7.大罪教
大罪教の幹部ゴーリート・エンヴィーはある街のはずれに赴いていた。
我々の組織に出資したいから指定の場所に来いと言われたが王族の所有地で王妃の名がついてるセシリア領に来いと言われた。
罠かもしれないと考えていたが前払いで金貨10枚も渡されれば出資者は上位の貴族だとわかる。
「どんなやつが出てくるのか、それとも正教会の罠か? 用心していかなくては・・」
ゴーリートは出資者に会うために何人か連れてきているが交戦になってもいいように指定された場所の付近に30人戦闘員を配置しており準備万端でもあった。
「ゴーリート様!! 指定された場所が見えてきました。」
部下に指定された場所を確認させた。
「どのくらい人数がいるかはまだわからないか?」
「戦闘員からの情報ですとまだ誰もいないとのことです。」
「私も直接確認したところまだ誰もいませんでした。」
指定された場所には誰もいない状況、敵の伏兵が隠れている様子もない。
直近に王女と王妃が襲われて警備が強化されたと聞いたがここはセシリア領のはずれの場所だ。
ここにまで兵を割くとは思えない。
おびき出された可能性は低いと判断してゴーリートは、指定された場所で呼び出した人物を待っていた。
「まだ誰も現れないのか? 我々は騙されたのか? それなら金貨10枚も渡す必要もない・・・ 意味が分からない??」
ゴーリート達は指定された場所で立ち尽くしたまま待つことしかできなかった。
「あのひとたちが大罪教の人たちか!! なんか普通の人たちだけど私のために動いてくれるかしら? まだ様子見してよ!!」
大罪教の様子を遠くから離れたところで見ていたメアリーは、身体強化を使い1キロ先まで見える目でその場を見ていた。
「そろそろ会いに行こうかな? ここから歩くと少し距離あるけど待ってくれそうだし!!」
「でもこのまま行って最初から正体ばらすのも面白くないし変身してから行こっと!!」
メアリーは男に変身してから大罪教がいる場所に向かった。
「まだ来ないのか? 人影はあるか?」
「そのような報告はまだ入っていません。」
ゴーリートは人ひとり現れない状況に苛立ち始めた。
「ゴーリート様、こちらに向かってくる者がいます。 例の出資者ではないでしょうか?」
「本当か?!! こんな場所に呼び出すやつがどんなやつなのかそいつの面がやっと拝めるな!!」
例の出資者は大罪教の前に姿を現したがフードを深く被っていて顔まで見えないが体形を見ると子供のように感じる。
ゴーリート達に近づいていきその男は、目の前で立ち止まった。
「まずそのフードを取って顔を見せてもらっていいか? 我々の組織に出資してくれるのはありがたいがどんな人物かわからないとこちらとしても困る!!」
「あなたが我々に敵対する組織の可能性も捨てきれない! 顔も見せてもらおう!!」
男はフードを取りゴーリート達に素顔を見せた。
「俺は、王女様の側近のリアだ!!」
「お前たちに出資したいと言っているのは、王女様からだ!! やってほしいことは、王女様の手足になって各地の情報を集めたり組織の強化を行ってもらいたい!!」
「王女の側近のリア? そんなやつが側近にいるなんて聞いたことないぞ!!」
「裏稼業を任されているから名前を知らないのも無理はない」
「我々も独自に情報網をもっている! 表だろうが裏だろうがそんなやつがいれば存在に気付かない訳ないだろう!!」
「王女の名を出してまで我々に近づいたのだから本当の主は誰か言わないとどうなるかわかるよな?!!!」
メアリーは大罪教の情報収集能力に驚きつつもこれからの事を考える。
「情報収集能力は高くてこれは使えそう!! 私の嘘もすぐにバレたし後は、力はどのくらいあるのかしら? 少し戦ってみよう!!」
メアリーは身体強化を使いゴーリートの横にいた部下を吹き飛ばした。
「お前、最初から出資する気などなかったのか? ふざけやがって戦闘員も呼べ!!」
ゴーリートの声に呼応する形で周りから30人の戦闘員が現れた。
「こんなに人がいたの?!! 大罪教って戦える人もちゃんといるんだ!!」
「1から作るよりよっぽどいい!! この組織使えそう!!」
「てめえ、何ごちゃごちゃ言ってるんだよ!! 俺たちを敵に回したこと後悔させてやる!!!!」
大罪教の戦闘員たちがメアリーに向かってくる。
「バインド、バインド、バインド!!」
戦闘員たちがたちまち動かなくなる。
「おい、なんなんだその力?!! この人数を1人で制圧するなんて聞いたことないぞ!! お前は何者だ?!!!」
「皆さんが私の手足になってくれるのなら教えてもいいですよ!!」
「でも拒否するならここで皆さんを殺します!!!」
メアリーの脅迫とも言える状況に拒否できる状態ではなかった。
「わかったからまず俺の拘束を解いてくれ!俺は大罪教幹部のゴーリート・エンヴィーだ。」
「お前の手足になるんだから拘束をはずしてくれてもいいよな? この後の事ことについてもこのままだと話しづらい!!」
「たしかにそうですね! わかりました! あなただけ拘束解きます」
メアリーはゴーリートの拘束を解いた瞬間、剣先がメアリーの首元を狙っていた。
「痛ったあああーーー!! 咄嗟のことで剣受け止めちゃったけどこれはどういうこと?」
ゴーリートの剣先は確かに首元を狙いガードされたとしても首ごと飛ばせる力があると自負していたからこそ今の状況に驚きを隠せない。
「お前本当に何者だ?! 俺の剣を素手で止めて取り乱してもいない状況確実に首を飛ばせるだけのスピードと力だぞ?!!」
「本当に痛かったんだから!!!! あなたはまた拘束でバインド!!」
ゴーリートを再び拘束して、メアリーは周りの状況を見る。
「大罪教の皆さんほんとに私のために動いてくれるの? このままだと私に従わない人間が出てくるかもしれないから見せしめが必要だよね?」
メアリーは剣を持ちゴーリートの前に立つ。
「あなたがこの中で一番偉そうだから私がこの人殺せばこの組織の長は私になるってことよね?」
「バイバイ!! 幹部さん!!!」
ゴーリートの首が飛ぶ。
「今から大罪教のトップはこの俺、リアになる。王女のためにお前ら働けよ!!」
「俺がトップで文句あるやついないよな?」
周りを見渡しても拒否するものなどいなかった。
「とりあえずそこの女の子! おまえがNO.2ってことでこの人たちまとめておけ!!」
「あとは、情報関連は俺のところにもってこい!!」
指名された女が突然しゃべり始めた。
「リア様! まだ幹部が6人いましてその人たちをどうにかしないと大罪教の長にはなれません!!」
「あいつが長じゃなかったの? 後の6人ってどこにいるの? 教えて!!」
メアリーは残りの6人の場所を聞き向かうのであった。
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