夢から覚める 王子様
バスにゆられながら、思い出していた。
王子様。
一昨年。
息子の施設通いが始まった。
玄関で、またやってしまった。
はあ。何でだろう。はあ。
慣れないバス通園。
今日も息子と特殊な型で手をつなぐ。
「頑張って!バス行っちゃう!」
とバタバタ騒がしく走っている。
道の突き当たりに、タバコか何かを吸う黒いジャケットをきた男の人がいた。
こっちを見たけど無表情。
それがまたかっこいい!!
目の保養になりました!!
ありがとう!!オアシスっ!
と心の中でヤジとお礼をいいながら走り抜けた。
無事バスに乗れた。
いやあ、いいものを見た!
またいるといいな!とアイドルを推すファン気分をエンジョイした。
次の週。
またいるといいな。
眼福さんいるかしら?
とるんるんで、またバタバタ走っていた。
もはや、眼福さんとあだ名までつけた。
また、同じ場所にいた!
相変わらずカッコイイ!
イェーイ、ラッキー!
と通り過ぎた。
おばちゃんなんて、こんなものです。
おばちゃんには、2次元的なものが丁度いいの。
ある日、思い出した。
あれ?あの人、家の裏で見たかも?あれ?
裏にあるマンションのベランダでタバコ吸ってて、そっちに意識がいっちゃったけど似てない???
関係ないけど、裏のマンションから結構色々とんでくるんだよな。
垢取りパックンとかいう、お手玉みたいなやつが落ちてた事もあった。
明らかに投げてますやん。
て心で突っ込みいれつつ。
かわいい袋にいれて返したりした。
まいいや。
雨の日、やっぱりいた!
雨の中、出勤ご苦労様です!
存在してくれてありがとう!
と思いながら通りすぎた。
それが最後だった。
私が急病で入院して、しばらく行かなくなって。
そのあとは、もういる事はなかった。
そのロス感は半端なかった!
王子様〜!どうした?!ちぇっ
お気に入りがコンビニにいるおじさんがわざわざ高めのビールをコンビニで毎日買う気分を満喫した。
息子とドラックストアにいた。
入院したせいか、急に出現した頑固な法令線を消すために化粧品をためしていた。
信じられない事に、眼福の王子が向かい側にいた。
とりあえず、いつもより、ラフな服を着てるのをチェックした。
あのズボン前、うちに飛んできて洗ったヤツじゃない??にてない?
ズボンていうか、レインパンツ?ちょっと、放置されてたから破れちゃってて。
入院してる時かなんか?
帰ってきたら庭に落ちたままになっててさ。
言ったら捨てようとしてきて。
パパに、大人サイズのレインパンツだから仕事とかで使うかもしれないから、地味に困ってるかもしれないよ!
いや、こんなボロいのいらないだろ。
ちゃんとしたやつは、意外と高いんだよ!知らないの?
そんなに大事なら拾いにくるだろ。そもそも、裏のマンションじゃないかも。
裏のマンションしかないじゃん。しかも、マンション側から見えにくい場所にあったよ。
これは、早く拾ってあげようよ。
いつもの平行線なケンカをしたな。
と思い出しながら。
しかし、あんた、いくら、おばちゃんでも、王子に法令線さらしの刑は酷すぎる。
と逃げた。
何故か王子がことごとく同じゾーンにいる。
そういうもんだよねー。
お菓子のコーナー。
ひい、普通お菓子は最後だろっ!
洗剤コーナー。
トイレ洗剤買えないんですけど!!乙女心!
ドリンクコーナー。
もはや買うものないんですけどっ!
法令線に謎のクリームを乗せたままなんですけど!
地獄だ。
息子は訳も分からず嬉しそうにしている
そのあと、駐車場にいた夫に法令線のクリーム塗ってたら王子がいて、残念だった話をしたら。
怪しいなと一言適当に言われた。
夫には言わなかったけど、
王子様は夫の若い時ににてたよ。
肌があさ黒くてシュッとしてたよ。
オデコ?眉毛乗ってるとこが立体的で
男らしくて、かっこよかったよ。
出会いでも書いてみるかな。
法令線クリーム何塗ってたか、わかんねぇ。