え?なんで銭湯?
翌日の午前6 時、少女達は身体を伸ばしながら喋っていた。
「そういえば深雪。あの変な防御の強度とか仕組みについて知りたいんだけど良いかな?昨日聞くべきだったけど忘れてたんだよね」
雪梛は刀のチェックをしながら言った。
「もちろん良いぞ。強度は後で実践するとして、この防御は基本魔法でどの系統でも扱えるものとなっている。そしてかなり自在に形を変形させられるし強度の方を一応説明するとその人の魔力の出力に比例するって感じだな。ちなみに私はこれでもそこそこの強度を出せるんだぞ。今から展開するからぜひ試してみてくれ。遠慮はいらないからな」
深雪は気づいていなかった。
雪梛に最後の言葉はまずいということを。
深雪はそう言って防御を展開した。
「さあこい!」
「じゃあ遠慮なく」
すると雪梛は急に刹那モードになって身体に速撃を10発入れ込んでから重心を低くして速撃の構えをしてフルブレイクを放った。
雪梛の拳が深雪の防御に触れた瞬間に見る影もなく粉々になってしまった。
「…は?」
深雪は訳がわからないよと言わんばかりにキョトンとしていた。
「ごめんね。流石に遠慮がなさ過ぎたみたい」
雪梛は30°腰を折り曲げて謝罪した。
確かに深雪の防御は固かった。
その辺の一般人とは比べ物にならないものの強度で普通の試合なら破壊などないと思われるほどであった。
普通の試合ならという条件がつくのだが。
「なんか私ずっとボコボコじゃない?」
「大丈夫だよ。魔法戦で輝けるから」
雪梛は抜刀して受け流しの伝授の準備をしながら言った。
「じゃあ早速始めようか。まずは会長が私に普通に斬りかかってきて。そこで受け流しを使うから」
雪梛はそう言って中段構えをした。
「わかったわー。じゃあとりあえずいくわよ」
会長は抜刀してからゆったりとした足取りで距離を詰めて振り始めた。
パチ パチ パチ
雪梛は確実にそして正確に受け流しをしている。
会長は雪梛の動きを観ながら振っている。
「それはなかなか便利そうねぇ。私にも習得できるかしら?」
「冗談はいいでしょ?なんならもう使えるんじゃないの?」
雪梛は観察眼で会長を見ながら言った。
「そっか、貴方は観察眼が使えるのね。そりゃ誤魔化せないか。そういえば昔のししょーはどうしているかな」
会長は攻撃をやめて後ろへ跳躍して納刀した。
その瞬間に雪梛は軽めの居合い斬りを会長にした。
会長は雪梛の動きを観ながら手刀を出して刀が触れると同時に同速、ほぼ同方向への流し技である受け流しを発動させて雪梛の居合いを流した。
「やっぱりできたね。まあ本当に昨日初めて知ってんだろうけどね。それは置いといて、会長のししょーの名前を聞いても良いかな?」
雪梛は何か気になってしまったため聞いたようだ。
「別に良いわよー。えーっと確か“朝月”っていう人かな」
雪梛と香澄は驚愕した。
「本当に朝月なのかしら?朝に月と書いての朝月?」
「ああ。確かにその漢字だったねぇ。いやぁ面白い人だったよー。なんか異世界に行ってくるとか言って突如消えちゃったんだよぇ…もしかして雪梛の世界に行ったの?」
流石の会長もこれには困惑を隠せないようだ。
(帰ったら聞かねばならぬことができたな)
二人はそう思って心にぜっったいに忘れないように刻んだ。
「まあそのことについては置いといて…会長、流体の伝授してくれる?」
雪梛はOKが来るだろうと思いながら聞いた。
「ええ、良いわよー。でもこの技はかなり癖があって習得が人によっては大変なのだけれども貴方達なら心配はないわね。なにせもう人の領域を抜けかけている訳だし」
会長は少し気にかかることを言っていたが一旦無視することにした。
「じゃあ早速教えてちょうだい。あんまり伸ばしすぎると読者がキレちゃうわよ」
香澄は催促したが会長は少し笑いながら考えているようだ。
「珍しいね。わざわざ考えているなんて。でもあれでしょ?イベント的なのにしたいんでしょ?」
雪梛に見破られて会長は苦笑いをしながら話しはじめた。
「全く、ここら辺にいる人は全員勘が鋭いんだか。まあ良いわよ。私が習得したのと同じ場所に連れて行ってあげるよ」
会長はそういうと三人に準備をしてと伝えて自身の刀のチェックを始めた。
「香澄、深雪、二人は行き先に心当たりがある?」
雪梛は一応確認してみたが返事は予想通りであった。
「で、何でこんなところにいるのかしら?説明を要求するわ」
香澄が少しの文句も言いたくなるようなところに実際いた。
街に戻ってから20分程度歩いたところ少し年季の入った銭湯の前にいた。
「まあまあ、戦闘で疲労が溜まった身体には銭湯で休めないとじゃない。あと本当にここで習得したわよ?」
「どうなっているのかしら貴方は本当に」
「文句言ってても仕方ないでしょ?早速入ろうよ。もちろん人が少ない場所を選んだんでしょ?」
雪梛のわかりきった質問にはにっこりと頷いて入って行った。
「さあまずは身体を洗うんだぞ。マナー違反は私が絶対に許さないからな」
「まあ大丈夫でしょ。そんな常識知らずは私が手刀で斬り捨ててあげるよ」
深雪と雪梛はなにやら会長と香澄を見ながら言った。
多分たまたま見ていたのだろう。
「そういえばどうやってここで習得したのかしら?流体を」
香澄は当たり前な質問を髪を洗っている会長にした。
「えーっとそうねぇ。なんか風呂の中でそれなりの時間脱力してお湯の気流というか流れと同調したら習得できたよー。まあやってみればわかるわよ」
会長と他の雪梛達ももうすでに身体を洗い終わっているらしい。
「じゃあ先に入っているからな。どうせ時間はあるんだ。ゆったりしようじゃないか」
深雪はすでに入っていて肩まで浸かっている。
「そうそう深雪の言う通りよ。だって余命宣告されている訳じゃないからもっと気楽にいこうじゃない」
会長にそう言われて雪梛と香澄も少しだけ張っていた気を緩めた。
「お待たせしたわね。私もご一緒するわよ」
「もちろんだよ」
これで全員お湯に浸かっている状態となった。
「じゃあ早速始めようとするかしらー。まずは各々のやり方で完全に近い脱力をしてちょうだい。それができたらあとはただひたすら待つだけよ。ちなみに喋っていても問題ないわ」
会長に言われた通り雪梛と香澄は衝撃吸収の脱力を採用した。
ちなみに深雪はできないらしく銭湯の雰囲気を楽しんでいた。
こうして深雪以外が脱力して湯に浸かっている状態となった。
「あと言い忘れてたわ。変になんかを意識したら崩れるからねー。まあ要はリラックスして頭を何年振りかの空っぽ状態にしろってこと」
会長はどうやってこっちの情報を知っているのかとやはり疑問に思ったがそこはスルーすることにした。
湯に浸かることはや十分、二人はようやく感覚が掴めてきたようだ。
「なるほどね。これは確かにここじゃないと習得できないわね」
「そうでしょー。でもこれよく発見したよね。私」
会長は胸を張って言った。
「確かにすごいね。これなら私はまた強くなれるよ。ありがとうね会長。深雪もちょっと破壊しちゃったけどありがとうね」
急に話しかけられてびっくりしたがそれでもきっちり返せた。
「あ、ああ気にしなくて良いぞ。あれは単純に私の力量不足だったっていうだけだからな」
そう言って深雪は立ち上がった。
「流石に長く入りすぎた。元々私は長風呂はできないタイプなんだよ。じゃあ先に上がっているからゆっくりどうぞ」
そんな感じでこの伝授回は終了となった。
こんにちは。雪梛です。
もしかしたら更新が遅れるかもなんでよろしくお願いします。ほんと申し訳ないです。
ではまた次回お会いしましょう!




