背後で隊列を成していく兵士を見渡す。


「その数、三十名。わずかばかりの手勢ではあるが、皆精鋭である。今後行う迷宮入りも、見事に踏破してみせよう」


「……それは、頼もしい限りですね」


 〈白の神官女〉は相槌を打った。


 と、〈赤の王〉が立ち並んだ兵士たちに向けて、声を張り上げる。


「そうであるな? 皆の者!」


 王の問いに、三十もの兵たちから声が湧き上がる。


 普段にない光景を受けた〈白の神官女〉は身を萎縮させる。


 それもすぐに、元の冷静な態度へと戻した。


「それでは行くとするか」


「その前に、皆さまにお渡ししたい物があります」


「ん?」


 〈白の神官女〉がいうと、傍らに置いてある物を指し示す。


 そこには、香油を入れる容器が並べられていた。


「一人ひとつずつお持ちください。迷宮で怪我をした際に塗れば、傷口が塞がるので」


「ほほう? それはありがたい。皆、これをひとつずつ持っていけ!」


 〈赤の王〉が背後の兵士たちに告げる。兵士たちも喜んでそれらを手に取っていった。


「では、これから迷宮への道を案内します」


 うやうやしく礼を取り、片手を上げて先を示す。


「そなたが案内するのか?」


 意外そうに目を丸くする王。


「はい。私も同行するので、問題ないと思いますが」


「そうか。であれば、案内してもらおうか」


 〈白の神官女〉が先頭を歩き始める。その後を〈赤の王〉率いる兵士たちが付いていく。

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