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日曜日の朝

今日は、いつもより遅い日曜日の朝。


家だと時間があると動いてしまうようで。


ずっと動いている。働いている。いつもそうなのか?休んだほうが良い。


家に遊びに来た人達に連続で指摘されて気がついた。

自分は、だらしない怠けものだと思っていた。


それから日曜日の早朝だけは何もしないと決めた。

コーヒーとパンで好きな音楽を聞く。

今はこれを書いているから本は読まない。


夫と子供は昨日から夫の友達家族とキャンプ。

私は行くのを断った。

少し不安もあったが断った。

出る時に、あっちは奥さんも来ることになったよ。

捨て台詞をおいて出ていった。

でも、今までとは違う。

もう私の事をコントロールできないな。という諦めがにじみでていた。

胸がチクンと痛む。

それを振り切り断った。

断ったというより、自分で選択肢を作り選んだんだと思う。


昨日は、娘の誕生日プレゼントを買いに行くついでに用事もあり銀座に行った。


本当に美味しいものが沢山ある。

少しワクワク。

15年位前、私がワインを好きだと知った女性社員が誕生日に銀座のレストランを予約して連れてきてくれた。

一緒に誕生日を祝ってくれた。

多分凄く高かったと思う。

役職のついていた彼女にしても、かなり頑張ってくれたんだと思う。

彼女は本人ですら自覚していない寂しさに気がついていたのだな。と今さら気がつく。

彼女はそれだけ傷ついた経験があるのだと、助けてもらってたのに何もできなかったと今さら気がつく。


結婚式の会場探しでもきた。

彼はしぶしぶ。

普通の20代後半ならあたり前かも。

でも丁寧に作られたお料理は凄く美味しかった。

特別に支配人がサービスでメインとデザートを出してくれたのだ。優しかった。

支配する人なのに、私の出会った支配人はみんな温かい。

この人にもわかっちゃってたんだな。

そして、結婚後、私はなぜだか銀座で働く事になった。


そんな事を思い出しながら銀座をあとにした。


地元が近いからついでに庭園を見に行った。

いつも通りかかる美術館。

初めて入ってみた。


誰もいない。

時おり空調がパキッという音をだす。


整然と並ぶ絵画。

一人の画家の絵の変遷と旅による心模様の変化が分かるような展示だった。


はじめの、女の人の絵と街並みに引きこまれたが、とりあえず、どんとん見ていく。


海外の絵。

太陽が強すぎて色がうまくとらえられなかった。

という絵。

たしかに、光に絵が飲みこまれている。

大変だった事が伝わってくる。

目痛かっただろうな。

眩しい!パレットに!と思ったら目がくらんで真っ暗で手元のパレットの色がわからない!みたいな感じだろうな。

で、次は色をあらかじめ用意しておいて。

でも、光の色が変わっちゃってる!景色の色も変わってる!


かな?と親近感。

でも、時を超えて、現代の私に感覚として伝わっているし、想像しながら楽しませてくれる、この絵の意味は大きい。


次は、ピカソみたいな絵。

急に変わりすぎじゃない?チャレンジャーだな。

と思って解説を読む。

当時、流行ったキュビズムに影響されたらしい。


※キュビズム

たとえば、一つの対象物をあらゆる角度から見る。

平面の絵に、本来見えない別角度からみた様子も書きこんでしまうというもの。


多分、対象物の内外の360度をうまく平面に表現するために、バランスをとるのがセンスの見せどころなのかもなと私は思う。


なんか、私の書く文章は、出来損ないのキュビズムみたいだな。

過去・未来・現在・夢

あっちこっちに行ってしまう。

たまに、読みかえしてみて、こんな風に書いたっけ?!えっ?!こんな事書いた?!とか。

でも、あとにこの覚えのない一節がつながるとか不思議な感じに仕上がっている。

本人でもよく分からないんだから、

読んでくれる人なんかもっと大変だと思う。

読んでみようとしてくれて、ありがとう。

優しくしてくれてありがとう。


絵にもどると

自分はキュビズム的なくせに絵に関しては正統派の最初にみた、よくある西洋絵画のふくよかな淡い色で描かれている女性やフランスの街並みの絵がすごく好きみたいで。


最後に、最初の正統派の絵に戻って、その2枚をずっと眺めていた。

人がいないから、眺め放題。

フランスに行ってみたい!

本物の景色とこういう絵を沢山みたい。

フランス行ってみたい!

と無性に思う。


女性社員に誕生日にご馳走になった時にはまっていたマイブームのフランス。

雨宮塔子さんの金曜日のパリというエッセイで、行ってみたい!!

とどハマり。

飲む水すらエビアンにする謎のこだわり!醗酵バターなるものもそれで知った。

フランスへの旅は、多分、叶う事はないなと、その時も思った。


かなり満足するまで見た。


実家によると母がお子さんを亡くされた方の話をしてきた。

その方と母に何があったのかは分からない。

でも、その方への悪口に、母の心のバランスの悪さを感じた。

幼い時から感じていた。

一度嫌いになると、例えどんなに同情すべき状況にその人がなっても全く容赦がないのだ。

皆こんなものなのだろうか。

ついでに、という感じで父が亡くなったのも聞かされた。

しかも、何年か前。

知らない人が亡くなっても、悲しいなと感じるタイプなのに。

父に関しては哀しい感情を感じなかった。

無。

ただ、電話口から聞こえた、お金をむしんする怒鳴り声とガラスを割る音。

高校生の私の誕生日に10万のコートをくれた。すぐに銀座のデパートに換金しに行った日。

私が大変な時にも金をむしんしにきた事。

母にお金を渡さないように、頼んだのに渡してしまった日。

嫌な思い出だけが頭によぎる。

そして、私が葬儀に行くかどうかを勝手にどうせ行かないでしょ?と聞く事もしなかった母。

また自分の思うように、私の権利をコントロールした母。

父の死に無感情な私。

私もバランスが悪い。

違和感ばかりが残る。


帰って家の掃除をしたら。

音楽を聞いたまま電気も消さないで寝てしまった。

なぜか見なくなった夢を久しぶりにみた。


テレビでスポーツを見ている。

私は興味がない。とりあえず、見てみようか。という感じ。

横に寝転がりながら手で頭を支えるようにして見始めた。

首痛くなるなと思って、クッションをあげたら、私の足にのっかってきた。

角度的に画面が見えないなと思って、ずらしたりしたら逆に見えなくなってしまって、さらに頭も落ちてケラケラ笑うという、凄くすっとぼけた私っぽい夢をみた。


のに起きたら体調が悪い。

いつもより遅い日曜日の朝。

家で掃除の続きをやる。

昼にはみんな帰ってきた。

キャンプから帰るにしては早すぎる時間帯。

胃のあたりがチリチリ痛くなる。

喉がギュウとなる。

帰りたくて、帰ってきたんじゃない。

ただ、アイツが何かしてないか、自分が損をしないのか、それだけを考えて帰ってきたのがドアを閉める音でわかる。


私の父親が死んだ事を話すのはやめた。

そういう事を、話せる相手が私には一人もいなかった。

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