考え方の違い
まずは戦闘スタイルを見たいのか雪梛は待機しているようだ。
美雪はそんな雪梛を見て氷柱を一本投擲した。
感覚的に出力を調整して無力化して立っている。
「素晴らしい制御ですね。かなり魔法を使ってきたのでしょう」
「まあまだまだ甘いけどね」
次は魔力弾を撃ってくるようだ。
これは破壊ができないので最小で回避していく。
「なるほど。どうやら我らを封印した勇者とやらよりよほど強いようですね。では本気でいきましょうか」
「そうしてくれると助かるよ。じゃあ魔王とやらの強さをみようか」
魔力を展開して雪梛が動き出した。
ショートマイゾーンで接近してきりかかった。
美雪は難なく回避しているようだ。
「その技術はすごいね。私や香澄もできないよ」
「いえいえ、ただ回避しているだけですよ」
立体的視認、見切り、気配感知、観察眼、これらを使わずに回避するには正直言って無理や。
一度斬撃を終了して距離をとり久しぶりに闇魔法を発動した。
闇球体を三つほど生成してうようよ浮かしている。
「今でもそれを見られるなんて思いませんでした」
「まあ使い手が結構少ないからね。少なくとも作者関係者だろうね」
「そうですね」
やはり関係者だったようだ。
まあ見た感じ人間のようだからそうでなければ辻褄が合わない。
とりあえずそんな思考は停止して闇球体の操作を開始した。
美雪の前で分裂をさせて複雑化してから多方向射撃をした。
しかし急に増えたのにも関わらず確実に回避している。
観察眼を使って美雪を観たが特に何かを使用しているようには見えない。
闇を消滅させて今度は桜吹雪に魔力を溜めた。
そして抜刀しながら魔力の放出を開始して空間を断ち切らんばかりの斬撃を放った。
流石にこれは余裕の回避とはいかないようで氷の刀を作ると冷気を放出しながら斬撃に対してきりかかった。
辺りの地面が凍るほどの魔力で斬ったのか雪梛は特殊シールドで防御した。
「相殺ではなく貫通とはね。余程の魔力があるんだね」
「まあこんなんでも魔王ですからね。ちなみに回避も魔力を使っていますよ」
これは強敵だと判断したのかようやく動くようだ。
並行移動と流体をして刀の軌道を読みづらくしつつ簡易魔法を発動しながらきりかかった。
速度と読みがだいぶ変わってさらに簡易魔法の対処も必要なので少し表情を固くしながらスレスレの回避をしている。
更に地面に魔力を流して美雪の足元をもろくした。
回避の瞬間に足元が急に崩れて一気に体勢を崩したようだ。
そこに氷柱と魔力弾が飛来してきたが氷の刀で弾いでことなきをえた。
一度攻撃を終了して魔力の展開範囲を広くすると波長の変更を行なった。
そして思いっきり真上に飛び上がりながら炎粒子を同出力でばら撒いた。
その瞬間に地面が光に包まれた。
『オールブレイカー』
上空にシールドを張って待機していると同じ高度に朝月と受付がいた。
「なかなか強いわね。ライン超え一歩手前クラスよあれ」
「いや知り合いでしょ?」
「まあ久々に会うもの。多少の見誤りぐらいあるわよ」
「観察眼の使い手が何言ってんだかね」
光が止むとちょっとボロボロな美雪が立っていた。
「なかなかな威力でした」
「長くなっちゃったしそろそろ終わらせようか」
「え?」
そういうと雪梛は落下しながら重心を低く構えた。
そして着地の瞬間に衝撃を無視するかのように並行移動を開始した。
音もなく動き出して美雪に接近して抜刀時の音のみ世界に響く。
そしてそのまま通り抜けて納刀をする。
カチッ
『マイゾーン:静撃』
香澄の技を習得していたようだ。
深雪が血を流しながら倒れて戦いは終了となった。
復活させてとりあえず美雪と別れて帰ろうとすると帰りにカルマに会った。
「よう、探したぜ」
殺気だっているようだ。
とりあえず綺雪が話そうとしたが雪梛が制止した。
「訳を聞こうか。なんでそんなにキレてんの?」
「わからないのか?無罪の人間を大量に殺したんだぞ。それに対してなんか思わないのか?」
「じゃあ逆に聞こうか。防衛団の仕事として人を殺すことにカルマは躊躇があるの?」
そう言われてカルマの顔が歪んだ。
「あれは基本的に罪人だろ。今回の雪梛が殺した奴らとは違うんじゃないのか?」
「甘い」
雪梛にそう言われてカルマは首を傾げた。
「説明しようか。まあ普通の感性を持っていたらカルマのようになるのも無理ないからね。これは私たちが異常なんだ。まあそこはおいておこう。この世界にはルールというものが存在している。そしてそのルールをもとに人間が形成される。だがこのルールに違和感を持って自己を表現しようとしたとしよう。その瞬間にそいつは罪人という判決を下されるだろうね。ルールというのは全員を平等にしたり守ったりするものじゃない。人を支配しやすくするためのものなんだよ。じゃあ今回のことを考えてみようか。まずは魔物がきた。そして魔王である美雪から無抵抗のものは決して危害を加えないと。それからそれなりに誠意を見せたんだろうね。それを本当だと信じた人間は生き残っている。でもそれを嘘だと思った人間は魔物に殺された。なんで美雪はあんな宣言をしたと思う?共存を目指しているからだよ。美雪から話を聞いたところ大昔は共存していたらしいね。でもある時人間が一方的に裏切って勝手に封印した。でも美雪は人間を殺そうとしなかった。確かに今回美雪がしたことは大量虐殺で法律違反とはなるけど魔物に攻撃したゴミよりはよっぽど素晴らしいことをしたんだよ。私からしてみれば殺しなんて罪に該当しないんだよ。いわば行動の責任としてそうなっているだけだと思うからね。長々と話しちゃったけど要は生命体に種ごとの優劣はなく客観的に見てどっちがいいと思える行動をしているかだけってこと。何か質問はあるかな」
「つまり雪梛は悪いの一定ラインを超えたら殺しても構わないということなのか」
「そうだよ。愚者は賢者を愚者にする。存在する価値がないね。まあ人なんて私含めて全員価値はないけどね」
「暴論だろ!更生の余地はないのか!」
「ないね。本質というのは変えることができないからね」
「一時的虚実的な善人が生まれるから意味がないということか?」
「そういうことだね」
「それでもだ!なんで平然と人を殺せるんだよ!」
「生きてきた時代が違うからだね」
その言葉には重みが入っていた。
「最近こそ平和な世界が増えてきたけど昔は違ったんだよ。それこそ殺し合いをして二時間寝れたらいい方みたいなね。ただひたすらに訳もわからず相手が殺しにき続ける世界。その世界を生きてきたからこそ私には更生だとかそう言った類の言葉が綺麗事、現代人の平和ボケ思考としか思えないんだよね」
その言葉をカルマは思考しながら聞いた。
「じゃあ質問をしよう。魔物を殺した時どう思った?」
「…嫌な質問だな。どうも思わなかった」
「確かにこの質問は性格が悪かったね。まあそういう感じで私は全生物殺すことができるよ?」
「狂っていやがる…それでいて上手い反論ができない内容しかねぇじゃねえか」
そう言っているカルマの口は上がっていた。
「ありがとう雪梛。おかげで考え方が変わりそうだぜ」
「それはいいことなのかな?まあ同種の特別視はダメだから気をつけなね」
「おう、わかった」
「また戦いが始まるかと思いましたよ」
綺雪がカルマの隣に立った。
「すまねぇな。考えるのは苦手なんだよ」
「まあ人としては褒められた考え方ではないですがね。しかし重要な思考回路です」
これでようやく魔物襲撃のいざこざが終了したようだ。
こんにちは雪梛です。
なんか深そうに見えるだけの会話が続きましたね。
まああの程度の思考回路ならアドリブでもかけますね。
え、リアルの私はどうなんだって?
…ノーコメントで。
まあ茶番はこのぐらいにしまして。
思ったよりも銃撃編が長くなってきたのでもしかしたらそろそろ終わりに近づいているかもです。
まあこれの次の世界はいい感じのが思いついているので覚えていたら多分長い世界になります。
ではまた次回お会いしましょう!




