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ウーマンズハンド

ウーマンズハンド

グアテマラの女性が作った有機コーヒー豆をブレンドしたコーヒー。

女性の自立支援、社会的地位の向上、経済的環境の改善を趣旨として2010年に作られた認証。

今は各所にある人気のコーヒーと食材のお店で販売されている。


真夜中

私の昼間


ウーマンズハンドコーヒーを淹れた。

深く香りを吸い込んで朝10時のグアテマラの女性達に心を飛ばす。

険しい道を自立して歩いていく、尊敬する力強い女性達に心をとばして背中を押してもらう。


また、一つやってみたいと思う事が増えた。

もしかしたら、私にも何か少しだけ助けになる事ができるのかもしれない。


私には、後悔(こうかい)している事がある。

今も、その、フラッシュバックに(ひど)く苦しんでいる。


小さな保育園の庭で初めて会ったお母さん。

何気ない初対面の人との会話。

すぐフルタイムに戻すのかを聞かれた。

何でも自分の事を包み(かく)さずに話してしまう距離感がない私。


フラッシュバックに苦しんでるから、まだフルタイムで働く事に躊躇(ちゅうちょ)している。

雨の日の子供の小さな手を見ると涙がでる。

苦しくて。

後悔しかなくて。頭がおかしくなりそうになる。

泣きながら、歩かない小さな可愛い女の子の

小さな小さな手を信じられないくらい強い力で握って、ひきづるようにして。

スーツも靴もグシャグシャで。

片手で持ち上げられるような強い力でひきづって。

子供と一緒に泣きながら怒鳴(どな)る自分が見えて。

その時に戻ってしまうのに、やり直せない。


そう話すと、(せき)を切ったかのように、(りん)としたそのお母さんの目からは涙が(あふ)れだし、ちいさな声をだして泣きだした。

彼女も同じフラッシュバックに苦しんでいた。

同じ思い。経験をしていた。

このお母さんは、私みたいな働き方ではなくて

新卒で入った会社に勤め続けていた。

キャリアもある。

どれだけの辛さか。

計り知れない。

一人では耐えられなくて、薬を飲んでいると言っていた。


彼女も私も。

もう戻れない。

いつか、答えのでるその日まで。

目の前にある自分の過去と後悔と戦い続けなくてはいけない。


泣いて暴れる子供。

押さえつけて怒鳴るお母さん。


あの時の自分を見ているみたいだった。

この後、このお母さんが一人で後悔の嵐にのまれて行くのが私には予想できた。

SOSは言えない。

でも魂がだしているSOS。

この空気。


SOSに気がついているけど、このお母さんが口に出してSOSを出してこないと助けられない。

プロフェッショナルじゃないと、手をさしのばしてはいけない。

逆効果になるかも知れない。

皆、このお母さんのために手を出せない。


でも私は知っている。

嵐に入ってしまう前に引き止める事はできる。

嵐に入ってしまったら終わり。

皆、助けたいから手を出せないという事だけは、教えてあげられるし、止める事だけはできる。

子供のために、なりふり構わずにSOSをだせた、このお母さんは強い。子供を心から愛している。


大丈夫だよ!大丈夫。大丈夫だから。

お母さんと子供の頭を無意識になでた。

言いながら動悸がした。


泣き叫び暴れる子供。

あふれるものを、子供に浴びせるお母さん。

あの時に戻る私。


大丈夫。大丈夫。大丈夫。

と言いながら、あの時の私を見ながら、あの時、うちの子供に聞くべきだった事をこの子に聞いた。

うちの子供みたいな思いをする子を増やしたくない。

落ち付き、目に光が戻りはじめる。


お母さんには子供が言っている言葉と体いっぱいのボディーランゲージを翻訳して、私のつたない言葉で後悔してほしくなくて必死に伝えた。

お母さんは、いい人で私の意訳を一生懸命理解しようとしてくれた。

少し、伝わったかもしれない。


でも一つ問題が。

正気に戻った時に、こんなにキチンとした人が、こんなチャランポランなやつに手伝いをされていたと気がついたら、プライドが傷ついてしまう。

協力者を探さないと。


私の時も、こんな絵本かなにかが、あったらよかったのにな。

ふと思った。


なんとなく絵本描いてみようかな。

絵本投稿サイトとかあるのかな?


不思議。

何かに引っ張っていかれるように予想しない方に自分が進む。

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