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123 ハイテクスライム

 今まであやふやだったお店のイメージが明確になったことで、オレはさっそく次の日から行動を開始することにした。


 まずは公衆浴場のための敷地だ。


 オレはもう一度商人ギルドに行き、公衆浴場を建てるための土地を見繕う。


 すると、川の近くの土地が比較的安価で買えることがわかった。公衆浴場のお湯を捨てるためにはいいね。


 ここ王都は水資源が豊富だ。公衆浴場というのは、我ながら良い着眼点かもしれない。


「いや、待てよ?」


 この世界にはもう石鹸がある。ダンジョンでも宝箱から出るしね。


 ということは、公衆浴場のお湯をそのまま捨てたら、環境破壊にならないだろうか?


 考えすぎかもしれないが、公衆浴場にケチを付けられたくない。どうすればいいんだろう?


「そういえば、学園にも大きな浴場があったよな? あそこから出たお湯の処理はどうしてるんだろう?」


 オレはさっそく訊きに行くことにした。


 オレはエグランティーヌの騎士見習いだからね。普通は入れない学園にもいつでも入れるんだ。


 向かうはいつものエグランティーヌの離宮ではなく、学園の事務をしている事務所。そこでは執事のような服を着た男たちが働いていた。みんな忙しそうなので気が引けるが、ここで立ち止まってはいられない。


「少しいいでしょうか?」


 オレは近くにいたエルフの青年に話しかける。


「おや? 学園の制服を着ておられないようですが、あなたは?」

「私はエグランティーヌ殿下の騎士見習いをしているジルベールです。少しお聞きしたいことがあるのですが……」

「あなたがそうでしたか。今回はどういった御用でしょうか?」


 エルフの青年はかなり好意的に接してくれる。きっと忙しいはずなのに、それを微塵も感じさせない優雅さだ。


「学生寮には大浴場があると思うのですが、その廃水の処理はいかがされているんですか?」

「なるほど。でしたら、私よりも詳しい者がおります。少々お待ちください」


 そう言ってエルフの青年は事務所の奥に行ってしまった。たぶん詳しい人を連れてきてくれるのだろう。


 それから一分もかからずに、エルフの青年は一人のドワーフを連れてきた。


「こちらの者が学生寮の大浴場を管理しております」

「ご質問があると聞いております。私にわかることでしたら何なりとどうぞ」


 連れてこられたドワーフも柔和な笑顔を浮かべており、かなり好印象だった。


「実は、大浴場の廃水の処理についてお訊きしたいのです。大浴場から出る廃水は、シャボンの泡などで汚れていると思うのですが、どういった処理をされているのですか?」

「私どもはスライムを利用しております」

「ス、スライム?」


 予想外の答えに少し驚いてしまう。


 スライムってあれだよな? ダンジョンにも出る雑魚モンスターの代名詞としても有名な魔物だよな?


 なんでスライムの名前がここで出てくるんだ?


「はい。大昔のことでございますが、学生寮の大浴場から出る廃水をそのまま川に流したところ、魚が死んでしまうと苦情が入ったことがありまして……。そこで、品種改良したスライムを利用することで、大浴場の廃水を綺麗な水にしてから川に流すようにしております」

「なるほど……」


 マジか。もう大昔に環境問題が話題になって、その解決策として品種改良したスライムを開発したってことなのか?


 オレはこの世界の技術力をナメていたかもしれないな。魔法や魔物がいるから進化の方向が違うだけで、地球と同じかそれ以上に進んでいる分野もあるかもしれない。


「よろしければスライムによる浄水施設を見学なさいますか?」

「いいんですか?」

「はい」


 こりゃ行くしかない。


 ドワーフ執事に付いていくと、男子寮の近くに地下へと続く階段があった。


「こちらです。足元にお気を付けください」

「はい」


 ドワーフ執事の持つカンテラの明かりを頼りに階段を降りると、地下に巨大な空間が現れた。


「ここが浄水施設となります。こちらにおいでください」

「はい」


 ドワーフ執事に案内されて柵の向こうを見ると、そこは大きく深い穴が開いていた。その底には、カンテラの明かりに照らされたツヤツヤした丸い青いものが敷き詰められている。


 よくみると、ぷるぷる動いているように見える。


「もしかして、あれが……?」

「はい。この浄水システムの要である浄水スライムになります」

「浄水スライム……」


 すごいな。浄水という発想があったことにも驚きだったし、まさか解決策として品種改良したスライムを使っているとは思わなかった。


 驚いたのは、この浄水施設が下水道のような嫌な臭いが一切しないことだ。一応、嫌な臭いを嗅ぐことになる覚悟はしていたのだけど、無駄になってしまったな。


「よろしければ、いくつか持ち帰られますか?」

「え!?」


 ドワーフ執事の予想外の言葉に驚いてしまう。


 だって、品種改良までしたスライムだろ? 貴重なものじゃないのか?

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