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カメレオンの最期

森のしっとりとした土の上

手の平で触ったら、手が濡れて土がついてしまいそうなほどしっとりとしている。

あの土の匂いを思いだす

土の上にいくつか重なる小枝と葉のわずかな隙間に横たわる小さなカメレオン

気がつく人はいないだろう

土と同じ湿度を感じる

しっとりとした体表

呼吸というよりは

空気をお腹に入れて膨らませている?

お腹を膨らませる事で空気を吸い込んでいる?

とにかくそんな感じ。

アゴを上にむけ

目はどこか先の遠くを見ているのに

自分の頭の中を見ているのが分かる

体の色がまるで電飾やイルミネーションかのように

パラパラと変わっていく

紫色、水色、黒い点が乗るエメラルドグリーン、深い緑色


紫の木の実の中にいたのだろうか美味しかったのかな?

空を舞う綺麗な蝶々を見たのか

若々しい緑が生い茂る雨あがりの夏


思い出が見える

くるくる変わるカメレオンの思い出を眺めていた


散々、目の前にある色や触れたものを映した後

最期にカメレオンは何色になるのだろうか?

何色を選ぶのだろう?

そう思いながら

なるべく心を動かさないように

私の余計なもので汚してしまわないように

そのままを見られるように

集中して無機質な心で眺めた


最期はグレーに点

何か温かみのあるセピア色でもない

白黒の世界の色だった

まだ色ですらない

光の強さとその影だけで作られた世界だった

色ではなかった

光と影

目には見えているけれど触る事のできない

本物は作る事ができない

見る場所や人で見え方が変わってしまう

そんなもの

私にはそう見えた


生きるためか、美しかったからか

生まれ持ったものなのか

目の前や触れるものを映してきたカメレオン

思い出を一周した後に

最期にカメレオンは

本当の自分の姿になりたかったのか

見つかったのか

自分の姿なんて

はなからなかったのか。

よく分からないままに

誰にも見られていないのに

綺麗なものを映したあと


土に戻って行った。

結局は、ギリギリまで映したかったんだな。

そして自分は空気のように透明だった。

自分の色はどうでもよかったんだろうな。

ただ楽しかったんだろうな。


でも

紫の実これは食べちゃダメだよ

蝶々が綺麗だねえ、明日も晴れるといいな

見てごらん、雨だとね、葉っぱが元気なんだよ

自分と同じ柄の可愛い子供

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