Lee mosesのBad girl を聞く。
Lee mosesのBad girl を聞く。
体調が悪い義母
なかなか、実家に帰ろうとしない夫。
まだ実感がわかないのかもしれない。
夫の兄弟が一人で見ている。
相当な心労だと思う。
同情してしまう。
夫にこまめに帰るように促す日々。
病気によいと言われている食材を使って柔らかそうなやつと義母が好きそうなおかずを作った。
私が作ったって言わないでね。
自分が作ったって言ってあげな。
その方が嬉しくて食べられるかもしれないから。
はじめて、すまなそうに、
ありがとう。
と言われた。
喉の奥がギュとなった。
25年。本当に初めてありがとうと言われた。
今か。
そう思った。
もう涙の出し方がわからなくなったみたい。
体が中に流すものと認識してるみたいに、何もしないでも体の中に戻っていくようになった。
やり場のないものは、正しい方法で消化する。
これが私が学んだ唯一の事。
Bud PowellのCleopatra's Dreamを聴く。
昔、教えてもらった
私の、よくある、ありふれた話を音楽で綺麗にパッケージする。
少しでも立派な人生になるように。
そして、どこかにいる誰かに届くように。
ふと気がつく。
砂時計を戻していく。
綾戸智恵のWhat a wonderful worldが流れる。
JAZを聞くのに最適な高級な音響セット。
金具も多分24金。
聞いた事があった。
すぐに高級なやつだとわかった。
職場には似つかわしくない。
こんな精密機器。自宅からどのように運んだのだろう?配送料高そう。
私の席の近く。
置いてくれた人は、そこのフロアにはいなかった。
1.2回ふときて、椅子にすわり目を閉じて聴いている様子をお見かけした。
とても、素敵な光景だった。
昼休みで周りに人がいなかった。
私も、デスクに座りながら、こっそり、目をつぶって一緒に聴いた。
ああ。
私は、また、見返りを求めないギフトをもらっていたんだ。
この方と、私が話す共通点は多分、音楽だった。
ある日流れで、ポルノグラフィティーのCDを貸すと私が言った。
CDなんて自分で買える偉い人に偉そうにいう小娘に、まわりの人が引いている中。
気が付かない小娘。
ご本人は、笑いながら、そうか!?貸してくれるか?!と笑いながら言ってくれた。
それ以外にも、沢山の事を教えて下さった。
ダリーさんも聴いていいからね。
そう言うと去って行った。
沢山の知恵を頂いた。
お墓まいりくらい行きたいな。
変なさざなみを立てたくないしな。
どうしよう。
謙虚さを勘違いしていた鈍くバカな私は、初めてこの方を調べてみたのだ。
それで、このかたが若かりし頃JAZが好きで楽器もやっていて大学にウッドベースのケースを持ち歩いていた方だとわかった。かなり大きなケース。
何回か電車で見かけて声をかけたけど気がつかれなかったよ。
もしくは、声をかけたけど、足が早すぎて追いつかなかった。君足速いね!
後にいたのに気がつかなかったでしょ。
と言われた事まであった。
周りの人は小娘の無礼さに引きながら笑っていた。
当時、私は、MBAの勉強をしていて夜間に講座まで受けていた。
通勤電車は勉強する場所。
乗り場は最後尾。降り場は先頭。
ちょっと、どうかしていた私は、ギリギリまで寝たいがために、ギリギリの電車にのり
電車の中を歩いて移動する事で時間を間に合わせていた。
タイムワープとよんでいた。
しかも爆音で一桁しか知らないお気に入りのJAZを聴きながら乗っていた。
多分、音漏れしていた。
だからか。
しかし、とんでもない迷惑。
はっきり、言う人ですら気をつかっちゃうくらい、ヤバイやつだったのかもしれない。
いずれにせよ、こんなサブキャラにまで知恵をくれる方だった。
お礼くらい、しっかり言いたかった。
そして不思議な事に。
私が娘につけたあだ名がこの方の若かりし頃のあだ名と同じだった。
最後は、
チコ・ハミルトンを聴いた。
あの時よりも、聴きたいJAZのレパートリーが少しだけ増えた。