10.シエラ
リア=メアリーは同一人物ですのでよろしくお願いします。
地下から出たメアリーは、シャワー室を探して屋敷の中をうろついた。
シャワー室の場所を聞きたいのに人ひとり会えずに困惑する。
「私どのくらい地下にいたのかしら? こんな屋敷大きいんだから誰にも会わないこともおかしいけどシエラたちもどこ行ったのよ?」
屋敷の中を歩きながら窓から外を眺めているとメアリーのついてきたシエラたちが拘束されているのが見えてきた。
拘束されながらも何人かが騒いでいるのが聞こえる。
「リアが死ぬはずがない!! 何かの間違いよ!!」
シエラはリアが悪徳の力を持ちながらそんなに簡単に殺されるはずがないと確信しているからこそ何かの間違いではないかと心の奥底で考える。
「やつは死んだぞ!! アリス様から任せれてやつの死体を運んだからな!! 今はアリス様のおもちゃにでもなってるぞ!! あの方は死体を弄ぶからな!!」
「そ、そんな・・ あの力を持ちながら死ぬはずがない!! 伝説の悪徳の力の持ち主よ!!!」
「悪徳の力? あいつが?? おまえは騙されていただけだ!! もういいだろ?! 俺たちに従えば殺すこともしない!!」
シエラたちは諦めて従うことを決める。
「それでも見せしめは必要だからな! この女を殺せ!!」
「さっきと言ってることが違うじゃないの?!」
「死ぬのはお前だけだからな!こいつ以外でもいいがこいつのために身代わりで死ぬ奴はいるか?」
誰からもシエラを助けよう身代わりになるものは現れず、中には早く殺せという声も出ていた。
シエラは仲間だと思っていたものたちからの仕打ちに失望していた。
「仲間からも早く殺せなんて言われるなんてなー・・ そういうことだ! どういう風に殺してほしいかだけは聞いてやる!」
「死ぬならどうせ痛くない方法でお願い・・ 首を飛ばすのもやめてほしいわ・・」
「そうか・ じゃあ苦しんで死ね!!」
剣でシエラの胸を貫く。激しい痛みに耐えきらず意識が飛び死んだ。
「お前たちの仲間は死んだぞ!!他のやつは俺たちに付いてこい!! 仕事はたくさんあるからな!!その死体はそこにおいて置け! あとであいつらに片づけさせる!」
アリスの部下たちはニタニタした笑みを浮かべながら屋敷に入っていった。
「大罪教のやつら仲間意識とかなく自分が助かればいいとか思ってるのね・・
少しの時間だったけど近くで知り合いが死ぬと気分が悪いものね・・・ あのときすぐ出て行って助ければよかったかしら? 案外私もシエラを見捨てたやつらと変わらないか・・ 気分悪いし死体だけはあいつらに運ばれる前に回収して供養ぐらいはしてあげよう。」
メアリーは身体強化をして外を眺めていた窓を割りシエラの元に向かった。
何度も剣で胸を貫いている形跡がある。
「シエラは苦しまずにって言っていたのにかわいそうな子・・ 私自身は死んでも虚栄で生き返ることできるけど他人で試したことないからダメもとで試してみましょう!!」
メアリーはシエラに向かって虚栄と呟いた。
その瞬間、シエラの傷口が見る見る塞がっていき止まっていた心臓が動きはじめた。
「この力本当によくわからないわ!! 他人まで生き返させることができるなんて!! これでシエラも悪徳に反転してるのかしら? 生き返ったんだから早く起きなさいよ!!」
メアリーはシエラの頬を何度もビンタして目を覚まそうとした。
「どうせ私は死んだんだしもうほっといてよ!! べちべち音するし顔が痛い!! なんなのよもう?!!!」
シエラは目を覚ました。
「やっと起きたのね!! ちょっと自分の美徳確認してみなさい!」
「リアの声がするからここは死後の世界なのね!! 私死にたくなかったよおーーー! まだ生きていたかったよおおーー!!」
「うるさい!! あなたは生き返ったのよ! さっさと自分の美徳確認しなさい!!」
混乱するシエラをメアリーは急かすように美徳を確認させようとする。
「わかった・・ 確認する!! あれ私の美徳が悪徳になってる?!!」
シエラ:ステータス
悪徳:強欲 (身体強化)
「悪徳は何? スキルはどんなやつ? 教えて!!」
「悪徳は強欲で身体強化って書かれてる!! ナニコレ?!」
「だからあなたは生き返ったの!! 私の力で!! そして反転したの!」
「私が生き返った?! リアの力で? 伝説の悪徳に?!!!」
驚愕するシエラにメアリーはスキルについても説明する。
「あなたは今身体強化っていう力を手にしたわ!! ちょっと使って見てほしいんだけど一度身体強化って呟やきながらあの窓から屋敷の中を覗いてみなさい!」
シエラはメアリーに言われたとおりに身体強化を行った。
「ありえない?! ここから窓をのぞいても普通は中が少し見えるだけなのにどこに何があるかも見えてそれも埃まで見えるなんて・・・」
「身体強化もちゃんと使えているわね!! よかったわ! シエラ復讐はしたくないの? 裏切ったやつらをこの力で殺すこともできるわ!!」
「リア私今すごく怒ってる! 私は仲間だと思っていたのに・・ あんなやつら仲間じゃない!! 一人残らず殺す!!」
シエラは立ち上がり凄い速さで屋敷の中に入っていった。
屋敷の中からはうめき声や命乞いをする声なども聞こえてきた。
「少し煽りすぎたかしら? 私以外が悪徳を使えるなんて思ってもいなかったし楽しそうだからまあいっか!!」
屋敷からの声が聞こえなくてなってきてからシエラが誰かを連れ来た。
「そいつ誰? なんでこっちに連れてきたの?」
「こいつが私を殺したやつなの! 苦しまずに殺すって言ってたのに何度も心臓を突き刺して・・・ だから私もこいつがやったことを今ここでやるの!!」
シエラはメアリーが見ている近くでシエラを殺したやつを何度も剣で突き刺していた。
「ゆるさない!! 私が味わった痛み思い知れ!! 死ね! 死ね! 死ねえ!!」
「シエラ!! もう辞めなさい!! そいつもう死んでるから!!」
シエラは突き刺すことをやめた。
「リア本当にありがとう!! この力のおかげで復讐もできたし今最高の気分!!」
「まさか全員殺したの?! 力使いすぎよ!! このあと大変なことになりそう・・・ めんどくさいわ・・」
「まあいっか!! 血まみれだしシャワー室に一緒に行こう!! 私も体ベトベトだし!!」
「私さっきシャワー室見たよ!! 着いて来て!!」
凄い勢いで屋敷の中に入っていくシエラを見ながら
「だから早すぎるって・・!!! 力を今使うなあーーー!!」
シエラを追いかけながらメアリーも屋敷の中に入っていった。
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