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レコード

伐採され無下に下に落とされていく

満開のピンクの梅の花の枝を眺めてる。

それじゃなくても短いのに

まさかのピークに散る事になってしまった

梅の花のクレームが聞こえてくるような

散り際の強い甘い香りに満たされながら

曖昧な記憶

曖昧な思い出のなかを

曖昧に漂う

ふわふわと虚ろに曖昧な記憶を漂う


いつかの休日

晴れた日の休日の朝

私は

まだ上下揃ったパジャマらしいパジャマを着ていた。

少し乾いた空気


母は忙しく家の事をする

掃除

家中の窓が開いているからか

テレビ

休日の朝の番組

たしか毎回一人の波瀾万丈な人生にスポットをあてる番組だったと思う。

我が家は休日の朝といえば、この番組だった。



古い写真

写真の中の男の人と着物を着た女の人が

レコードをかけて踊る

子供達はそれを眺める

私のイメージだったのか再現か

それはとても美しい光景。

これを書いていく事で、広がった世界のお陰で最近分かった。

小学生の頃にマイケル・ジャクソンのライナーノーツで知り、憧れていた作詞家で音楽評論家の湯川れい子さんの幼少期の話だった。

美しすぎたからか「映画かなんかの記憶」として私に深く残り、唯一の夢みたいなものになる。

この夢が、のちの私の命を外国で救う。


思い出させてくれて、ありがとう。


中目黒の日本画の美術館に一人見に来た。

何回も来ていた街なのに知らなかった。


中目黒の川沿いの夜桜

沢山の人

川沿いの柵に貼られた小学生の和歌を辿っていくように、寒い寒いといいながら

私も人の流れに流されていく。

毎年のように、そんなことをしていたのに

最近ではしなくなってしまった。

行くか聞かれても、曖昧な返しをするようになっていた。

それを繰り返すうちに最後は

行かない。

になった。



美術館、本のコーナーで長居をする。

少し日本画のお勉強。

最後のフロアはテーマ桜がだった。

桜が好きだから、きっと、お気に入りの作品があるに違いない

そう思いながら、ワクワクしながら階段を。

大きな作品。

心は動かない。

小さな作品。

前みたいには動かない。

どうしたものか?

ふと、思い出す。


・・・

日本庭園

古い日本家屋の土間が好きで、日本家屋が残された所に色々と見に行っていた。

今回も、それを見にきたのに

思いがけず美しい桜

広い庭園に整備された砂利の歩道

小さなワイヤーのアーチの柵が

人間と植物を隔てる。

植物を守るため。

踏み込み荒らさないように。

簡単に乗り越えられる高さの柵。

ワイヤーの奥の芝生の先には猫と池。

まだ小さな蓮の葉だけが浮かぶ。

下から風が吹いて

つられるように上を仰ぎ見た

桜がぶわあと空に舞う

「うつくしい」

「ね」

見ると彼は私を見ていた


ああ、この一瞬に縛られていたんだ。

桜の木に縛りつけられていた。

と言うかしがみついていたのだろう。

私の心には産まれた時からいる、ハスの花だけが残った。


言いなれない者と言われなれない者

相性がよくなかった。

それは呪いの言葉となってしまった。

2人の呪いは解けた。


もう桜を追いかける必要はなくなった。

そう思った。


外にでると雨が降っていた。

見ていたかのように、ぶいんぶいんと携帯が震える。

「鍵忘れた。」

と隣人の電話番号から娘の声で電話がかかってきた。

電話口で娘に

昨日のうちに入れなさいと言ったでしょ?

と怒りながら隣人に謝りつつ、なんとなく娘と雨に感謝しながら足早に日常に戻っていく。

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